BTC 一時急落、SECがバイナンスを・・・
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は7日20時時点で対ドルでは2万6800ドル台と前週比では約1%安の水準で取引されています。またBTC円が372万円台での値動きです。
先週は、金融市場で最も注目される経済指標の1つ米雇用統計(5月分)を無事通過し、世界中が警戒していた「米国のデフォルト(債務不履行)」が回避されることになり、週末から週初にかけてリスク志向の動きが強まりそうな雰囲気でした。
BTCドルもその流れに乗り、週明けには2万7500ドル付近まで底堅く推移していました。しかしながら5日夜から6日朝にかけて急落し、3月半ば以来の低い水準となる2万5400ドル前後まで売り込まれました。
※Trading Viewより
売られたきっかけは、米証券取引委員会(SEC)が暗号資産取引所の最大手バイナンスと同社のチャンポン・ジャオ(CZ)最高経営責任者(CEO)らを証券法違反で提訴したことでした。
「米SEC、バイナンスと趙CEOを提訴-証券規則に違反」 Bloomberg
「バイナンス、またか!」という感じですね。
というのも、3月下旬には米商品先物取引委員会(CFTC)がバイナンスとそのCEOを提訴しているからです。
CFTCの提訴理由は、米国で未登録の暗号資産デリバティブ取引を提供し、故意に米国の法律を回避したからとされていました。
「米CFTC、バイナンスとジャオCEOを提訴」コインデスクジャパン
今回SECは13の事案でバイナンスを訴えています。
そのなかには取引量を人為的に膨らませたこと、顧客資金のずさんな管理、米国の顧客が国外の交換所で取引できるようにしたことなどが含まれていました。
バイナンスは反論、公然の事実だった?
SECの訴えに対しバイナンスは、これまでの調査に積極的に協力し、和解に至るため誠意ある話し合いを行ってきたと反論。「法の範囲と争う用意がある」と対立姿勢を示しました。
こちらは↓、バイナンスグログに記載されている反論内容です。
「SEC Complaint Aims to Unilaterally Define Crypto Market Structure」
(SECの訴状は暗号資産の構造を一方的に定義しようとしている)
CFTCが暗号資産業界の規制機関にもかかわらず、SECは市場定義を強制するために規制権限を越えた行動を取ってきたことが問題とバイナンス側は述べています。
ところで、市場関係者から今回の件は予想されていたことだとする声も聞かれます。
こちらのコインテレグラフの記事↓
「SECのバイナンス訴訟、業界からは驚くべきことではないとの声と・・・・」
この記事では、バイナンスの行ってきたこと(取引量の水増しなど、SECが訴えたこと)は公然の秘密だったというビットコイン関連企業のCEOの話を紹介しています。
いずれにせよ、今回のSEC提訴の影響はビットコイン以外の暗号資産・アルトコインにも及びました。その中でも、バイナンスが発行するトークン「バイナンスコイン(BNB)」の弱さは目立ちました。
BNBはバイナンス取引所内で使用する暗号資産であり、時価総額では第4位に位置する人気の暗号資産です。ただし、日本の取引所では上場されていません。
※BNB対ドルのチャート、Trading Viewより
バイナンスの次はコインベースが標的に
米証券取引委員会(SEC)による暗号資産業界への取り締まりは止まず、6日には交換業大手コインベースも提訴されました。
「米SEC、コインベースを提訴 バイナンスに続き」ロイター通信
提訴理由は、コインベースが未登録で仲介業や取引所、そして清算機関を運営し、「顧客勧誘、注文処理、入札許可や仲介」を行っていたということです。
SECは証券法に違反している部分として、上場されている暗号資産も指摘。その中には時価総額上位に入る、カルダノ(ADA)やソラナ(SOL)、ポリゴン(MATIC)も含まれていました。
これに対しコインベース側は、暗号資産に特化した法案がないなかで訴訟は解決策にならないとし、公正なルール作りを訴えています。
前述の記事によれば、SECからの提訴が嫌気されてコインベースの株価(ナスダックに上場している)はこの日、前日比12%安で引けました。
資金の引き出し、ビットコインは底打ち?
SECの訴訟により、やはりというか、バイナンスやコインベースから資金を引き出す動きが見られました。
↓の記事では暗号資産分析会社Nansenのデータをもとに、提訴から24時間でバイナンスから14.3億ドル、コインベースから12.8億ドルの資金が純流出したことが書かれています。
「Coinbase, Binance Experience Over $1 Billion in Net Outflows Following SEC Lawsuit」Watcher.Guru
しかしながらビットコインやイーサリアム(ETH)の値動きをみると、コインベースの提訴後は大きく切り返しています。
※Trading Viewより
この動きに対しては、こちらがコインデスクのGlenn Williams氏の投稿がしっくりきました。
記事では例として、SECがエクソンモービルを訴えたとしても原油相場が急落するわけでもなく、金の採掘企業の経営者が訴えられても金価格に影響はないというのです。
BTCやETHがコモディティと同様、必要なモノになってきたのでしょうか。