暗号資産ウォッチャー これに注目!

第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」

時価総額5位以内、取引できるのは2つ


代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は、5日18時の時点で対ドルでは2万8500ドル台、対円では376万円台と前週比でほぼ横ばい。時価総額は約5520億ドル、暗号資産全体におけるドミナンス(シェア)は45.8%です。

 

ここで暗号資産の時価総額の上位をCoinMarketCapでチェックしてみましょう。

まずはBTCを含むベスト5です。この5通貨で全体の約78.5%を占めます。



2位のイーサリアム(Ethereum/ETH)はこの日堅調に推移し、ドミナンスは19%超まで拡大。来週の大規模アップデートへの期待感が高まっているようです。

「イーサリアムの上海アップグレード日が正式発表」NEXT MONEYより

 

3位テザー(Thether/USDT)と5位ユーエスディーコイン(USD Coin/USDC)はドルに連動した法定通貨担保型のステーブルコインです。現在のところ、金融庁に登録されている暗号資産交換業者では取り扱いがありません。

 

また4位のバイナンスコイン(BNB/BNB)は、世界最大の暗号資産交換所「バイナンス」が発行しているトークンです。同社が立ち上げたプラットフォーム「バイナンス・スマート・チェーン」で使用されています。しかしながら、バイナンスは日本国内での営業認可を得ていません。 



※金融庁HP 暗号資産関係より

 

↑のように、バイナンスは令和3年に警告も受けています。やはり、BNBも日本の取引所では扱われていない暗号資産です。


暗号資産の時価総額ベスト5の中で、日本の交換業者を通して取引できるのはBTCとETHの2つということになります。


第6位のリップル(XRP)はOK


では時価総額6位から10位までを見ていきましょう。



5つのドミナンス合計は約6%です。


6位はリップル(XRP/XRP)です。こちらは日本でも、BTC円やETH円のように取引されています。以下↓は、金融庁登録の交換業者「GMOコイン」の取引画面です。こちらは現物ですが、レバレッジ取引や暗号資産FXも提供されています。



XRP、3月後半は元気いっぱい


このリップル(XRP)、足もとでは伸び悩んでいますが3月の後半はかなり元気よく上昇していました。月間騰落(とうらく)率でも、BTCが+20%超のところ、XRPは+40%を上回っています。

※Trading Viewより 対ドルの騰落率


XRP円でも、3月半ばから月末までの動きを振り返ってみましょう。


まずは52円半ばをクリアに超えたことがきっかけとなり、一気に65円台に乗せています。そこから54円付近まで失速したものの、月末に向けて上昇基調が強まりました。下の現物チャートだと76.70円付近まで上値を伸ばしています。支持水準となった54円からの上昇率は40%以上にも拡大しました。


最後はパニック的な買いだったようであり、一部取引所では77円台まで乗せたところもあるようです。

 

※チャートはGMOコインより


XRPとは、中央集権的?!

 

このリップル(XRP)は、国際送金プラットフォーム「リップルネット(Ripple Net)」上で使用される暗号資産です。リップルネットはRipple Inc(リップル社)が、現状の国際送金の問題点(高い手数料や時間がかかる)を解決するために構築されました。


XRPは「国際送金に特化した暗号資産」とも言われ、特徴としてはBTCなどに比べて「圧倒的な送金の速さと手数料の安さ」が挙げられます。それが時価総額ランキングで上位にいる要因でしょう。

 

2013年にリップル社の前身Ripple Labs Incは、XRPの発行上限となる1000億XRPを全て発行。その後XRPは、リップル社独自のシステムによる合意形成メカニズムで各取引・送金が検証/承認されています。

  ※rippleサイトより


問題はやはり、SEC

 

XRP運営のための意思決定はリップル社だけが行っています。そのため、他の主だった暗号資産と違いXRPは中央集権型よりの暗号資産・ネットワークと言われています。


それが米証券取引委員会(SEC)に目をつけられた理由のようです。SECは2020年12月、リップル社と創業者で16年までの同社CEOと当時のCEOを提訴しました。


中央集権的に管理されているXRPは有価証券とSECが判断。その有価証券を未登録のまま販売し、13億ドル以上を調達したことを違法としました。一方、証券法の投資家保護違反で訴えられたリップル社は、XRPは通貨だとして反論。裁判は2年も続いています。


裁判はもうすぐ決着、3月の上昇は期待先行?

 

昨年10月のニュースでは「リップル、SECとの訴訟で一歩前進・・・」、リップルがSECとの裁判において部分的な勝利を収めたと述べています。

 

今年3月初めには、「リップル社CEOーXRP訴訟は2023年中に結論が出る見込み」(COINPOST)と報じられました。



XRPコミュニティは、支持しているので当然ではありますが、判決はリップル有利と信じているようです。

 「リップル(XRP)は20%急騰、リップル裁判の結果に楽観的」


一部では3月末までに結果が出るとの話が広がり、これがXRP価格が上昇した理由とされました。判決は出されず、期待が先行し過ぎたの買いだったかもしれません。


いずれにせよXRP相場は、今後も裁判関連の報道で一喜一憂させられそうです。

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為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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