ビットコイン、米指標がきっかけで…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年2月13日9時頃、対円では1511万円前後、前週(7日前)比およそ2.2%高で推移しています。BTCドルが9万7900ドル前後での値動きです。
この一週間、BTC円は7日ニューヨーク時間に1520万円を超えたところから失速し、週明けは1440万円を割り込む場面がありました。BTCドルも、10万ドル付近から一時9万5000ドルを下回りました。
上値が重くなったきっかけは、きっかけは米国の経済指標です。7日に発表された1月米雇用統計で平均時給が予想を上回り、米ミシガン大学の2月米消費者調査で期待インフレ率が強いことが判明。米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げに対する思惑が後退しました。
米長期金利の上昇は、リスク資産にとってはネガティブ材料と考えられています。今や完全にリスク資産の仲間入りしている暗号資産に対しても売り圧力が強まりました。
※リスク資産とは、値動きが大きく、高利回りも期待できるが元本割れの可能性もある資産。一般的に、株式や投資信託、不動産や外貨預金などを指し、それに暗号資産も含まれるようになった。
※Trading Viewより
トランプ関税、再び…
週明けも売りが先行したビットコインでしたが、こちらは再びトランプ関税への警戒感の高まりからでした。
「トランプ大統領 輸入の鉄鋼とアルミに25%の追加関税を表明へ」NHK
トランプ米大統領が9日、輸入される鉄鋼とアルミニウムに25%の追加関税を課す意向を示しました。大統領は翌10日に関税の大統領令に署名し、これまで減免してきた国に対しても例外なく追加関税を課す方針も明らかにしました。
トランプ氏は、米国の輸入品に相手国が課している同じ関税率を課す「相互関税」の可能性も示唆。一連の政策に対して、欧州連合(EU)高官も対抗措置を取ると表明し、貿易摩擦の激化懸念が強まりました。
伸び悩んでいる相場は、弱気材料には敏感です。ビットコインや他暗号資産も下値を探る展開となりました。
金融庁が重い腰を上げる?!
米金利の先高観やトランプ関税など米国発の材料がビットコインの重しとなっていたところに、なんと日本発のニュースが相場の支えとなりました。
日経新聞は10日、金融庁が「暗号資産を有価証券に並ぶ金融商品として位置づける方向で検討」と報じました。同紙記事によれば、投資家保護が目的とされ、暗号資産の上場投資信託(ETF)の解禁につながる可能性もあるということです。
米国ではまずビットコイン先物をベースとした投資信託が認められ、その後に時間はかかりましたが、昨年1月に現物ビットコインに連動するETFが上場されました。この現物ETFに資金がなだれ込み、昨年のビットコイン相場を大きく押し上げた要因の1つとなりました。
やっと日本でも、暗号資産がその名の通り「資産」になる道が開けてきたようです。
ただし、今年中にETFが取引できるというわけではありません。今後のタイムスケジュールとしては、金融庁は6月中に制度改正の方向性を公表、秋以降の金融審議会でそれが議論されるもようです。目標として、2026年の通常国会に関連法の改正案を提出すると報じられています。
悪材料は消化し、好材料に…
12日のニューヨーク序盤、ビットコイン(BTC)は下げ足を速める場面がありました。こちらのきっかけは、1月米消費者物価指数(CPI)です。この重要なインフレ指標は、前月比・前年比ともに市場予想を上回りました。
トランプ新政権の政策は物価上昇圧力に繋がるとの見方が根強いなか、その影響を受ける前のCPIが加速したことは市場を驚かせました。米債券利回りは中長期いずれも急上昇し、再びリスク資産は下押しされる展開に。
BTCは対ドルで9万4000ドル手前と3日以来の安値圏まで売り込まれました。一方、BTC円も弱含みましたが、為替で円安が進行していたため、12日早朝につけた1448万円前後に届きませんでした。
その後、1月CPIを消化するとBTCやその他の暗号資産は一転買い優勢となります。悪材料への反応がある程度出尽くし、今度は好材料に市場の目が向いたのかもしれません。
※Trading Viewより
暗号資産時価総額1位のビットコインや同2位のイーサリアム以外でも現在、現物ETF上場に向けた申請が行われています。これに対して、新体制を迎える米証券取引委員会(SEC)は悪い印象は持っていないようです。
以下のようなETFも申請され
「グレイスケール、初のADA単独商品となるカルダノETFを申請」コインデスク
ソラナ(SOL)ETFにおいては、SECは申請を受理してパブリックコメントを募集しました。
※パブリックコメントとは、個人や組織が審査プロセス中に提案された新しいETFに関する意見をSECに提出する機会。
米国は先を行く、約20州が戦略的な準備金に
そして、ビットコインの底堅さに繋がっている材料の1つが、↓のような期待感でしょう。
「米国各州の戦略的ビットコイン準備法案で最大230億ドル…」コインテレグラフ
米国の各州で暗号資産(主にビットコイン)を戦略的準備金として承認しようとする動きが広がっています。https://bitcoinlaws.io/ 記事では20の州レベルのビットコイン準備法案を分析した結果とありますが、今後も議会レベルで検討に入る州は増えそうです。
暗号資産について、米国はまだまだ日本の先を行っています。
※Bitcoin Lawsより