BTC円、最高値更新後に失速
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は6月13日9時頃、対円では1071万円台と前週(7日前)比で3.5%ほどの低い水準で取引されています。BTCドルが6万8000ドル付近での値動きです。
先週8日夜にBTC円は1124万円台まで過去最高値を更新しました。しかしながら、5時間後には1080万円割れまで売り込まれる展開に。BTCドルが7万2000ドル付近から6万8300ドル前後まで値を下げています。
この日は米労働省が5月雇用統計を発表しました。その中で注目される非農業部門雇用者数が27.2万人増と予想を9万人近く上回り、平均時給も見込みより強い結果となりました。これを受けて米長期金利が上昇し、リスク資産への売り圧力が強まったようです。
※Trading Viewより
今月の安値更新、現物買い・先物売り
BTC相場は今週に入っても上値重く推移し、週前半には対円で1042万円前後、対ドルでも6万6000ドル付近までそれぞれ今月の安値を更新しました。
ところで現物ビットコインETFはというと、6月10日に久しぶりの流出超となったものの、それまでは5月13日から20営業日連続で流入超を記録しています。ただ現物ETFへの資金流入にもかかわらず、BTCは特に対ドルで上昇力がそれほど強まらなかった印象です。
「ETFへの記録的な資金流入の中、ビットコイン価格が冴えない理由とは」コインデスク
この記事によれば、 キャッシュ・アンド・キャリー・アビトラージというトレードがあるようです。ここではビットコインを「現物ETF買い、先物売り持ち」という戦略として使われています。
必ずしもそうなるとは限りませんが先物市場では現状、長めの限月で価格が高い状況です。以下が11日のシカゴマーカンタイル取引所(CME)が提供するBTC先物の清算値を含む水準です。7月限(JLY 24)から現物の水準を上回っていますね。
※CMEサイトより
最近の現物ビットコインETFの流入超は、現物ロング/先物ショートで価格差から収益を上げようとする取引が要因の1つと言われています。決して、単純にビットコインの価格上昇を狙ってのETF買いではなかったということです。
米金融イベントで右往左往
12日夜から13日未明にかけては、米国の金融イベントでビットコイン相場は右往左往させられました。※ここからは対ドルでBTC水準を表示します。
まずは、日本時間21時30分に5月米消費者物価指数(CPI)が発表され、結果は総じて前回や予想から減速でした。しつこい(粘着性のある)インフレが警戒されていただけに、CPI鈍化を受けて米・中長期金利は急低下。金利低下を好感してリスク資産とされるBTCも買われ、6万8000ドルを超えて7万ドルまで上げ足を速めました。
しかしながらBTCドルは、日本時間13日5時前には6万7200ドル前後まで値を下げます。きっかけは米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表でした。
政策金利を予想通りに据え置いたFOMCは今回、四半期に一度まとめた「委員の経済・金利見通し(ドットチャート、またはドットプロット)」を公表。そこで年末の金利予測の中心値を、市場が想定していた以上に上向きに修正しました。
再び持ち上がった金利先高観に敏感に反応し、BTCへの売り戻し圧力が高まりました。
※Trading Viewより
米大統領選、ビットコインにも?
さて米国の今年最大のイベントといえば、11月に行われる大統領選でしょう。今のところ、共和党のトランプ前大統領が民主党のバイデン現大統領を支持率でリードしていると言われています。
このトランプ氏、大統領に在任中は暗号資産を反対するような態度だったことを覚えています。しかしながら今回の選挙活動中、同氏はかなり積極的にビットコインなど暗号資産を認める姿勢を示しています。
「トランプ前大統領、仮想通貨大統領になる 業界支持をあらためて表明」コインテレグラフ
「トランプ前米大統領が暗号資産にコミット、自己所有権を約束」BE IN CRYPTO
トランプ氏は「残りのビットコインをすべて米国製にしたい」とも発言しました。暗号資産業界にとっても、目が離せない選挙となりそうです。