BTC、対円で1000万円を回復
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は10月16日23時30分頃、対円では1018万円前後と前週(7日前)と比べて約10%高い水準で取引されています。BTCドルが6万8000ドル付近と7月末以来の高値圏での値動きです。
先週末にかけては米長期金利の上昇を嫌気してか、BTCは対ドル主導で伸び悩みました。もっとも 、米国で取引されている現物ビットコイン上場投資信託(ETF)は11日、4営業日ぶりに流入超を記録しています。
※Trading Viewより
現物ETFでビットコインへの資金の流れを確認できたことで、土日に下げ渋ったBTCは週明けから上値を試す展開に。BTCドルは9月下旬の6万6500ドル台を上抜けて、執筆時点では6万8400ドル前後まで上昇。7月につけた7万ドルが視野に入ってきました。
BTC円も今週前半に7月末以来の1000万円台を回復。株安でリスクセンチメントが悪化した場面では伸び悩みましたが、それでも900万円台では買い意欲旺盛なままでした。
※Trading Viewより
BTC、現物も先物市場も活発化
週明け、現物ビットコインETFへの資金流入が一気に拡大しました。14日だけで、11あるETF合計への純流入額が6月以来の水準となる約5.5億ドルにも達しました。
「米国の現物ビットコインETF~、6月以来で最大の流入額に」コインテレグラフ
暗号資産分析サイトcoinglass によれば、米国の現物ETFは15日も3.7億ドルの流入を記録しています。
前述の記事では、過去10カ月で現物ETFへの純流入額は200億ドル(1ドル149円で2兆9800億円)に迫っており、機関投資家が投資先として採用している証拠とする見方を紹介しています。決して、イチかバチかのギャンブル投資ではなないということです。
※coinglassより、現物ビットコインへETFの日々のフロー
また、先物市場でもビットコイン取引は盛り上がっているようです。
「CMEのビットコイン先物の建玉が116億ドルに…」コインデスク
CMEとは、米国で金融商品やコモディティも扱う世界最大のデリバティブ取引所「シカゴ・マーカンタイル取引所」のことです。BTC先物の建玉残高が、過去最高水準まで拡大したと報じています。
ただ、BTC先物市場は投機的な取引が中心になることが多く、持ち高の片寄りは相場のかく乱要因ともなり得るので注意が必要です。
BTC、取引所の残高が
ビットコインが上昇するなか、SNSで気になった関連コメントの1つが「市中の取引所から現物BTCの残高が減少している」ことでした。
以下のCryptoQuantのチャートをみると、確かにそのようです。
Exchange Reserve(取引所のBTC残高)が今年の初め307万BTCだったところから、9月には270万BTC割れまで減少しています(チャートの右側、紫の線)。これが今後の傾向について重要な示唆を与えているというのです。
取引所の残高が減っているというのは、投資家が口座から自身のウォレットにBTCを移動させているということが要因の1つです。BTCを保有する上でセキュリティ強化という面もあるのでしょうが、長期的に保有することを目的にしているとも言えます。
取引所の口座にBTCを置いておけば、いつでも売却することができます。現在、BTCを通貨のように使用する機会はそれほど多くないとすれば、ウォレットでの保有は暫くBTCを手放すつもりがないということでしょう。
BTC相場対する取引所の残高減少の影響としては、「売り圧力の低下に繋がる可能性」が挙げられます。つまり買いが入った場合、上げ幅を広げやすいということです。
上記チャートの左の方、2022年末から急速に残高が減っています。BTCだけでなく暗号資産全体が軟調のなか、売らざるを得なかったということも要因の1つかもしれません。ただBTC価格をみると、残高減少にやや遅れて底を打ち、その後大きく切り返しました。
取引所残高の動向、今後も注視する必要がありそうです。