暗号資産ウォッチャー これに注目!

第2回「ビットコインって魅力的?」

フリマアプリ大手もビットコインを

 

今回は、暗号資産の先駆けであるビットコイン(BTC)の魅力を考えていきましょう。


現在もビットコインの時価総額(発行枚数×価格)は53兆円弱と、2万以上のコインやトークンを抱える暗号資産市場の約42%を占めています。7月7日朝の時点で1BTCは276万円辺りで取引されています。

※数値はCoinMarketCapを参照。

 

ところでいきなりですが、フリマアプリ・メルカリを使ったことありますか?「不用品や中古品などの売買がスマホ1つで簡単に出来てしまう」というアプリです。こういったアプリは幾つかありますが、メルカリはユーザー数が日本最多と言われています。

 

その人気フリマアプリを運営する「メルカリ」が昨年春、暗号資産事業を展開するために「メルコイン」という会社を設立しました。そして今年6月半ば、同社が暗号資産交換業者の登録を完了したことが発表されています。

 

メルコインは取り扱う暗号資産を「ビットコインのみ」としています。今後はメルカリの売上金やポイント、スマホ決済サービス・メルペイの残高でビットコインの取引ができる機能の提供開始を目指しているようです。


ビットコインの大衆化


そのメルコインの伏見取締役が一年ほど前、暗号資産情報サイトのインタビューで、同社が目指すのは「暗号資産(ビットコイン)の大衆化」と述べていました。大衆化とは、デジタル大辞泉によれば「一般の人々の間に広く行き渡ること」です。


昨年7-12月期決算でアプリ「メルカリ」の月間のアクティブユーザーは約2045万人にも達しています。このままメルカリがビジネスを拡大し続けるようならば、その流れに乗って、メルコインが目指す大衆化もそう遠くないうちに実現するかもしれません。


フリマアプリの大手がビットコインの普及に乗り出したたこと、非常に興味深く感じます。



ビットコインの魅力、ズラズラ並べると

 

この暗号資産ビットコインが今後必要になってくる!と考えているからこそ、メルカリのように「ビジネスに組み入れよう」とか「投資しよう」というインセンティブが高まるのでしょう。では、そのビットコイン(BTC)の魅力とは何でしょうか。

 

①   送金や決済の手数料が安い、誰にでも/何時でも少額から送金できる

・中央管理者がいないブロックチェーンという仕組みに支えられ、改ざんは事実上不可能とされているデジタル通貨ビットコイン。金融機関を通さずに個人(団体)から個人(団体)に送れるため、(特に海外への)送金手数料が極めて安いのが特徴です。

 

・ウォレット(暗号資産を保管するソフト、デジタルデータ財布)を持っている同士であれば、インターネットが繋がっているなら世界中のどこにでも、いつ何時でも送金できます。


 ・外国で働き本国へ送金が必要な人々や、世界で約17億人いるとされる銀行口座を持てない人たちの手助けとなるはずです。


② 簡単に円からBTC、BTCから円に交換できる

・ビットコインの購入は、交換業者(取引所)に口座開設さえすれば簡単です。またビットコインから法定通貨(日本では円)に交換することも難しくありません。


・購入は成行や指値だけでなく、逆指値でも可能です(取引所によっては不可)。

 

③ BTC円の高い変動率、土日を含め24時間365日取引ができる

価格が大きく動くということは、トレーディングで収益機会が増えるということです(もちろん損する可能性もあります)。


土日も含めて24時間いつでも市場は開いています。


 ・上げたり下げたりしながらも、価値は拡大傾向です(最近はかなり疑わしくなってきましたが・・・)。


※なお②や③は、交換業者にとっての「謳い文句」ではあります。そして、価格変動の大きさが決済の使いづらさになっていることは確かです。

 

④   欧米を中心にビットコイン支払いを受け付ける企業が増加、日本国内でも?

・アメリカにおける調査では、中小企業の約3分の1がビットコインでの支払いを受け付けるとされています。日本ではまだ少数派ですが、前述したメルカリのようにビットコインを決済の1つに採用する企業が増えてくるかもしれません。

 

この他、ビットコインは発行上限が2100万BTCと決まっており、ゴールドのように「希少性がある」と言われています。ただし、「希少性がある」=「価値がある」とは限りませんので、個人的に発行上限はビットコインの1つの約束事と捉えています。

※希少とは、量や数がきわめて少ないさま。


ビットコインの魅力は、①や④など送金や決済としての機能性、②や③の取引のしやすさでしょうか。ただ海外に送金しない人、土日にトレードするつもりがない人(または、暗号資産の税金を気にする人)にとっては、「う~ん・・・、どうなの?」ということになってしまうかもしれません。


そこでもう少し調べてみると、「自由」という言葉がキーワードとして浮かび上がりました。来週はこの「自由」について、もう一度ビットコインの魅力を探っていこうと考えています。

この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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