FTXの破綻から1カ月、機関投資は前向き?!
暗号資産交換業大手FTXの破綻から約1カ月、市場では明るい材料も見受けられます。
「FTX破綻にもかかわらず、機関投資家は依然として仮想通貨に注目」コインテレグラフジャパン
記事では、交換業ビットスタンプのデジタル資産取引プラットフォームへの機関投資家・登録数について、11月は前月比で50%以上も増加したと報じています。個人のアクティブユーザーも40%超拡大したとも述べられています。
前述記事でも取り上げていますが、こちら↓
米大手金融機関ゴールドマン・サックスのデジタル資産部門の責任者によれば、同社が暗号資産関連企業の買収または投資を検討していることが明らかになりました。投じる資金規模は数千万ドルとされています。
「野村ホールディングス子会社、暗号資産分野で2年以内の黒字化へ」クリプトタイムズ
野村ホールディングスがスイスで設立したデジタル・アセット子会社「Laser Digital Holdings AG」が3月までに増員し、2年以内の黒字化を目指すということです。冷え込んだように見えた暗号資産市場ですが、先を見据えた動きが増えつつあります。
中央集権型、CEXへの不信
今回のFTX騒動により、CEX(Centralized Exchanges)と言われる暗号資産の中央集権型取引所への不信感が高まりました。CEXは企業や法人などが取引プラットフォームを運営し、顧客を管理しています。
Bitcoin日本語情報サイトの「日本の取引所・販売所」←こちらのページに記載さ入れている全てがCEXです。
一方で取引プラットフォームの運営母体がなく、ブロックチェーン上でユーザー同士が繋がり、暗号資産の取引が直接行われるのがDEX(Decentralized Exchanges、分散型取引所)と分類づけられます。
↓は左側がDEX、右側がCEXのイメージです。
FTXグループ崩壊のきっかけは経営幹部によるずさんな企業統治でした。同社元CEOのサム・バンクマン・フリード氏は暗号資産業界の救世主のように振る舞っていましたが、その活動の元となった資金はFTXの顧客資産を勝手に流用したものでした。
FTX破綻について、これまでの【暗号資産よもやま話】
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
CEXでは、顧客が預けた資産(法定通貨だけでなく暗号資産も)は交換業者が管理します。口座を作ると暗号資産ごとにウォレット(公開鍵、口座番号のようなもの)が指定されますが、その秘密鍵(印鑑やパスワードのようなもの)自体は交換業者が保有しているのです。
その秘密鍵を悪用したのが今回のFTXです。
バイナンスCEOが訴えたPoRとは
CEXへの信頼を取り戻そうと、交換業最大手バイナンスのチャンポン・ジャオCEOは「Proof of Reserve(プルーフ・オブ・リザーブ、以下PoR)」の重要性を訴えました。
PoRとは文字通り準備金(reserve)の証明(proof)です。第三者(監査法人)によって行われる、独立した残高の確認となります。カストディアンが顧客のために資産を保有していることが証明できれば、交換業者の透明性を高めることに繋がります。
※カストディアンとは、投資家に代わって有価証券の保管・管理などの業務を行う機関のこと。
「監査法人のMazars、バイナンスが顧客のビットコインの準備金を保有していると確認」コインテレグラフジャパン
バイナンスCEOのツイートから約1か月後となる今月7日、南アフリカの監査法人がバイナンスの顧客が保有しているBTCは101%担保されていることを確認しました。監査により、バイナンスが57万5742ビットコイン(BTC)を保有していることが証明されました。
↑暗号資産の価格情報サイトCoinMarketCapの取引所ページです。
「コインマーケットキャップ、仮想通貨取引所向けのプルーフ・オブ・リザーブ・トラッカーを発表」コインテレグラフジャパン
CoinMarketCapでは11月下旬から「プルーフ・オブ・リザーブ(PoR)トラッカー」という機能を追加しました。特定時点(5分ごとに更新)での交換所の流動性(総資産額、ウォレットアドレス関連の情報)をチェックすることができるようです。
「CMC Launches Proof-of-Reserves」
この「PoRトラッカー」、まだ完全には理解していませんが今後もフォローしていきたいと思います。
いずれにせよPoRが暗号業界全体に浸透すれば、世間からの信認も厚くなり、市場が冬から脱する時期が早まるかもしれません。