BTC、卯年は底堅く始まる
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2023年1月10日9時時点、対ドルで1万7200ドル付近と年初1万6500ドル台から底堅く推移しています。昨年の酷さを考えると、ウサギ年はまずまずのスタートと言えるかもしれません。
※Trading Viewより
2022年の値動きを簡単に振り返ると、BTCドルは4万6200ドル台で始まり、3月下旬につけた4万8200ドル近辺から11月後半には約2年ぶりの安値となる1万5500ドル割れまで売り込まれました。年末にかけてやや下げ渋るも、年の終値は1万6500ドル台と年間の下落率は約64%にも達しました。
※Trading Viewより
悪い話はまだあるが、ポジティブなことも
年始も暗号資産関連のネガティブなニュースは簡単に見つけることができました。
「フォビトークン、11%下落-レイオフや社内問題が伝えられる」コインデスク
「シルバーゲートの最悪シナリオ現実に、仮想通貨巡り懸念広がる」ブルームバーグ
「ニューヨークの銀行、波乱の年を経て仮想通貨から撤退」コインテレグラフ
ただ一方で、ポジティブなニュースも目に付くようになりました。
スイスのルガーノ市がビットコインだけで生活が可能になった、というニュース。
「You Can Now Live In This Swiss City Solely On Bitcoin」nasdaq
ルガーノはスイス南部のイタリア語圏の地域です。伊国境からも近く、観光地として有名です。
戦闘が続くウクライナでは、薬局がBTC払いを受け付けるという話。
「Ukrainian pharmacies enable crypto payments via Binance Pay」cointelegraph
他、豪州のビットコインATMに関するニュースも出ていました。
「オーストラリア、仮想通貨ATM設置台数でエルサルバドルを抜いて第4位に」
「ライトニング・ネットワーク、豪州のビットコインATMで採用」 コインテレグラフ
BTCがより身近になってきたということでしょうか?
また、人口2億7000万人超のインドネシアが、政府主導で2023年内に暗号資産取引所の設立を計画しているとの報道もありました。
「Indonesia to Start Crypto Exchange Ahead of Regulatory Shift」bloomberg
米国の雇用指標がBTCの支えに
6日に発表された米国の12月雇用統計もBTCにとってはポジティブに働きました。統計では平均時給が前年比4.6%と市場予想5.0%を下回り、賃金インフレ圧力が想定より弱まっていることが明らかに。これを受けて米金利が大幅に低下すると主要株価指数も上昇し、BTCドルも追随する形となりました。
ただ、6日のナスダック総合が2.8%近く上昇して終えたにもかかわらず、意外とBTCは伸びていないというイメージは残りましたが・・・。
↓のチャートはロウソク足がナスダック総合、ラインチャートは米10年債利回りです。
※Trading Viewより
今年の予測、どうなる暗号資産?
さて年始はやはり、今後1年について予測する記事が目立ちます。
「2023年の暗号資産:10の予測」コインデスク
昨年から続く規制強化の動きや更なる痛みはあるものの、 web3やNFT(非代替性トークン)、DAO(自律分散型取引)などの成長トレンドは継続されるという見方です。また、真にグローバルなビットコインの普及も期待されているようです。
「The boldest bitcoin calls for 2023 are out(2023年のビットコイン大胆予想が明らかに)」米CNBC
大胆のトップには、米著名投資家でありビットコイン強気派で知られるティム・ドレイパー氏の予測「今年半ばまでにBTCドルが25万ドルに到達」が紹介されています。
逆に、英スタンダードチャータード銀行の「サプライズリスト」にも入っている「BTCドルが5000ドルまで暴落する可能性」や、世界初の新興国ファンドを運用したことで有名なマーク・モビアス氏の1万ドルまで下落とする見方にもフォーカスされていました。
記事によれば、BTC相場の取引量が減少しているなかでクジラと呼ばれる大口保有者が相場を支えるために介入するとの見方を示す専門家もいました。管理された強気相場により、年前半にはBTCドルの3万ドル超え、後半には5万ドルを上回るという予想です。
しかしながら、これだけ様々な予想を示した後にCNBCは、ある金融アナリストの言葉「ビットコイン価格を予測しようとする試みは無駄」を引用して記事を締めくくっています。
「相場は何事も起こり得る」ため、確かにそうなのかもしれませんが・・・。
アルトコインが先導
さて↓は、CoinMarketCapにおけるステーブルコインを除いた暗号資産時価総額トップ5の水準です。YTD(年初来騰落率)%に注目すると、BTC以外ではリップル(XRP)がそれほど伸びていませんが、ETHは約10%、カルダノ(ADA)などは27%近くも年初から上昇しています。
卯年はアルトコイン(BTC以外の暗号資産)が跳ねて始まりました。BTCはやや出遅れてはいるものの、暗号資産市場で39%のドミナンス(シェア)を維持しています。そのBTCがアルトコインに追随するのか、暫く注意深く見守っていきたいと思います。