ビットコイン、昨年4月以来の高値更新
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は11月15日18時時点、対円では540万円付近と前週(7日前)比1.7%高の水準で取引されています。ただし、24時間比では3%を超えた下落率です。
相変わらず米国で申請された現物ビットコイン上場投資信託(ETF)に対する承認期待から、買いは断続的に持ち込まれていたようです。2日につけた約1年半ぶりの高値540万円付近を超えると上昇が一気に加速しました。
BTC円は9日夜には573万円台と昨年4月初め以来の高値を更新。ビットコインに次ぐ時価総額・イーサリアム(ETH)の現物ETFが大手資産運用会社ブラックロックから申請されたというニュースも、BTC相場の追い風となったようです。
「ブラックロックのイーサリアム現物ETF申請で急騰」コインテレグラフ
もっとも数時間後には540万円台まで急落(高値から約5.8%下落率)するなど、ある意味では暗号資産らしい荒い値動きでした。
※Trading Viewより
やっぱりロングが溜まっていた?
今週に入り560万円台で徐々に伸び悩むと、15日未明には526万円台まで急ピッチで値を下げました。
14日は早朝からリップル(XRP)がETF関連のニュースで急騰しました。しかしながらそれがフェイクだと分かるとあっさりと急落し、BTC下落もXRPに引きずられとの見方もできます。
「ブラックロックETFの噂で価格乱高下、XRP・・・」 コインデスク
ただ、↑BTC円の時間足チャート上で紫線・ビットコインのドミナンス(暗号資産全体のシェア)を見ると、53%台で頭打ちとなり51%台まで水準を落としています。これを考えると、単純にBTCを売りたい人・売らなければいけない人も多かったのでしょう。
そのころ他の金融市場では、米国のインフレ鈍化をきっかけに米金利が大幅に低下、株価は急騰、ドル安が進行していました。しかしながら、これといってビットコインを売り込むようなニュースは見つけることはできませんでした。
やはり、持ち高調整が一気に進んだと考えるが良いようです。
「ビットコインとイーサリアム、ロングの清算が3億ドル・・・」コインデスク
暗号資産データサイトcoinglassによれば、暗号資産の先物市場では買い持ちの清算(いわゆる売り戻し)が合計で約3.07億ドル発生したということです。1ドルを150円換算だと460.5億円になります。
そのうち43%がBTC、22%がイーサリアム(ETH)でした。また、他のアルトコイン先物も含む清算させられたトレーダーの人数は8万8000人以上とされています。
※15日19時頃の清算ヒートマップ、coinglassサイトより
強気になり過ぎてた?
市場のセンチメント(心理、感情)がどうなっているか、ビットコインの「Crypto Fear & Greed Index(CFGI、暗号資産の恐怖と強欲指数)」を見てみましょう。
CFGIは「ボラティリティや、出来高や市場の勢い、ソーシャルメディア、ビットコインの優位性や傾向など」を元に算出される指数で、市場が悲観的/楽観的かを数値で示します。数値が低ければFear (恐れ)・弱気的とされ、高ければGreed(貪欲)・強気的とされます。
執筆時点では60程度ですが、14日は69,その前日には73まで上昇していました。相場はGreedより、かなり楽観的だったことが示されています。
買われ過ぎ感はチャートでも
BTC相場の買われ過ぎ感は、オシレーター系といわれるテクニカル指標「RSI(相対力指数)」でも表れていました。
※RSIについてはこちら「FX誰にでもわかるチャート教室・第12回RSI」
BTCドルが3万8000ドルまで上昇した11月9日、14日間RSIは買われ過ぎ水準80をしっかりと超えていました。しかしながら、単純に80を超えていたから下向き調整が起きたのか、という分けではありません。80を超えても価格が上昇するときは上昇します。
注目は10月24日の高値3万5150ドルを大きく上回っているにもかかわらず、RSIが同日に記録した87.7に達しなかったということです。
※Trading View より
価格トレンドとオシレーター系指標(この場合はRSI)が逆方向に動くことを「ダイバージェンス」と言います。トレンドの勢いが弱まっていることを示し、今回のように調整が起きるきっかけになるときもあります。
今更ながらの後付けではありますが、サインは出ていたということですね。
もっとも今のところ、あくまで調整の範囲内での値動きのように見えます。