ビットコイン、1月末に値を戻す
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年2月6日9時頃、対円では1481万円前後、前週(7日前)比およそ8%安で推移しています。BTCドルが9万6700ドル前後での値動きです。為替でドル安円高が進んだこともあり、対ドルでのBTC下落率は6.5%程度となっております。
1月末にBTCは対円で1640万円付近、対ドルでは10万6000ドル台まで買われ、そのまま底堅く終えました。暗号資産分析サイトcoinglassによれば、1月は2カ月ぶりに月間プラスとなり、対ドル騰落率は9%超の上昇率でした。
ちなみに2024年の月間騰落率は、上昇が8カ月/下落が4カ月。最高上昇率は2月の43.5%、下落率でもっとも大きかったのは4月の14.7%でした。
※coinglassのサイトより
ビットコイン、一転して下落
しかしながら2月に入ると、ビットコインは一転して売り圧力が急ピッチで高まりました。BTC円は1600万円を早々に割り込むと、2日真夜中には1530万円前後まで下落。3日朝には1430万円まで急落しました。1月末の戻り高値からだと13%弱の下落率にもなります。
BTCドルも2月1-2日の土日で水準を切り下げ、通常の金融市場がオープンした3日月曜朝に9万1500ドル台まで売り込まれました。
もちろん、暗号資産市場で売られたのはBTCだけではありません。というよりも、主要なアルトコインはBTC以上に下落が目立ちました。取引所によってバラツキはありますが、1月末の高値圏からの3日朝の安値までの下落率(対ドル)は以下になります。
イーサリアム(ETH)、約35%
ソラナ(SOL)、約27%
リップル(XRP)、約42%
ドージコイン(DOGE)、約40%
※Trading Viewより
結局またトランプのせい
ビットコインを含む暗号資産の急落は、金融市場全体に広がったリスク回避ムードの強まりからでした。きっかけは、トランプ米大統領が署名した大統領令「カナダとメキシコからの輸入製品に25%の関税賦課」です。
米国とメキシコそしてカナダの3カ国は、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)という貿易協定を結んでいます。以前にNAFTA(北米自由貿易協定)と言われた協定に代わるものであり、2020年7月に発効されました。乗用車の対米輸出台数の制限や自動車部品関する規則、また他国の通貨安誘導を防ぐ為替条項などが新たに取り入れられました。
USMCAにもかかわらず、米大統領に就任前からトランプ氏は今回の関税については言及していました。ただ、メキシコとカナダの2カ国が不法移民問題について国境対策を取ろうとしていたことから、一部では米大統領は暫く様子をみるのではないかとの期待もあったようです。
2月4日とされた米国による25%という高い関税発動の前に、メキシコとカナダは報復関税を発表します。北米発の貿易摩擦の激化を嫌気し、リスク資産を手放す動きが強まりました。今や完全にリスク資産の仲間入りをしている暗号資産は、土日から売りが集まったという訳です。
延期で戻すも中国が、そして
週明け3日のオセアニアから東京時間に売りが先行したビットコイン(BTC)でしたが、欧州時間から下げ渋ります。ニューヨーク時間に入ると買い戻しが一層強まりました。
まず米国とメキシコがトップ会談を終えて、関税の1カ月延期が報じられました。東京時間の4日早朝には、米国はカナダに対しても関税発動を1カ月先延ばしにすることが分かりました。トランプ関税への過度な警戒感が和らぎ、リスク回避の巻き戻しが進みました。
BTCは対円で1588万円、対ドルでは10万2500ドル台まで大きく買い戻されました。直近安値からだと約11%の上昇率です。
※Trading Vewより
しかしながら、BTCは再び上値が重い展開となります。きっかけは、トランプ政権が中国に対しての追加関税については予定通り発動したことです。中国も対米報復措置を発表し、経済規模で世界1位と2位による貿易戦争を危惧したリスク資産売りが再燃しました。
ただ、一巡後は株式市場は落ち着きを取り戻してきます。一方、暗号資産の戻りは鈍いままです。
「黄金時代がやって来る:トランプ米政権の暗号資産責任者」コインデスク
トランプ政権のAI・暗号資産責任者であるデービッド・サックス氏の会見についての報道です。「黄金時代」とは言っていますが、ビットコインの戦略的準備金を期待している向きからすると期待外れのようです。
「ビットコインは2028年までに50万ドル到達: スタンダードチャータード」コインデスク
こういった強気の見方は依然として出てきます。「ボラティリティが低下するにつれて上昇」とありますので、落ち着くのを暫く待ったほうが良さそうです。