年初から荒い値動き、話題の中心は・・・
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2024年1月10日20時時点では661万円台と、前回のコラム執筆時(12月27日23時半過ぎ)から約7.5%上昇した水準で推移しています。
昨年のBTC円は217万円付近からスタートとし、結局176%の上昇率を記録して終えました。2024年元旦の日本時間9時(UTC、世界協定時刻0時)は599万円前後から始まり、そこからだと既に10%の年初来騰落率です。
※BTCと他商品の上昇率の比較、Trading Viewより
底堅いビットコイン相場ですが、じつは年初から結構荒い値動きとなっています。市場の話題の中心は昨年後半と変わらず、米大手運用会社が相次いで申請した現物ビットコイン上場投資信託(ETF)に関してです。
3日には、米証券取引委員会(SEC)が主要な証券取引所関係者とミーティングをしており、10数件ある現物ビットコインETF申請の一部、または全てを承認しようとしている前向きな兆候とする記事も見受けられました。
「SEC, stock exchange officials meet ahead of potential spot bitcoin ETF approval」米FOX BUSINESS
(SECと証券取引所の関係者が、スポットビットコインETFの承認に先立ち会合を開く)
しかしながらこの日、BTC円は645万円付近から590万円割れまで大きく値を下げてしまいます。暗号資産サービスプロバイダーが、SECは今月、全ての現物ビットコインETFの上場申請を却下すると予想したことがきっかけのようです。
「SECはビットコイン現物ETF申請を却下すると予想:マトリックスポート」コインデスク
理由の1つとしてはやはり、ゲンスラ―SEC委員長が米国における暗号資産を容認していないことを挙げています。
現物ビットコインETF、老若男女も?!
BTC相場は3日に下落したものの意外とアッサリと切り返し、対円では5日に640万円前後まで回復。数日以内に現物ETFが承認されるとの期待感は根強かったようです。
「ビットコインETFは莫大なビットコイン取引の火付け役となる」コインデスク
承認されると暗号資産市場に投資資金が殺到するとの見方を示す記事です。老若男女の一般投資家からの需要があり、ETF発行者はビットコインの購入に追われるだろうと述べています。
ETF販売に向けて発行元も、資金をより多く集めようと必死なようです。
「ビットコインETFの「フォームS-1」最終修正が提出される」コインテレグラフ
取引手数料を申請当初より引き下げる修正案が、複数の資産運用会社からSECに提出されたとしています。現物ビットコインETFを巡る手数料戦争が始まったようだ、と記事で言及されています。
フェイクニュースで右往左往、待つのが得策?
10日の日本時間早朝、670万円を超えたところで推移していたビットコイン(BTC)円は一時690万円まで一気に値を上げました。きっかけは、米証券取引委員会(SEC)のX(旧ツイッター)アカウントで「現物ETFを承認した」と投稿されたことです。
しかしその後、コメントはアカウントが乗っ取られたことによるフェイクニュースだということが判明し、BTC円は650万円付近まで急落。
「米SECアカウントに不正アクセス-ビットコインETF承認と偽投稿」Bloomberg
もっとも、承認が却下されたわけでもないため、一巡後は再び底堅い動きとなっています。
※Trading Viewより
一連の動きでは、買った人も売った人も痛い目にあったようです。以下の記事では、約5000万ドルのロングと3600万ドルのショートが先物市場で清算されたと述べています。
「Fake Bitcoin ETF Approval Tweet Causes $90M in Liquidations」CoinDesk
(偽のビットコインETF承認ツイートで9000万ドルの清算金発生)
やはりポジションは回転させず、買ってじっと待つのが良いのでしょうか。
「マイクロストラテジー、ビットコイン上昇で2024年にすでに約8億ドルの含み益」コインテレグラフ
※追記(1月11日10時30分)
日本時間11日早朝(米10日夕方)、米証券取引委員会(SEC)は現物ビットコインに連動する上場投資信託(ETF)11本を承認したと発表しました。一部ETFは米11日から取引が開始されると見込まれています。ビットコイン(BTC)円は日本時間8時台に695万円まで上昇し、その後利食いの売りで680万円割れまで下押ししています。