暗号資産ウォッチャー これに注目!

第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」

夜中に激しく動いた理由は

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は8日17時、対ドルで2万3200ドル付近、対円では304万円台と前週比約1.3%高で推移しています。

 

底堅くはありますが、あまり動いていないように見えます。しかしながら、じつは日本時間8日2時(米東部時間12時)過ぎから激しく上下していました。BTCドルは2万2900ドル付近から2万3400ドル台まで急ピッチで値を上げ、その後2万2800ドル割れまで急落しました。その後は再び強含んでいます。

 


※Trading Viewより

 

現在の金融市場で参加者が最も気にかけているのは、経済規模が世界1位である米国の金融政策でしょう。その政策をリードするパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のインタビューが、多数の有識者が参加するワシントンD.Cのエコノミッククラブで行われました。

 

なぜこれでビットコインが右往左往させられたかというと、デジタル資産運用会社コインシェアーズの調査部門トップ・バターフィル氏の見解が当てはまりそうです。2日の日本時間未明に発表された米・金融政策を受けた動きをもとに、「ビットコインは金利に敏感な資産(Bitcoin is an interest rate sensitive asset)」と同氏はツイートしました。


 


James Butterfillのツイッターより

 

ゴールドのように金利を生まないビットコインは、常にではありませんが「米金利の低下で買い、上昇は売り」で反応することがあります。

 

パウエルFRB議長は8日、前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の定例記者会見と同じように「インフレの減速基調」を認めました。これを受けて米長期金利が低下し、BTCには買いが入ったようです。

 

しかしながらその後、「好調な米労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性がある」とパウエル議長が述べると、米金利は上昇。BTCは反落しています。


買い遅れ感あり?!、機関投資家も参入


8日のパウエルFRB議長のインタビューを終え、米金利は高止まりしたままでした。一方でBTCは買い戻し優勢となっています。BTCが下がり切らないのは、昨年末にかけて弱気な見方も少なからずいたことが影響していると思われます。1月のロケットスタートが一部参加者にとってはかなりの想定外であり、相場にはまだ買い遅れている向きも多いように感じます。


機関投資家の買いもBTCの下値を支えていると言われています。 


こちらコインテレグラフの記事「機関投資家の資金流入が7カ月ぶりの高水準」は、前述したコインシェアーズの週間レポート「デジタル資産ファンドフロー」をもとに作成されています。また、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙も「ビットコインの復活、背後に機関投資家」との記事を出しています。


コインシェアーズはドイツやカナダからの資金流入が多かったとし、WSJは「米国の投資家が最近の相場を支えているようだ」という関係者の発言を紹介し、欧米から積極的な買いが入っていることがうかがえます。


 1月プラスの年は勝率高し


暗号資産分析サイトcoinglassによれば、BTCドルは1月に39.63%上昇して終えました。月間の上げ幅としては21年10月にほぼ並び、1月としては2013年以来の高い上昇率を記録しています。


※coinglassサイトより

 

1月がプラスで終えた年について、暗号資産サービス企業MATRIXPORTの調査記事がこちらです。↓

「Bitcoin Price Could Reach $45K by Christmas」(ビットコイン価格はクリスマスまでに4万5000ドルに到達する可能性)

 

↑のcoinglassは2013年からの記録であり、BTCが1月に上昇して終えた年は5回です。しかしながらMATRIXPORTは更にさかのぼり、同月プラスは過去6回としています。


記事のポイントは、1月が月間プラスで終えた6回のうち5回が年間を通しても利益を出し、その平均リターンは245%以上!もし今年もそうなれば、BTCドルはクリスマスまでに4万5000ドルを目指すとしています。ドル円が130円付近とした場合、BTC円は585万円まで上昇することになります。

 


ビットコインの短い歴史のなか、「6回中5回がそうなった」ということにどれほど統計的な価値があるか分かりません。特にビットコイン以外のアルトコインの影響も拡大している今、過去の例から楽観的な見通しを単純に受け入れるのは危険かもしれません。ただし、「収益チャンスは逃したくない」という気持ちがあるのも確かでしょう。

 

いずれにせよ、暗号資産を取引したくなったときのために交換業者に口座だけでも作っておいても損はありません。口座開設がまだの人は第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」の後半部分を参考にしてみてください。

この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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