夜中に激しく動いた理由は
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は8日17時、対ドルで2万3200ドル付近、対円では304万円台と前週比約1.3%高で推移しています。
底堅くはありますが、あまり動いていないように見えます。しかしながら、じつは日本時間8日2時(米東部時間12時)過ぎから激しく上下していました。BTCドルは2万2900ドル付近から2万3400ドル台まで急ピッチで値を上げ、その後2万2800ドル割れまで急落しました。その後は再び強含んでいます。
※Trading Viewより
現在の金融市場で参加者が最も気にかけているのは、経済規模が世界1位である米国の金融政策でしょう。その政策をリードするパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のインタビューが、多数の有識者が参加するワシントンD.Cのエコノミッククラブで行われました。
なぜこれでビットコインが右往左往させられたかというと、デジタル資産運用会社コインシェアーズの調査部門トップ・バターフィル氏の見解が当てはまりそうです。2日の日本時間未明に発表された米・金融政策を受けた動きをもとに、「ビットコインは金利に敏感な資産(Bitcoin is an interest rate sensitive asset)」と同氏はツイートしました。
ゴールドのように金利を生まないビットコインは、常にではありませんが「米金利の低下で買い、上昇は売り」で反応することがあります。
パウエルFRB議長は8日、前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の定例記者会見と同じように「インフレの減速基調」を認めました。これを受けて米長期金利が低下し、BTCには買いが入ったようです。
しかしながらその後、「好調な米労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性がある」とパウエル議長が述べると、米金利は上昇。BTCは反落しています。
買い遅れ感あり?!、機関投資家も参入
8日のパウエルFRB議長のインタビューを終え、米金利は高止まりしたままでした。一方でBTCは買い戻し優勢となっています。BTCが下がり切らないのは、昨年末にかけて弱気な見方も少なからずいたことが影響していると思われます。1月のロケットスタートが一部参加者にとってはかなりの想定外であり、相場にはまだ買い遅れている向きも多いように感じます。
機関投資家の買いもBTCの下値を支えていると言われています。
こちらコインテレグラフの記事「機関投資家の資金流入が7カ月ぶりの高水準」は、前述したコインシェアーズの週間レポート「デジタル資産ファンドフロー」をもとに作成されています。また、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙も「ビットコインの復活、背後に機関投資家」との記事を出しています。
コインシェアーズはドイツやカナダからの資金流入が多かったとし、WSJは「米国の投資家が最近の相場を支えているようだ」という関係者の発言を紹介し、欧米から積極的な買いが入っていることがうかがえます。
1月プラスの年は勝率高し
暗号資産分析サイトcoinglassによれば、BTCドルは1月に39.63%上昇して終えました。月間の上げ幅としては21年10月にほぼ並び、1月としては2013年以来の高い上昇率を記録しています。
※coinglassサイトより
1月がプラスで終えた年について、暗号資産サービス企業MATRIXPORTの調査記事がこちらです。↓
「Bitcoin Price Could Reach $45K by Christmas」(ビットコイン価格はクリスマスまでに4万5000ドルに到達する可能性)
↑のcoinglassは2013年からの記録であり、BTCが1月に上昇して終えた年は5回です。しかしながらMATRIXPORTは更にさかのぼり、同月プラスは過去6回としています。
記事のポイントは、1月が月間プラスで終えた6回のうち5回が年間を通しても利益を出し、その平均リターンは245%以上!もし今年もそうなれば、BTCドルはクリスマスまでに4万5000ドルを目指すとしています。ドル円が130円付近とした場合、BTC円は585万円まで上昇することになります。
ビットコインの短い歴史のなか、「6回中5回がそうなった」ということにどれほど統計的な価値があるか分かりません。特にビットコイン以外のアルトコインの影響も拡大している今、過去の例から楽観的な見通しを単純に受け入れるのは危険かもしれません。ただし、「収益チャンスは逃したくない」という気持ちがあるのも確かでしょう。
いずれにせよ、暗号資産を取引したくなったときのために交換業者に口座だけでも作っておいても損はありません。口座開設がまだの人は第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」の後半部分を参考にしてみてください。