暗号資産ウォッチャー これに注目!

第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」

ビットコイン、4月は売りスタート

 

代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は4月3日23時時点で対円では1010万円付近と、前週(7日前)比5%安で推移しています。

 

先月末にかけて1080万円台まで上昇し、3月14日につけたBTC円の最高値(1090万円)を目指すかと思いきや、今月に入り失速。2日には980万円手前まで売り押される場面がありました。直近高値からの下落率は、一時9%以上にもなりました。 


※Trading Viewより

 

お決まりの清算が・・・

 

BTCドルも7万1000ドル後半から6万4500ドル台まで反落。執筆時点では6万6400ドル台で下落は一服しています。

 

水準を大きく切り下げた時には、お決まりの先物市場における買いポジションの清算が進んだようです。

「ビットコインが急落 1億6500万ドルのポジションが清算」コインテレグラフ

 

また、一部の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)からの流出も相場の売り圧力に繋がりました。

「ARK21シェアーズのビットコインETF 流出額が・・・」コインテレグラフ

 

しかしながら、これまたお決まりの先物清算が一巡すると買いが盛り返すパターンとなっています。

 

※Trading Viewより

 

3月はまたプラス、月間では最長記録

 

暗号資産分析サイトcoinglassのデータによれば、BTCドルの3月の月間騰落率は16.8%上昇でした。

 

1月は1%未満でしたが小幅高だったので、これで昨年9月から7カ月連続で月間プラスを記録しています。データが残されている2013年以降では、7カ月は最長記録です。

 

これまでは2017年と18年に5カ月連続の月間プラスがあり、その後20年10月から21年3月までの6カ月というのが最も長い月間プラスでした。

 

※coinglassより

 

下げも目立った?いや、やはり買いが

 

確かに3月も堅調なBTCドルでしたが、下げも目立ったようにも感じます。高値更新が続いた後の下落だったのでニュースにもなり易かったのかもしれません。

 

前述したcoinglassのサイトでは、1日ごとの騰落率も表示されています。


 


※3月13日以降は、こちらのサイト https://www.coinglass.com/ja/todayを参照してください。

 

上昇した日を「勝ち」、下落で終えた日を「負け」とすると、3月は18勝13敗でした。勝った日の平均上昇率は3.04%、負けた日の平均下落率は2.83%となります。

 

最も上げた日と上昇率は20日の9.5%、次いで4日の7.9%でした。5%近い上げ幅の日も2日あります。逆に最も下げた日は19日の-8.25%、次いで5日の-6.36%です。他、6%下げた日がもう1日あります。

 

大幅に上昇した4日の翌日に上げ幅を縮小し、急落した19日の翌日に暴騰するなど「一方向の相場など無い」ということを物語っているように見えます。

 

いずれにせよ、月間で大幅に上昇しているので当たり前ですが、結局は強かったということが分かります。

 

ダブルトップの可能性には念のため

 

BTC相場は月初の下げは一服したものの、日足チャートをみると気になることがあります。

 

BTC円が1090万円台の過去最高値を記録した3月14日、一旦下げた後の戻り高値1084万円をつけた同月27日は両日とも陰線(終値が始値より低い)でした。買い方が息切れしてきたのかもしれません。

 

また、相場の勢いを示すテクニカル指標の1つRSI(14日)が2月末以降、水準を切り下げてきました。高値を更新にRSIが付いていかない場合、上昇トレンドの一旦の終了が示唆されているという見方があります。


 ※Trading Viewより


3月半ばと下旬の高値でダブルトップという形が作られているようにも見えます。単純ではありますが、まもなくビットコインの半減期を控えて相場が強気に傾き過ぎる可能性もあるなか、その逆の動きにも備えておくのも必要でしょう。

この連載の一覧
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
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第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
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第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
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第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
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第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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