最大の不安要因が後退?!
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年5月1日9時過ぎ、対円では1348万円前後と前週(7日前)比で約0.5%高い水準で取引されています。BTCドルが9万4200ドル台での値動きです。
ここ1週間のビットコインは比較的落ち着いた動きでした。BTC円は4月24日の東京時間夕刻につけた1310万円付近を下値に、25日夜には1381万円台まで反発。その後はやや伸び悩むも、1330万円前後では支えられた動きでした。
トランプ米政権が掲げた高関税を巡り、29日にベッセント米財務長官が「今後数週間で17の貿易相手国と交渉する」と発言。ラトニック米商務長官も「承認待ちの貿易ディールがある」と交渉の進展を示唆しました。
またトランプ米大統領も30日、隣国カナダの総選挙で勝利したカーニー加首相と来週にも直接会って話し合うと表明。大統領は「カナダとは素晴らしい関係を築けると思う」と述べ、これまでの「カナダを51番目の州にする」というような明らかに相手を怒らせる発言を控えています。
世界経済にとって最大の不安要因とされたトランプ関税への警戒感はまだ消えてはいませんが、後退したことは確かです。投資家が積極的にリスクを取るまでには至っていないものの、4月前半に見られたとにかくリスク資産を手放すという状況は一旦去ったということでしょう。
株式相場も底堅さを取り戻すなか、リスク資産でもあるビットコインも下値を固めつつあるように見えます。
※Trading Viewより
BTC、月間では3カ月ぶりの上昇
ところで4月末には、米国の1-3月期国内総生産(GDP)速報値が発表されました。前期比年率で小幅な増加予想から0.3%減と下振れ、3年ぶりにマイナス成長記録。その他、雇用データを含めた複数の経済指標も軒並み弱いものが目立ちました。
トランプ関税の悪影響が経済データにも反映され始めたということでしょう。この結果を受けてビットコインも下げる場面がありましたが、調整の範囲内で終わりました。
暗号資産分析サイトcoinglassによれば、4月のBTCは結局、対ドルで14%超上昇して終えました。月間でのプラスは3カ月ぶりです。年初来でも、わずかながらプラス圏に浮上してきました。
主要なアルトコインをみると、イーサリアム(ETH)は月間で1.6%安/年初来で46%安とまだまだ弱いままです。一方、リップル(XRP)は月間で4.8%高/年初来5.4%高とBTCをアウトパフォームしています。ソラナ(SOL)は月間で18%超高と堅調でしたが、年初来だと21%超安とまだ戻りの道半ばというところです。
※Trading Viiewより
話題はアリゾナ、グランドキャニオンではなく…
今週、話題となったのはこちらのニュースです。
「アリゾナ州議会、ビットコイン準備金法案を可決…」コインテレグラフ
米国では現在、連邦政府よりも州レベルでビットコインを戦略的な準備金に取り入れようとする動きが見られます。その先頭に立つのがアリゾナ州です。そう、あの有名なグランドキャニオン国立公園がある州です。
そのアリゾナ州で、戦略的BTC準備金を認める法案が上院/下院ともに可決されました。執筆時点では、ホッブズ州知事の署名待ちというのです。
※「戦略的準備金」とは、国や企業が将来の不確実な状況や緊急事態に備えて、重要な資産を蓄えておく仕組み。経済の安定や安全保障を目的としており、これまでだと以下のような例がある。
・エネルギー不足に備えるための石油備蓄
・通貨価値を安定させるための金(ゴールド)
・国際取引や為替市場の安定化を目的とした外貨保有など
ビットコイン関連の法案の動向を追うBitcoin Lawによれば、「ニューハンプシャー州やテキサス州」も議会の採決は残すところあと1回とされています。
※Bitcoin LawのサイトをGooglCrhomeで翻訳
ビットコインを準備金に組み入れる目的は、「インフレに対するヘッジ、米ドルの購買力低下からの保護、資産価値の上昇の可能性、歳入増加の可能性、財政安定の強化、長期的な成長見通しの強化、準備資産の多様化」とされています。
アリゾナ州は人口およそ769万人と全米50州中で14位、州の名目GDPは5520億ドルと16位です。その州が、ビットコインに対する新たな1歩を踏み出すことになるのか注目されます。