ビットコイン 対ドルでは3万ドルが抵抗水準に
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は5月10日17時時点、対ドルでは2万7600ドル前後と前週比で約3.5%安と伸び悩んでいます。BTC円が373万円台での推移です。
5月第1週のBTCは3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控えて弱含むも、結果(予想通り0.25%利上げ、引き締め休止の可能性示唆)発表後には反発しました。
↓この記事のように米地銀に対する経営不安が大きく高まり、再び代替資産としてBTCに資金が向かう場面もありました。
「相次ぐ米地銀の破綻が仮想通貨の普及に拍車をかける」Forbes JAPAN
ただし一巡後は、BTCドルが3万ドル付近、BTC円は400万円台が抵抗水準として意識されている値動きです。
※Trading Viewより
4月、振り幅ありながらもプラスで終了
4月を振り返ると、昨年6月以来の高値3万1000ドルまで上昇後に2万7000ドルを割り込む場面もあるなど、相変わらずの振り幅でした。しかしながら、月引けは2万9200ドル台と月間では約2.8%高で終えています。
年始から堅調だったBTCドルは、4月末までの年初来騰落率も76%強としっかりプラスを維持。暗号資産分析サイトcoinglassによれば、0.03%高で終えた2月も含めると月間では4カ月連騰です。
4カ月というのは、2020年10月から翌21年3月に記録した6カ月連騰以来となります。当時は1万800ドル前後から始まり、5万8800ドル付近で終えました。
※BTCドル 月間騰落率、coinglassより
取引手数料が急騰、その原因は
さて先週末から、ビットコイン関連のニュースでは取引手数料に関するものが目立っています。
「ビットコイン取引手数料が2年ぶりの高水準に・・・」コインテレグラフ
記事によれば、5月3日にビットコインのブロックチェーン上で支払われた手数料は4月下旬から4倍にもなったということです。
手数料とは、トランザクション(取引データ)をマイナーに承認(ブロックチェーンに記録)してもらうために支払うものです。手数料の金額によって承認の優先順位が決まります。※取引所の売買手数料とは違う。
↓のグラフはBlockchain.comが集計した過去1カ月のBTCドルの値動きと合計取引手数料推移です。黒ラインがBTCドル、青が手数料を示し、5月3日以降も手数料は急騰していることが分かります。
今回のビットコイン手数料の高騰は、そのブロックチェーン上に作られたトークン規格「BRC(Bitcoin Request for Comment)-20」に注目が集まり過ぎたことが原因と言われています。
「ミームコイン人気を裏支えするBRC-20トークンとは」BEINCRYPTO
DomoというオンチェーンアナリストがBRC-20トークン規格を今年3月に作成。その目的は、NFTや代替可能なトークンをビットコインブロックチェーン上で容易に発行および転送できるようにすることでした。この機会を捉えて、一攫千金を夢見る人がかなり増えたようです。
以下は Ordspaceというサイトに記載されいているBRC-20トークンのランキングのトップ5です。
本家を上回る、しかしながら弊害も
「ビットコイン上のBRC-20規格トークン、2週間足らずで時価総額680%上昇」 コインデスク
BRC-20で発行されたトークンの取引が集中し、4月末から5月初めでは本家ビットコインよりも取引数が上回りました。BRC-20トークン全体の時価総額はその後も更に拡大し続けています。
こういったサイトも見つけました。
「How to Deploy & Mint BRC-20 Token Using UniSat Wallet?」
UniSatウォレットを使い、BRC-20トークンの作成・発行の仕方を伝えています。簡単というわけではなさそうですが、がんばれば自分でトークン発行も可能?ということでしょうか。
やはりというか、BRC-20トークンの盛り上がり過ぎによる弊害も出てきました。ネットワーク上で処理待ちの取引が大量に積み上がってしまい、その影響で世界最大の暗号資産交換所バイナンスはビットコインの引き出しを一時停止しました。
「バイナンス、ビットコイン引き出し一時停止 大量取引で手数料上昇」ロイター通信
そして気になるのは、@WhaleWireの5月9日のツイートです。
急騰しているビットコインの取引手数料は過去3番目の高水準であり、今回以上に高い手数料を記録した過去2回(2017年と2021年)を振り返っています。
2017年のBTCは堅調に推移しながらも、対ドルでは17年末の約2万ドルで頭打ちとなりました。21年のBTCも過去最高値を更新し続けましたが、年後半の6万8000ドル付近で確かにピークアウト。その後、高値から8割の価格修正があったと指摘されています。
ツイートでも「これが繰り返されるか?」と問われている、手数料高騰後のBTCの大幅な調整。一応、念頭には入れておいたほうが良いかもしれません。