BTC、最高値を更新 対ドルでは10万ドル超え
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は12月12日9時頃、対円では1540万円付近と前週(7日前)と比べて約3.6%高い水準で取引されています。BTCドルが10万1000ドル前後での値動きです。
前回コラムでも触れましたが、トランプ次期米大統領が暗号資産推進派とされるポール・アトキンス氏を次の米証券取引委員会(SEC)委員長に指名しました。これを好感した買いが強まり、上昇力は5日夜中には最高潮に達しました。
BTCドルは節目とされた10万ドルを超えて10万3000ドル台まで急騰します。BTC円も1500万円に乗せると1559万円台まで史上最高値を更新しました。
※Trading Viewより
BTC、ロングの投げ合戦
しかしながら一巡後、BTC相場は達成感からか一転売り戻しが優勢となります。5日NY午後(日本時間6日未明)には、先物市場を中心としたロングの投げ合戦が始まってしまいました。
BTCドルは10万ドルを再び割り込み、一旦は5日始値の9万8000ドル付近で下げ渋るも、そこを抜けると一気に9万2000ドル手前まで急落しました。高値から約11%の下落率であり、その半分以上(6%下落率)が5分間のうちに起きたことでした。
※Trading Viewより
BTC円も、最高値を更新した6-7時間後には1430万円の手前まで売り戻されました。
しかしながら外国為替でドル円が150円前後の水準だったことを考えると、下押し幅は狭いと言えるでしょう。単純な計算だと9万2000ドル×150円=1380万円です。本邦取引所の気配値との差は50万円、3%超もあります。
今回のようなBTCドルとBTC円の安値の違いは、暗号資産の取引所がそれぞれ独立している(相対取引)ことが要因です。取引所それぞれに異なる投資家が参加し、そうなると流動性も変わってきます。注文状況も違い、取引所のシステムメンテナンスの時間次第ではトレードできないときもあるでしょう。
ただし最近では暗号資産の取引量が増えたからか、それぞれの取引所で流動性が保たれ、高値安値は似たような水準で収まっていました。今回のようにBTC相場で大きな差がでるということは稀であり、そのくらい参加者がパニックになっていたということが考えられます。
やはり頼りはETFとトランプ氏?!
日本時間6日早朝の急落をこなすと、ビットコイン相場は再び底堅さを取り戻しました。
「ブラックロックとMARA ビットコイン下落時に大量なBTCを追加購入」コインテレグラフ
現物ビットコインETFを提供している資産運用大手ブラックロックは5日、BTCの急落時も含めて7500BTC以上を購入。また上記の記事では、ビットコインマイナーのMARAホールディングスが5日から6日にかけて1400BTC超を購入したことも報じています。
暗号資産分析サイトcoinglassによれば、米国の現物ビットコインETFは11月27日から10営業日連続で資金流入超を記録していました。※12月11日には概算現物
※coinglassより、米BTCスポット(現物)ETFのネットフロー 緑が流入超・赤が流出超
9日の記事になりますが、Bloombergもトランプ氏が米大統領選に勝利した後、ビットコインETFに約100億ドル(1兆5000億円以上)の資金が入ったと報じています。
トランプ次期米大統領は、新政権にAI・暗号資産責任者という新たなポストを作り、クラフト・ベンチャーズの共同創業者デービッド・サックス氏の起用を発表しました。暗号資産支持に転換したトランプ氏が示した本気度が、市場に買い安心感を与えています。
アルトコインの嵐が過ぎ去ると
さて先週末に底堅さを取り戻したBTC相場でしたが、週明けは上値重く始まりました。これはBTCというよりも、アルトコインと言われるBTC以外の暗号資産に売り圧力が強まったことに影響を受けました。
「暗号資産が全面的に急落──ADA、AVAX、XRPが約20%安で下落を主導」コインデスク
BTCには遅れましたが、アルトコインも上昇してきました。しかしながら流動性がビットコインに比べると少ないアルトコインですので、値が飛びやすいのは確かです。一旦下落し始めると売りが売りを呼ぶパターンはこれまでに何度も起きています。
※coinglass 暗号資産先物の清算、12時間ごと
coinglassによる先物市場での清算チャートをみると、暗号資産でロングの清算額がもっとも大きかったのは9日あたりです。一方BTCだけでは、急落した5日に比べると9日に清算された額は少なめと言えるでしょう。
※coinglass ビットコイン先物の清算、12時間ごと
アルトコインの嵐が過ぎ去ると、案の定BTC相場は再び水準を切り上げています。