最高値から9%程度の下落なら…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は12月19日14時頃、対円では1565万円前後と前週(7日前)と比べて2%ほど高い水準で取引されています。BTCドルが10万1000ドルをやや割れた水準での取引です。
17日夜に再び最高値を更新(対円で1665万円台、対ドルでは10万8300ドル台)するも、世界中が注目する米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてか、一巡後は持ち高調整の売りが優勢となりました。
18日のニューヨーク午後(日本時間19日未明)に公表されたFOMCの結果では、市場予想通りに政策金利の0.25%引き下げ決定が発表。しかしながら当局メンバーの経済金利見通しでは、来年の利下げペース鈍化が明らかに。米・中長期金利の急上昇とともに、株などのリスク資産が急落します。
今やリスク資産のとして位置付けが大きいビットコインも売り圧力が増しました。対円では1528万円まで下落し、対ドルでは10万ドルを割り込むと9万8700ドル台まで下げ足を速めました。
もっとも最高値からの8-9%程度の下落は、暗号資産にとってあくまで調整の範囲内です。ビットコインも下げ一巡後、底堅い動きとなっています。
アルトコイン、上昇要因が一巡
ここで、ビットコイン以外の暗号資産(総じてアルトコインと言われる)で時価総額が大きいものを見てみましょう。19日午後、前週比でイーサリアム(ETH)は4%超安/リップル(XRP)が3%弱安/ソラナ(SOL)も7.6%安、ドージコイン(DOGE)やカルダノ(ADA)などは10%を超えた下げ幅です。
11月に暗号資産支持を米選挙で訴えていたトランプ氏が大統領選に当選すると、多くのアルトコインも堅調となりました。ここで、簡単に振り返ってみます。
・イーサリアムリアム(ETH)は、米国で資金流入が続く現物イーサリアムに裏付けされたETFが相場の支えになっていました。暗号資産分析サイトcoinglassによれば、18日までで26営業日連続で純資金の流入を記録しました。
・11月以降のリップル(XRP)急騰は、これまで規制に積極的だったゲンスラ―米証券取引委員会(SEC)委員長が来年1月に辞任することが決定したことや、リップルの現物ETFの上場申請などが要因とされました。リップル社による米ドル連動型のステーブルコイン「RUSD」発行も、XRPの印象を良くしました。
「リップルのステーブルコインRLUSD、リリース前に…」コインデスク
※ステーブルコインとは、法定通貨や金など安定した資産に価値を連動させた暗号資産。価格の安定性を重視し、取引や決済手段としての実用性が高い。法定通貨担保型ではテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)の時価総額が大きい。
・ドージコイン(DOGE)は世界的な実業家(スペースXやテスラのCEO)イーロン・マスク氏の支持で知られています。そのマスク氏が、今回の米大統領選で共和党のトランプ側につきました。新たな政権下で「政府効率化省」(実際には省ではないが便宜上そう呼ばれている)の主導する1人とみられています。
マスク氏がトランプ大統領と急接近したことでドージコインのイメージも急上昇し、価格も急騰しました。ちなみに「政府効率化省」は英語で、Department of Government Efficiencyであり、頭文字をとるとD.O.G.Eとドージコインを連想させました。
・ソラナ(SOL)は、これまで頻繁に起きてきたネットワーク障害から回復し、信頼が再構築されています。また、こちらも現物ETFの承認期待が高まったことで上げ幅を広げました。
しかしながら、これらアルトコインの上昇要因もある程度は市場で消化され、期待感による買いも一巡してしまったようです。ビットコインが下げ渋るなかでも、アルトコインは上昇を諦めた売り戻しが強まりました。
※coinglassより、現物イーサリアムETFの資金流出入チャート
米、戦略備蓄への期待感が…
今、世界で最も注目されている人物の1人・トンランプ米次期大統領が今週前半、再びビットコインの戦略備蓄制度を創設計画について言及したようです。
「トランプ氏言及のビットコイン戦略備蓄、想定される機能や利害」ロイター
米国では、トランプ氏が大統領に就任した初日にビットコインを準備資産に指定する可能性が取り沙汰されました。
「トランプ次期大統領、「初日 」にビットコインを米国の準備資産として使用?」コインテレグラフ
新たな米大統領の就任まで約1カ月となり、「米政府が公けにビットコインをかき集め始める」ことへの期待感が高まっています。ただし、そうそう簡単にはいかない可能性は当然あります。期待先行には常に注意が必要です。