BTC円、最高値からだと・・・
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は4月18日13時頃、対円では960万円付近と前週(7日前)と比べて11%ほど下落した水準です。BTCドルが6万2000ドル前後で取引されています。
BTC円は先週末、12日の1090万円付近を頭に売り戻しが優勢となりました。翌日には1010万円近辺まで下落し、14日早朝には946万円台まで一気に下げ足を速めました。
週明けからは買い戻しが優勢となって1030万円付近まで持ち直すも、一巡後は再び弱含む展開に。半減期への期待が高過ぎたことへの反動なのか、ロングの投げを巻き込みながら、17日夜中には一時928万円台と過去最高値1100万円付近からだと15%超の下落幅を記録しています。
※Trading View より
売られたのはミサイルのせい?
多くのメディアで報じられていますが、先週末は中東の地政学リスクへの警戒感が一気に高まりました。13日から14日にかけてイランが、イスラエルに向けて多数の軍事用ドローンやミサイルを発射。しかしながら前日からイランが攻撃を準備しているとの情報が出回っていたため、イスラエル側の防衛は万全であり、空爆のほとんどが迎撃されたと報じられています。
金融市場は12日からリスク回避ムードが強まり、週引け前の米国市場では株売り・国債買い、安全資産とされる金への資金流入も進みました。為替は避難通貨とされるスイスフランや円が買われ、また世界の基軸通貨であるドルへの資金還流も見られました。
ビットコインといえば、この12日から売られています。つまり何らかのリスク(今回は中東情勢の緊迫化や不透明感の高まり)が高まったとき、手放したい資産だったということです。
特に、為替や株・債券などと違って土日や祝日でも取引ができるため、現金化したい人が集中しやすいということもあるのでしょう。
サトシさんの期待とは違う?
さて、ビットコイン考案者であるSatoshi Nakamotoが2008年に発表した論文「ビットコイン: P2P電子通貨システム」では、「完全なP2P電子通貨の実現により、金融機関の介在無しに、利用者同士の直接的なオンライン決済が可能となるだろう。」から始まります。
※P2Pとは「peer to peer」の略語であり、ネットワーク上で機能に違いのない端末同士が対等な関係で直に接続し、互いの持つデータや機能を利用しあう方式のことです
論文では、ビットコインネットワークの構築で、政府や中央銀行による信用を拠りどころとしない「非中央集権的な通貨」が実現可能とされました。いちいち国や銀行など第三者を通さずに済み、個人同士で直接、価値のやり取り(送金や決済)ができる仕組みです。
ビットコインが目指していたところは、ユーザーが自ら管理し・匿名性も高く・世界中で動かせる「自由さ」でしょう。
もし最初の目論見どおりに「何人にも管理されない通貨」になっていれば、本当ならばリスク耐性も強いはずですが、逆にリスク高で売られてしまっています。
現状は、日本では金融庁、米国だと証券取引委員会(SEC)などの規制当局の監督下にある交換所(取引所)を通じての売買が主流です。また、米国で上場された現物ETFがビットコインそのものの位置づけを変えたようにも見えます。
第10位、重要度が増した分だけ
決してビットコインの現状を否定しているわけではなく、Satoshiさんの期待とは違ってきていることを確認したかったということです。
執筆時点では、ビットコインの時価総額はドル換算で1兆2140億ドルです。
「Top Assets by Market Cap」 によれば、金をトップにする時価総額ランキングではメタ社に次いで10位。バークシャーハザウェイよりも上です。
明らかにビットコインの重要度が増しており、金融市場での位置付けは既存の商品と同じになってきたのではないでしょうか。決済にも使われていますが、今のところ通貨という面影はないように思えます。