暗号資産ウォッチャー これに注目!

第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」

 ビットコイン、11月は3年ぶりのプラス

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)はこの1週間で急騰しました。12月6日13時過ぎ時点のBTC円は646万円前後と7日前比で15%以上の上昇率です。この日の早朝には654万円台と約2年ぶりの高値まで買われました。

 

BTCドルに関しては4万4500ドル手前まで上げ幅を拡大し、こちらは昨年4月以来の高値を更新。暗号資産全体に対するビットコイン時価総額のシェア=ドミナンスも54%台まで伸びています。

 

暗号資産分析サイトcoinglassのBTC月次リターンの表を見てみましょう。こちらは対ドルで騰落率になります。

※騰落率とは、市場においてある期間の価格の変動率を表す

 

11月のBTC騰落率は8.81%上昇でした。10月の28.5%に比べると確かに上げ幅は小さいですが、11月としては3年ぶりのプラスです。月間プラスも3カ月連続となりました。

 

そしてなんと、執筆時点では12月がすでに15%超えの上昇率となっています。

 

※coinglass よりビットコインの月次リターン

 

取り残されることへの恐れ、それはFOMO、

 

ここで直近の値動きをBTC円の時間足チャートで振り返ってみましょう。↓

 

まず12月の入り際、ここでも11月に3度止められた水準573-574万円辺りで上値を抑えられていました。

 

それが、他の金融市場が閉まっている土日、12月3日(日)朝の早朝にレジスタンスの上抜けに成功しました。一気に走るか!と思いきやそうでもなく、ジリジリと値を上げながらも値幅的には狭い動きが続きました。


上昇基調を強め始めたのは、週明け4日(月)からでした。そうなると主要な買い手は土日でも取引きしやすい個人という訳ではなさそうです。

 

※Trading Viewより


一度上がり始めたビットコインは、動き出すと止まらない状態に。買いが買いを呼ぶ展開となりました。


取り残されてしまう(この場合はBTCの上昇から)ことへの恐れ、FOMO(fear of missing out)という不安を覚える症状から手を出してしまった人も多かったようです。

 

「パニック買いでビットコインが4万2000ドルに上昇」 コインデスク

 

コインデスクの記事によれば、BTCドルも重要な抵抗線3万8000ドルを超えて急速に上げたとされています。これまで既に材料視されていた現物ビットコインETF承認への期待や米金利の低下傾向も、再度BTC買いに拍車をかけました。

 

フィーバー中にフィーバーしてた?

 

ここまで書いてきましたが実はわたくし、BTC円の570万円超えから620万円ぐらい上昇を全く知りませんでした。市場を見てなかった、気にしていなかったというのではなく、「頭の片隅にも無かった」というのが正しいです。

 

2日(土)の午後から熱が出始め、夜には39度近くまで上昇。日曜日にも熱は下がらず、休日診療のクリニックに行くとインフルエンザA型と判定されました。

 

処方されたタミフルを飲んでも、4日(月)まで熱が下がらず、BTC相場がフィーバーしていたときに、熱(fever、フィーバー)に苦しめられていました。

 

他の精神力の強い人は分かりませんが、体調が悪いとピコピコと動く市場の数値を見る気などでません。暗号資産関連の情報の多くはX(旧ツイッター)で取っていますが、それらも全く読む気もしませんでした。

 

今回、当たり前のことながら痛感させられたこと「健康第一」でした。

そして体調が悪いとき、相場のことなんて忘れて構いません。もし、ポジションを持っていたらストップロスを置くことは忘れずに。ただしこれは、病気でないときも同じですね。


相場は逃げませんので、体調が回復し、頭がクリアになってからまた向き合うのが良いと思います。

この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
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第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
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第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
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第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
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第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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