BTC 値幅の狭さが続く
暗号資産のなかで一番古く、時価総額が最も大きいビットコイン(BTC)は、12月28日13時時点で対ドルでは1万6600ドル台と1週間前から1%超の下落です。
日足チャートでみると明確ですが、このところ狭い値幅が続いています。20日間のヒストリカル・ボラティリティ(HV)も、10月ほどではありませんが低迷しています。
※ボラティリティとは、その商品の変動度合いや変動率(性)のこと。
以下の【暗号資産よもやま話】も参照してみてください。
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
※Trading Viewより
↓はHV指数を元にした記事ですが、期間7日のためか更に低さが浮き彫りです。また今後のBTCについて、アナリストが楽観的ではない見方をしていることも紹介しています。
「ビットコインのボラティリティが過去最低|サンタラリーは見送り」 コインテレグラフジャパン
取引量も縮小傾向に
ボラティリティの低さはBTC取引量の縮小にも繋がっています。以下は暗号資産情報サイトBLOCKより、取引量の7日間平均推移です。約5カ月ぶりの水準まで低下してきました。
暗号資産全体でも取引量はさえなく、↓のチャートでは7日間平均で約2年ぶりの水準まで縮小したことを示しています。暗号資産動向に影響する主要中銀の金融政策の発表が一巡し、マクロ経済の観点からは材料が一先ず出尽くしたということが要因の一つでしょう。
四半期ベースでは、初めての4連敗
↓の表は、分析サイトcoiniglassによるBTCの期間別利益率です。四半期(クォーター)別を見てみると、今のところ2022年は4四半期連続でマイナス。統計が始まった2013年から昨年まで、年間で3四半期マイナスということはありました。ただしその前年はかなり好調であり、弱かった年は反動による売りだったとも言えそうです。
いずれにせよ、今年は売り材料が目白押しでした。金利先高観によるナスダック軟調(リスク資産売り)、アルゴリズム型ステーブルコイン・テラUSDの崩壊、それに伴う暗号資産レンディング企業やヘッジファンドの連鎖破産が上半期にありました。下半期はもちろん、交換業大手であったFTXによる金融犯罪をきっかけとした暗号資産への不信感の高まりです。
じつは、暗号資産交換業の最大手バイナンスに対する不信感も投資家の慎重姿勢を強めたようです。情報サイト・コインデスクは「バイナンスは大丈夫、ではない」というオピニオン記事を掲載しています。
バイナンスがFTXから受け取った21億ドル相当のトークンFTTのこと、チャンポン・ジャオCEOが訴えた「Proof of Reserve(プルーフ・オブ・リザーブ、以下PoR)」に関し同社自身への不透明感が高まったことなどが指摘されています。
強気の見方も、そしてビットコインは進展していた
主要な暗号資産サイトBlockchain.comの調べでは、暗号資産に対して強気な見方をする投資家は一定数いるようです。
「投資家は依然として強気 約40%が2023年に仮想通貨を購入すると回答=調査」 コインテレグラフ
元記事のタイトルが「Investors Are Cautiously Optimistic Heading into 2023」ですので、cautiously(慎重な)が邦題では抜けていますが・・・。ただ南米やアフリカなどの国が強気ということから想像すると、おそらく暗号資産が必要な人たちが増えてきたようにも感じます。
さて、ビットコイン(BTC)や多くの暗号資産にとって厳しい年ではありましたが、↓コインデスクの記事よるとビットコイン自体は「大きな進展があった年(it was a year of significant progress for Bitcoin)」とされています。
「The 10 Biggest Developments in Bitcoin in 2022」
日本語記事はこちら
1年を通してビットコイン・システムは完璧に動作し、約10分ごとに1ブロックが作られ、サトシ・ナカモトが2008年に発表した通りにBTC発行が続きました。ハッキングなどの問題もなく世界中の誰もが利用可能であり、数10億ドル相当のビットコインがブロックチェーン上で毎日転送されました。
注目すべきは、財団が運用しているわけでもなく/直接雇用されているスタッフもおらず/リーダーも置かれず/ベンチャーキャピタリストもなしでこれを達成したことでしょう。非中央集権的なシステムが機能することを証明しています。
※経済産業省商務情報政策局の資料より。
来年はビットコインの魅力が再確認される年かもしれません。