BTC、方向感出ず
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は5月29日18時頃、対円では1070万円前後と前週(7日前)比で約2.6%安での値動きです。BTCドルが6万7800ドル台で取引されています。
この1週間、BTC相場はやや方向感を失った動きでした。BTC円は週末に1043万円台まで下落も、週明けには1108万円まで切り返しました。もっとも、一巡後は1060万円割れまで上値を切り下げています。
※Trading Viewより
BTCの占有率・・・
BTCドルも先週末の6万6200ドル台を下値に、週前半には7万ドル超えまで持ち直しました。しかしながら大台を維持することはできず、6万7000ドル前半まで押し戻されています。
なお執筆時点では、BTCドルの月間騰落率は12%弱のプラスです。このまま月末引けが6万700ドル以上であれば、月間上昇で終えることになります。暗号資産サイトcoinglassによれば、5月としては4年ぶりの陽線引けの可能性が高まってきました。
ちょっと気になるのはこちらのチャート。昨年12月半ばから直近までの期間で、BTCドル日足チャートにBTCのドミナンスをラインチャートで重ね合わせたものです。
※「ドミナンス(占有率)とは、暗号資産全体の時価総額のうち「ある暗号資産(ここではBTC)」の時価総額の割合です。
※Trading Viewより、ロウソク足はBTCドルの日足/オレンジ線はBTCドミナンス
BTC価格とドミナンスの上昇・下落スピード、動く値幅などにズレはありますが、なんとなく今年に入ってからの方向性に相関関係があるように見えます。
このBTCドミナンスは今年に入り50%手前で下げ止まり、4月半ばには57%付近まで拡大しました。水準としては約2年ぶりの高さになります。そこから月末にかけて縮小し、今月は再び持ち直したものの月半ばから低下基調です。
ETH、ついに
時価総額2位のイーサリアム(ETH)に対する需要増が、ビットコイン(BTC)のドミナンス伸び悩みに繋がっているのかもしれません。
以下のラインチャートは、2月半ばからのBTCとETHのドミナンスの動きです。その下には、暗号資産全体の時価総額を示しています。
※Trading Viewより
ドミナンスは、5月半ばにBTCが拡大してETHは縮小していたところから、BTC低下/ETH上昇に転じています。
SECがついに、取引はまだ?
米証券取引委員会(SEC)は23日、イーサリアム(ETH)の現物で運用する上場投資信託(ETF)の上場を認めました。
「イーサリアム現物ETF、SECが取引所の上場申請を承認」コインデスク
もっとも、前回コラムで触れましたが、SECは現物イーサリアムETFの上場希望の取引所に対して重要書類の更新を要請していました。そのため、既に承認への思惑が高まっていました。
現物ETFの上場承認は織り込み済みだったこと、また取引開始には更なる承認が必要だったこともあり、イーサ(ETH)は承認後に下落しています。「噂で買って事実で売る」という動きとも言えました。
※Trading Viewより
ただし、早ければ「6月半ばには取引が開始される」と見る向きもいるなか、一巡後はしっかりと下値を切り上げてきています。
「ビットコインとイーサリアムのETF、70兆円市場に成長」コインデスク
「イーサ価格は現物ETFの取引開始前までに4500ドルに到達」コインテレグラフ
一部投資会社のレポートやCEOの見解を報じています。現物イーサETFの上場承認で、市場拡大への期待は高まるばかりです。
現物ETF承認前日には米議会が
米証券取引委員会(SEC)が現物イーサETFへの判断を表明する前日、米議会でも暗号資産について大きな決定がされました。
「米下院をFIT21法案が通過|仮想通貨規制の明確化に前進」コインテレグラフ
「米下院、暗号資産規制に向けた「FIT21法案」を可決・・・」コインデスク
米下院は、FIT21法案と言われる「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act(21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法案)」を279対136の賛成多数で可決しました。
上院の態度は不透明ではありますが、暗号資産に関する主要法案が初めて下院を通過したことは、市場に対する規制を確立するための大きな一歩と考えられています。
FIT21では規制機関の役割を明確化し、それにより暗号資産市場の透明性向上や消費者保護の強化を目指しています。これにより投資家の信頼が高まり、市場の健全な成長が期待されているようです。