暗号資産ウォッチャー これに注目!

第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」

ついに大台到達!


代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は3月7日5時頃、対円で999万円付近と前週(7日前)比で約8%高い水準で取引されています。


この1週間も大きく買われました。


28日NY午後に960万円台まで急ピッチで値を上げた後は、一旦900万円割れ。再び持ち直すと920-930万円台を中心に上下する展開が続きました。週明け3月4日から上げ幅を拡大し始め、その後は相変わらずの買いが買い呼ぶ展開に。その日のNY時間にはついに1000万円台に到達しています。その後は調整をこなしながらも強含みむと、5日には1034万円まで過去最高値を更新しました。

 

※Trading Viewより


アジア時間でも上昇しましたが、勢いが強まるのは平日のNY時間のように見えます。やはり、その時間帯で多く取引される現物ビットコイン上場投資信託(ETF)が相場の押し上げに繋がっているのでしょう。


「ブラックロックとフィデリティにFOMOの追い風、ビットコイン急伸」Bloomberg

 現物ETFの好調さを述べている記事です。とくに資産運用最大手ブラックロックの「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト、IBIT」とフェデリティ・インベストメンツの「ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド、FBTC」の人気度が高いとしています。


1月に新たな現物ビットコインETFが立ち上げられましたが、前述した2本が全体の運用残高の8割近くを占めています。


暗号資産分析サイトコイングラスより、3月5日時点


恐れという気持ちが?


 前述のBloomberg記事のタイトルにあったFOMOについてです。


FOMOはFear Of Missing Outの略であり、「見逃すことや取り残されることへの恐怖・不安・ストレス」を指します。市場で何か重要な動きが起きたとき、投資機会を逃してしまうことに恐れを感じて飛びついてしまうことをFOMO投資と言います。

 

上昇する一方のビットコイン相場を見て利益を得るチャンスを逃したと焦り、まるで損をしたように感じる人もいるでしょう。それがリスクは二の次で資金を投入に繋がっているのかもしれません。


ただ今のところ、取引を始めるきっかけとなる心理的な状況の良し悪しは一旦置いておいて、今回のような大相場ではFOMO取引も有効なようです。特に短期間で上昇する暗号資産などでは、(入るタイミングにもよりますが)利益を得られ機会も高まるでしょう。

 


簡単なことは良きこと

 

ビットコイン関連の資料を読んでいると、ブロックチェーン、暗号技術、ハッシュ関数、ウォレット、ノード、公開鍵・秘密鍵、PoW、マイニング、ブロック報酬、コンセンサスアルゴリズム、ハード・ソフトフォーク、ライトにニングネットワーク、半減期など沢山の専門用語が出てきます。

 

こういった言葉の意味を知っておくことも、暗号資産に触れるうえでは必要なのでしょう。しかしながら、投資するうえで必ずしも詳しくある必要はないというのが今回のビットコインの動きでした。


今回の大幅な上昇は、米国で現物ビットコインETFが上場されたことに端を発しています。暗号資産交換所に口座(ウォレット)も、個人のウォレットも秘密鍵・公開鍵も必要なく、簡単にビットコイン保有と同じ状態になれます。

 

実際にはビットコイン価格に連動する投資信託という商品を買っているのであり、暗号資産の利点を全て享受できるわけではありません。証券と同じ様に簡単に資金を投入できるというのがミソです。

 

機関投資家の参入はこれから?!

 

現物ビットコインETFは、機関投資家の暗号資産市場への参入ハードルを下げたと言われています。ここまではフットワークが軽いヘッジファンドや個人投資家がETFの主要なバイヤーだったようです。


先週の記事ですが↓

「ビットコインETFへの資金流入、今後数カ月で・・・」コインテレグラフ

暗号資産取引所のCIOの話として、「主要な証券会社がビットコインETFの取引を提供し始めると、さらに大きな資金流入が見込まれる」との話を紹介しています。機関投資家の資金がビットコインETFに向かうのは「これから」との見立てです。


 ※Trading Viewより


BTCドルも5日、6万9000ドルを超えてついに過去最高値を更新しています。しかしながら約5時間後、一部取引所では5万9300ドルと高値から約14%安まで下げ幅を広げる場面がありました。その後はしっかりと切り返していますが、こういった大きな調整に振り落とされないようにしておきたいものです。



この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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