行って来い相場、BTC 大幅下落からプラス圏を回復
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は、4月26日20時時点で対ドルでは2万9700ドル前後と前週比で約1.5%の上昇率です。BTC円が398万円前後で推移しています。
先週末から今週初にかけて暗号資産全般に売り込まれる場面があり、一時はBTCも下値を大きく広げました。もっとも25日終盤から切り返し、ついにはプラス圏を回復しています。
いわゆる「行って来い相場」でしたが、この1週間の値動きを振り返ってみましょう。何が材料だったかを知っておくのは今後の取引のためにも必要です。
日本時間20日朝にBTCドルは2万9000ドルを割り込み、そのまま下落基調を強めました。2万8000ドルを割れても下げ止まる様子はなく、2日後には2万7200ドル前後まで売られました。
一旦は小康状態になったものの週明け24日の深夜には、約4週間ぶりの安値となる2万7000ドル割れを記録。14日につけた年初来高値からだと13%近くの下げ幅となります。
※Trading Viewより
↓は24日のCoinDeskの記事です。
ドルの流動性低下と米債務上限への懸念が再び高まったことがBTCの重しとしています。この場合、ビットコインは「リスク資産(リスク回避で売られる)」という位置づけのようです。 BTCドルの週間下落率は5カ月ぶり水準まで拡大しました。
強欲すぎた? ロングの投げ
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」でも紹介した、ビットコインの「Crypto Fear & Greed Index(CFGI、暗号資産の恐怖と強欲指数)」を見てみましょう。
CFGIは、暗号資産市場のセンチメント(心理、感情)を表す指数です。市場心理が悲観的であれば数値は低下し、楽観的であれば上昇しやすい傾向にあります。
ビットコインは4月17日時点で69とgreed(強欲)の領域に入っていました。
「Bitcoin Fear & Greed Index Reaches a 16-Month High of 69」watcher.gujru
こちらの記事でも69という数値は、今年3月21日つけた高値を超えて16カ月ぶりの高い水準ということでした。
しかしながら、センチメントが強気度合いを増したにもかかわらず相場は頭打ちに。そうなると買い持ちを閉じる動きが始まり、それが広がって短期の投資家の損切りが誘発。ロングの投げが投げを呼んだという構図でしょうか。
暗号資産分析サイトcoinglassによる、先物市場におけるBTCドルの清算チャートを見てみましょう。
19-21日に少ないくない規模の買い持ちポジションが閉じられていたこと、つまり売り圧力が強まっていたことが分かります。黄色の線で囲んだ緑色のバーがそうです。
イーサリアムも弱かった シャペラ前の水準に
暗号資産で時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、今週半ばまで軟調でした。前回のコラムでも、重要なアップグレード「シャペラ」の数日後には伸び悩んでいることを記載しましたが、その動きは25日深夜まで続きました。
ETHは対ドルで1800ドル手前まで売り込まれ、シャペラ後につけた高値からの下落率は16%近くにおよびました。
※Trading Viewより
イーサリアムにも「Fear&Greed Index」があり、17日時点で73とビットコイン以上に「強欲、強気」でした。そうなると、反動(この場合は下向きの動き)もより大きくなったということでしょう。
また、イーサリアムを中心とした暗号資産を預け入れるウォレット「MetaMask(メタマスク)」で不正流出があったとの報道も、ETH売りに繋がったのかもしれません。
「5000ETH以上の原因不明の不正流出、メタマスク側は原因ではないと主張」コインテレグラフ
ただ記事にあるようにメタマスク側は、ウォレットに問題はないとしています。
そして大幅反発、金融不安が再びBTC買いに
この記事の執筆中にBTCドルは上昇し、24時間比では9%超える上げ幅です。他、主要なアルトコインも総じて堅調ですが、前週比では依然マイナスも多く、BTCの強さがうかがえます。
※CoinMarketCapより、左側の数値はステーブルコインを除くランキング
「Bitcoin Regains $28K Amid Mildly Encouraging Tech Earnings, Liquidation of Short Positions」 CoinDesk
四半期決算が好感されマイクロソフトやアルファベット(グーグルの親会社)の株価が時間外で上昇したことなどがBTC上昇のきっかけと述べています。これもBTC=リスク資産としての位置づけです。
一方、「Bitcoin back above $28,000 as First Republic reignites banking fears」the block
米国のファースト・リパブリック・バンクの大規模な預金流出が明らかとなり、再び金融不安が高まったことで 代替資産としてBTCに資金が向かった可能性も指摘している記事です。
つまり、何がでてもBTCは買いだった、ということでしょうか?
BTCが伸び悩んでいた24日にでた記事です。地合いが弱かったためか、当初あまり話題になりませんでしたが、上昇し始めると注目されるかもしれません。
「Winter is over' and bitcoin may hit $100,000 next year, says Standard Chartered」the block
「ビットコインの冬は終わった、来年には10万ドルに達する可能性がる」
いずれにせよ、強欲になり過ぎには要注意でしょう。