暗号資産ウォッチャー これに注目！

第118回「ビットコイン、クジラが活発化　米大統領選を材料視…」

#いまから… #暗号資産 #資産運用
2024年10月25日
小針 卓哉

BTC、7月末以来の高値圏

 

代表的な暗号資産のビットコイン（BTC）は10月25日8時頃、対円では1036万円前後と前週（7日前）と比べて約2.4％高い水準で取引されています。BTCドルが6万8200ドル台での値動きです。

 

先週末から底堅く推移したBTC円は、週明け21日に7月末以来の1040万円台乗せに成功します。BTCドルも6万9000ドル台まで上昇し、節目の7万ドルが完全に射程距離に入りました。

 

やはり、現物ビットコインETFへの資金流入が相場全般の押上げ要因となったようです。

 「米国の現物ビットコインETF、純流入額が200億ドルを突破」コインテレグラフ

 

しかしながらその後、さすがに短期的な買われ過ぎ感が高まったこともあり、投機筋を中心にした持ち高調整の売りが優勢となりました。

 

それでもBTCは、対円で1000万円割れ、対ドルでも6万5000ドル付近では支えられて切り返しました。BTC円は1044万円台まで直近の高値を更新しています。

 

※Trading Viewより

 

クジラが増えた

 

BTC相場の強さは、1000BTC以上を保有するクジラの動きと関係しているようです。クジラ全体の保有量が、2020年以来の水準に迫ったとされています。その年は、BTC相場が550％の上昇率を記録しました。

 

また、BTCのウォレットでの平均保有期間が155日未満という新しいクジラの勢いが増しているといいう報告もあります。新規クジラのBTC保有残高は197万BTCと年初から813％も拡大し、総供給量の9.3％も占めているというのです。


 

※「Ki Young Ju」の Ｘより

 

総クジラ数の広がりはこちら↓でも報じられており、記事では価格見通しに対する信頼感の高まりを示唆と述べられています。

「ビットコインクジラの数が増加──2021年1月以来最高に」コインデスク


注目の大統領選、オプション市場は

 

さて暗号資産業界が最も注目していると言えるのが、11月5日に投開票が行われる米大統領選の行方です。

「米国の有権者の5人に2人　候補者の仮想通貨政策に注目…」コインテレグラフ

 

米国ではビットコインを支持する有権者が急激に増加しており、これが今後の選挙に大きな影響を与える可能性があるとの見方です。

※「Foxx ビットコイン投資家」のXより

 

大統領選に対しオプション市場では、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝利した場合でもビットコインは対ドルで8万ドルを目指すと見ています。

 「ビットコイン8万ドル視野、米大統領選で誰が勝っても…」Bloomberg


 ただし、トランプ候補の勝利がビットコインポジティブとする見方はは根強いです。同候補が選挙戦の早い段階から暗号資産の規制緩和やマイニング産業の強化などを訴えてきたからです。

 

ハリス候補も暗号資産業界を擁護する姿勢を見せたものの、対立候補に後れを取った感は否めません。

 

以下のUSA TODAYの記事も、トランプ共和党候補が支持率で優勢のためBTCが上昇したと指摘しています。

 「Bitcoin at 3-month high as Trump odds drive currencies」

  

大統領選、通常調査では接戦だが…

 

米国の支持率調査の結果をまとめたWEBサイト「RealClearPolling」によれば、大統領選に対する様々な世論調査の平均はかなり接近しています。

 

10月8日から23日までの支持率調査の平均は、民主党候補のハリス氏48.8％／共和党候補トランプ氏が48.5％。多くの調査が1－3ポイント程度の差と、いわゆる誤差の範囲です。

 

しかしながら市場はこの調査よりも、Polymarketというベッティング（賭け）サイトを注視しているようです。

 

こちらＮＹのマクロ系ヘッジファンドで働くトレーダーBig DaddyのＸです。



分散型予測サイトでは

 

Polymarketとは、ユーザーが未来の出来事の結果に賭けることができる分散型予測市場プラットフォームです。2020年に設立され、主に政治やスポーツ、ポップカルチャーなどのトピックに関連するイベントに対して賭けを行うことができます。

 

ユーザーは米ドルに連動したステーブルコインであるUSDCを使用して取引を行い、ブロックチェーン技術を活用して透明性とセキュリティを確保しています。

 

執筆時点でPolymarketは、トランプ氏の勝利確率を64％近くまで織り込んでいます。

 


 ただし、大口取引者によるオッズつり上げの懸念が先週浮上しました。トランプ氏勝利に2000万ドルを超える額を賭けているアカウントがあり、これが倍率（いわゆる勝利すると見られている確率）を歪めているというのです。

 

これに対してPolymarket側も調査を開始し、大口4口座を持つトレーダーをフランス人と特定しました。

 「トランプ氏に69億円、賭けサイトの鯨はフランス人…」Bloomberg


いずれにせよ、Polymarketの動向を今後1週間は見守りながらのBTCトレードとなるでしょう。


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第121回「ビットコイン、どうにも止まらない　あの企業はやはり買い増し・米国は戦略的な…」
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為替情報部　アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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