三度目のトライも・・・
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は11月29日18時時点、対円では564万円付近と前週(7日前)比では3%を超える上げ幅です。外国為替相場でドル安が進行したこともあり、BTCドルは3万8300ドル前後と前週比4%以上も高い水準で取引されています。
BTC円は24日夜中に、今年3度目となる570万円台をトライしました。しかし「2度あることは3度ある」とのことわざ通り、上値維持には失敗すると一時550万円割れまで水準を下げています。
もっともその後は再び持ち直しており、ビットコイン相場の基本的な底堅さは維持されていると言えるでしょう。
※Trading Viewより
先物市場は盛り上がり
目立った進展はないものの現物ビットコイン上場投資信託(ETF)申請の承認に対する期待感は高まったままです。ビットコイン先物の盛り上がりがそれを示しています。
暗号資産分析サイト・coinglassによれば27日、米国の大手デリバティブ取引所・シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物では、建玉が11.8万コントラクトと過去最大を記録しました。
※建玉(未決済分の取引、ロングまたはショートポジションのこと)
※coinglassのX(旧twitter)より
その時のBTCの対ドルレートから換算すると44.2億ドル、1ドル147円として6500億円弱です。コイングラスのサイトによれば、バイナンスなど一般の交換所が取り扱う先物と合算すると、173億ドル相当の建玉が溜まっているということです。
※coinglassウエブサイトより
ETFが承認されたとしても・・・?
さて現物ビットコインETFについて、「承認後に直ぐにビットコインが上昇するとは限らないのでは?」との見方も一部で出てきたようです。
「JPMorgan: Spot Bitcoin ETFs Could Put 'Severe Downward Pressure on Bitcoin Prices'」Bitcoin.com
「JPモルガン、スポット(現物)ビットコインETFはBTC価格に深刻な下方圧力をかける可能性がある」
暗号資産運用会社グレースケール・インベストメンツが運用するファンド「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」というファンドについての記事です。GBTCについては、第60回目のコラム「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」で取り上げています。
米証券取引委員会(SEC)がGBTCのETF転換を認めることを見越して、すでにGBTCにはかなりの資金が流入しているようです。米大手金融機関JPモルガンよれば、年初から換算すると25億ドルにも及ぶとされています。
JPモルガンのアナリストによれば、あくまで「買いが現物ETFへの転換期待による投機的なもの」とすれば、GBTCからETF転換後に利益確定売りが出る可能性を指摘しました。
このGBTCを売った資金が、今後SECが承認するであろう他の現物ETFやビットコイン商品に資金が移るのであれば、市場全般への影響は限られているとしています。しかしながら同行アナリストは、GBTCからの流出し、そのままビットコインに戻らない可能性が大きいと高いとの見解です。その場合はBTC相場への大きな下落圧力になるというのです。
※GBTC価格とチャート Bloombergより
格言を気にするべきか?
相場格言で有名な1つに「Buy the rumor, sell the fact (噂で買って事実で売れ)」というものがあります。
市場の参加者は、特定のイベントや経済指標の前に期待や予測に基づいて取引を行うことが多いです。ある商品を噂(期待や予測)で買い、既に情報を織り込んでいる関連イベントや指標結果が明らかになった後、更なる価格上昇は望めないと考えられて売られるという、意外とよくある話です。
「‘Buy the rumor, sell the news’ - Bitcoin ETF may spark TradFi sell-off」cointelegraph
「噂で買い、ニュースで売る」ビットコインETFがTradFiの売りを呼び起こす可能性」
※TradFiとは”Traditional Finance”(伝統的な金融)の略称で、従来の銀行や証券会社、投資ファンド、保険会社などを含む伝統的な金融業界のこと。
TradFiは現物ETFの話が盛り上がる前からビットコインを仕込んでいるということです。ジェネシストレーディングのデリバティブ責任者の見解、現物ビットコインETFの承認は典型的な「噂を買ってニュースで売る」に繋がる可能性が紹介されています。
現物ETFの待ち疲れから、色々と考え過ぎる人が多くなってきたのかもしれません。