BTC、よくまあ落ちた
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は7月10日17時時点で、対円では951万円前後と前週(7日前)比で3.7%低い水準で取引されています。BTCドルが5万8700ドル台での値動きです。
この1週間、暗号資産は激しい動きでした。
ドイツ政府が犯罪組織から得たBTCを現金化や、2014年に破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスの弁済にともなう換金売りが相場をかなり神経質にさせたようです。
BTC円は4日朝975万円を超えたところから売り優勢のまま、5日の東京午前には900万円を割り込みました。そのまま下落スピードを速め、あっさりと目先の下値めどと見られていた、5月1日安値882万円台を下抜けます。
昼過ぎには861万円台まで下げ幅を広げて、2月28日以来の安値を記録しました。6月7日に記録したBTC円の史上最高値1124万円台からだと約263万円の下落幅、率にして23%超にもなります。
流動性が低いアルトコイン(BTC以外の暗号資産の総称)であれば、よくある話ではあります。最近のBTC相場にしては、よくまあ落ちたと言えるでしょう。
※Trading Viewより
売られやすかった時間帯?
BTCドルも、月初に6万4000ドル手前まで持ち直していたところから下落基調を強めました。5日には5万3500ドル台と2月26日以来の安値を更新しました。
外国為替市場で円安ドル高が進んだ影響で、BTCは対円よりも対ドルの下げがきつかったようです。
ところで軟調となった先週後半から、BTCの動きで気になった時間帯を30分足チャートからピックアップしてみました。BTCがもっとも取引されている対ドルでチェックします。
※Trading Viewより
先週4・5日は日本の昼前から昼過ぎ、8日は朝に売り圧力が強まっています。
10年後、こんなに上がっていれば・・・
BTCの売られた時間帯を見る限り、2014年に破綻した仮想通貨取引所「マウントゴックス(Mt.Gox)」の弁済が影響しているのかもしれません。
Mt.Gox社のずさんな管理でサーバーがハッキングされ、それにより約85万BTCが奪われたとされています。そのうち、同社の再生管財人が14万2000BTCを取り戻しました。
破綻後10年が過ぎ、債権者への弁済がこの7月から始まっています。Mt.Goxのユーザーは世界中にいましたが、同社が日本の企業だったことを考えると、支払いは日本のビジネスタイムで行われると思われます。
「Mt.Goxが弁済を開始 99%のユーザーは売却・・・・アナリスト予測」コインテレグラフ
様々な見方があるようですが、相場の動きを見る限り、BTCとその後にBTCから分かれたビットコインキャッシュ(BCH)を受け取った債権者が現金化に走っていると想定できます。
破綻当時の最高値から70-80倍近くまで価値が上がっているのですから、当然と言えば当然なのでしょう。
ドイツからの売り圧力
ドイツ政府からの売り圧力も相場の話題となりました。
「ビットコイン、下落・・・ドイツが9億ドル超を放出」コインデスク
ドイツ連邦刑事警察庁(BKA)は2024年1月、海賊版ポータルサイト運営会社の責任者2名から約5万BTCを押収しました。これが政府の売却しているビットコインの出所です。
記事によれば、押収した半分以上が既に現金化されたとされています。
「Germany Still Holds $1.3B Worth of Bitcoin・・・」CoinDesk
こちらが独当局のものとされるBTCアカウントの動向です。
ドイツ政府ではなくて、独ザクセン州が押収したBTCだとする解説記事もありました。
いずれにせよ、日本とドイツからの売り圧力が直近の安値更新に繋がっています。
今も支えはETF、そして話題の人?
売りニュースをお伝えしてきましたが、足もとでは下値から10%ほど戻しています。支えとなっているのは、やはり、現物ビットコインに連動する上場投資信託(ETF)です。
暗号資産分析サイトcoinglassによれば、米国の独立記念日以降の3日間で約6.5億ドル(1ドル=161円換算で約1046億円)の資金が、同国で取引されている現物ビットコインETFに流入しました。
くわえて、11月の米大統領選で優勢とされているトランプ前大統領も暗号資産にとって希望の星となっているようです。
「トランプ氏の共和党公式政策綱領、暗号資産の取り締まり停止を約束」
ドイツや日本発の売り圧力が一巡すると、再び上値を試すと考えるのが良いのでしょうか。