暗号資産レンディング大手の破産
今回の【暗号資産よもやま話】も交換業大手FTX破綻に絡んだ話です。私が気付かないだけかもしれませんが、なかなか明るい話題が見つかりません。
「暗号資産融資の米ブロックファイ、破産法適用申請・・・」ロイター通信 11月29日
暗号資産の貸し付け(レンディング)業大手の米ブロックファイ(BlockFi)は28日、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請しました。同社はFTXから金融支援を受けており、11月11日にFTXが破産した後はほぼ事業停止の状態でした。時間の問題とされていたブロックファイの破産は現実となってしまいました。
2017年に創業したブロックファイは、個人や機関投資家から集めた暗号資産を企業に貸し付けるなどして、20年には1億ドル近くの収益を上げていました。21年初頭の顧客預かり資産は80億ドルを超えるなど、一時は米国で最も急成長した企業の1つとされました。
「ブロックファイがInc.5000で首位に 3年で約25万%の収益成長」コインテレグラフジャパン8月17日
なお暗号資産の貸し付け(レンディング)についてはこちら↓
「仮想通貨レンディングとは、・・・」BINANCE Academy
順調に事業が拡大していたブロックファイですが、5月の「ステーブルコイン・テラの暴落」に端を発した暗号資産冬の時代には抗えず、夏には経営に行き詰ってしまいました。そんなとき救いの手を差し伸べたのがFTXの元CEOサム・バンクマン・フリード氏です。
「FTX、BlockFiを2500万ドルで買収か」 「FTX.US、BlockFiを最大2億4000万ドルで買収する権利に合意」コインデスクジャパン7月1、2日
後から明らかになったことですが、支援はバンクマン・フリード氏が自らやFTXを良くみせるためのパフォーマンスの一環でした。結局、FTXに多額のエクスポージャーがあったブロックファイは、FTXとともに沈没してしまいました。
FTX破綻の検証始まる 米上院が公聴会
米上院委員会は12月1日、FTXの破綻を検証するために公聴会を開く予定です。そこでは、商品先物取引委員会(CFTC)のベナム委員長が証言するとされています。
「米上院委員会、FTX公聴会を12月1日に予定、CFTCトップが証言」コインテレグラフジャパン11月22日
またこちらの記事では、2人の民主党上院議員が司法省に対し、FTX破綻の調査と不正行為に関与した個人を訴追するよう書簡を提出したことが報じられました。
「民主党の大物上院議員、司法省にFTX破綻を調査するよう要請」コインテレグラフジャパン11月24日
今後は、騒動の中心にいるバンクマン・フリード氏や同氏の友人で占められていたFTX幹部がことの全容を明らかにするかが注目されます。
「元アラメダ・リサーチのCEO、キャメロン・エリソン氏とは?」コインデスクジャパン
ただ逮捕されることがほぼ確実視されるなか、今バハマに居るバンクマン・フリード氏が米国にわざわざ出向いてくるかは微妙なところでしょう。
※サム・バンクマン・フリード氏のペントハウスがあると言われるバハマのマンション、Fox Newsより
FTX清算、まだまだ先の話・・・
現在、FTXのジョン・レイ新CEOのもと同社の清算が進められています。しかしながら、コインデスクジャパンが11月20日時点として報じた記事によれば、FTXグループ企業全体での保有現金は12億ドル。これは上位50位までの大口債権者の債権総額の6割にも満たないとされています。
またFTXの所有するデジタル(暗号)資産について、同社が暗号資産交換業として会社を登記していたバハマの政府と、ジョン・レイ氏との間では意見の相違があるとの報道も見受けられました。
「FTX再編チーム、バハマ政府と緊張高まる-デジタル資産移管で応酬」bloomberg11月28日
予想はされていたものの、FTXの清算には相当な時間がかかるでしょう。それまで暗号資産市場は落ち着かないかもしれません。
※CoinMarketCap 、ステーブルコインを除いた時価総額上位10位 11月30日20時時点