相変らず彼の保護主義政策が…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年4月9日15時頃、対円では1120万円前後と前週(7日前)比でおよそ11%安、対ドルが7万7000ドルをやや割り込んだ水準で推移しています。年初来でBTCドルは18%弱低下した水準にいます。
他の主要なアルトコインも地合い弱く、時価総額2位のイーサリアム(ETH)が前週比で約21%超安、リップル(XRP)は13%超安、ソラナ(SOL)も15%弱程度の下落率です。BTCよりも下げ幅を広げています。
※「地合い」とは、相場の勢いや雰囲気の総称。地合いが弱い(または悪い)は、投資家心理が悲観的になっており、悪材料に反応しやすい状態を言う。
金融相場では相変らず、トランプ米大統領による保護主義政策の強化に対する不安感が広がっています。投資家がリスクを減らすなか、暗号資産も下落圧力が強まりました。
※Trading Viewより
その関税、かけ過ぎでは?
トランプ米政権は、日本時間9日13時1分に広範な関税を発動。同政権は5日に全輸出国や地域に対して10%の基本関税を課しており、今回は米国にとって貿易赤字の大きい国・地域を対象に上乗せ税率が適用されました。中国に対しては50%上乗せで、関税賦課は合計104%まで拡大しました。
中国も当然ながら強く反発し、世界経済の二大国による貿易戦争が警戒されています。トランプ関税による経済活動の停滞がどの程度まで広がるか先が見えないなか、先月下旬から上値重く推移していた株式市場は下げ幅を一気に広げました。
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX)は7日、一時60付近まで急騰。VIXは恐怖指数とも言われ、市場心理を測る指標とされています。数値が高いほど投資家が市場の急激な変動を予想し、不安を感じていることを示します。
※Trading Viewより
先週末、BTCは違うと思わされた?!
ところで先週4日のニューヨーク時間には、「今回のビットコインは違うかも?」と思わされるような動きがありました。
ニューヨーク株式市場では主要3指数が軒並み5-6%も急落して終え、為替市場ではドルに資金逃避が起きました。中国が報復関税を発表し、関税を武器とした米中対立が激化の様相を見せたことが嫌気されました。
BTCドルはNY勢の参入前に8万4700ドル台から8万1700ドル前後まで下落したものの、そこからは下げ渋る展開に。米株が下値を広げるなかでも、一時8万4500ドル前後と下げ幅を取り戻しています。
※Trading Viewより
これを受けて週末は、ビットコインは金融不安(リスク回避)のヘッジ資産として扱われるようになったのでは?との見方を示す記事が目立ちました。
「株式市場の急落でもビットコインは安定…」コインテレグラフ
「米国株が暴落する中、BTCがナスダックから…」コインデスク
米株市場の動きと乖離し、分離(デカップリング)が続くようだと、不安定な株式市場からの資金逃避先としてビットコインの魅力が高まる可能性がある、というアナリストの考えを紹介しています。
しかしながら週明け7日には、時間外の米株先物の急落とともにBTCドルも水準を切り下げています。現物ビットコインの上場投資信託(ETF)の取引が無視できないほど拡大しており、やはりビットコインは既存のリスク資産と同じ位置付けなのでしょう。
※追記、4月10日14時
ビットコイン(BTC)は2025年4月10日14時頃、対円では1204万円前後と前週(7日前)比でおよそ2.5%安ですが、24時間比では約8%高い水準での値動き。BTCドルが8万2000ドル付近で推移しています。
9日夜、トランプ米政権の関税強化に対して中国も追加関税を発表しました。しかしながらBTC円は1100万円割れで下げ渋り、NY午後には米株と共に急反発します。10日の東京早朝には1237万前後まで大きく値を上げました。
きっかけは、トランプ大統領が「相互関税の上乗せ部分について、報復措置を取らなかった国々については90日間停止する」と発表したことです。これを受けて貿易摩擦への過度な懸念が後退し、リスク回避の巻き戻しが一気に進みました。
※Trading V