ビットコイン、調整の範囲内
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は11月8日13時過ぎ、対円では533万円前後の水準。前週比(7日前比)では1.9%高での値動きです。
2日の東京昼前に買いが一気に強まり、540万円に迫る場面がありました。前日に米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例会見を通過し、米長期金利が低下。それに伴うドル売りが対BTCでも出て、BTC円に波及したようです。
しかしながら無理やり上げた感もあり、また1年半ぶりの高値で達成感も出たからかそこから急失速。翌日には、一部取引所で513万円台まで売り戻される場面がありました。もっとも、高値から26万円超も下げたと言っても、5%の下落率はビットコインにとって調整の範囲内です。
※Trading Viewより
BTCは調整売りが一通り終わるとあっさりと切り返し、対円では8日早朝に再び539万円台まで上昇しました。
ここ最近こればかり言っていますが、米証券取引委員会(SEC)による現物ビットコイン上場投資信託(ETF)承認への期待感の高まりが、依然として相場の支えとなっています。
「米SEC、8-10本のビットコインETFを審査中=委員長」ロイター
そして米国だけでなく香港でも、検討の段階ではあるようですが前向きに現物ETFが捉えられつつあるようです。
「香港、仮想通貨スポット取引に連動するETFを検討」 Bloomberg
デジタル資産、6週連続の流入超
英国のデジタル資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)が毎週初に発表するレポートでは、デジタル資産(いわゆる暗号資産)投資商品への資金流入が続いていると述べています。
「週間デジタル資産ファンドフロー(Digital Asset Fund Flows Weekly)」
レポートによれば、前週のデジタル資産投資商品への流入額は総額2.61億ドル(1ドル=150円換算で、391.5億円)でした。6週連続の流入超となり、その期間の総流入額は7.67億ドルと2022年の流入総額を上回りました。
前週の流入は87%がビットコイン関連の商品とされ、これはやはり米国で現物ビットコインETF承認の可能性が高まっていることが影響しているようです。
盛り上がりに水を差す記事も
よくある話ではありますが、盛り上がりに水を差す人は常にいます。
Bitcoin (BTC) Analysts Mull Future if ETF Is Not Approved coindesk
(現物ビットコインETFが承認されなかった場合、ビットコイン価格はどうなる?)
もし米証券取引委員会(SEC)が現物ETFの申請を却下した場合、期待感が高まり過ぎていることもあり短期的に下落するという見方は当然ながらあるでしょう。その場合は、BTCドルが3万ドルを割り込む可能性もあるとしています。
執筆時点でBTCドルは3万5300ドル前後ですので、3万ドル割れは現状水準からの約15%の下落率となります。大きな失望では確かにあり、ロングの投げが投げを呼ぶ可能性はあるでしょう。あくまで「もしも」の話ではありますが・・・。
先物市場の建玉拡大、相場の波乱要因にも?
また、ビットコイン先物市場で建玉(未決済分の取引、ロングまたはショートポジションのこと)の大幅な拡大を警戒する声も見受けられます。
「ビットコインの建玉が150億ドルに到達 アナリストは20%下落を警告 」コインテレグラフ
ビットコイン先物市場は持ち高が膨れ上がり、↑の記事では155億ドル相当としています。しかしながら、コラム執筆時点で暗号資産サイトcoinglassをみると、合計で165億ドルを超えていました。
※coinglassより
BTC先物の建玉が「買い持ち」と「売り持ち」のどちらに傾いているのか、短期取引なのか長期保有なのかは不明です。ただし、市場参加者が一気にポジション清算に走った場合、かなり荒い値動きになることは確かでしょう。「もしも」の話ではありますが・・・。
相場に絶対はありません。いつ何時、予想とは違った方向に動くか分かりません。
ポジションを取るのであれば、上げたとき/下げたときにどのように行動するのか、常にプランを持つようにしたいものです。