10月は政府機関閉鎖から始まる
10月1日、米東部時間0時1分をもって、米国の一部政府機関は閉鎖(シャットダウン)となることが決定しました。
共和党と民主党の間で予算案の折り合いがつかなかったことが要因です。
特に共和党が年末に失効予定の健康保険補助金の延長を歳出法案に含めるべきだと主張しましたが、共和党は頑なに拒否。
これは通称「オバマケア」と呼ばれるものを拒否したのですが、トランプ米大統領はとにかくオバマ元大統領が大嫌いなこともあり、話し合いは決裂しました。
トランプ大統領はオバマ氏が行ったものを継続することは、オバマ氏の功績を認めることと捉えているのかもしれません。
前回の政府機関閉鎖は?
すでに報道されているので、多くの方がご存じかと思いますが、今回の閉鎖の前は2018年12月の第1次トランプ政権で行われて以来となります。
前回のシャットダウンは35日間継続しました。
また、2018年は1月に3日、2月に1日シャットダウンされています。
独裁者となっているトランプ米大統領ですので、今回の閉鎖がいつまで継続されるか分かりません。
この35日間のシャットダウンは、トランプ大統領が米墨間の壁を作るための予算案が主な要因になりました。
トランプ大統領はメキシコとの国境沿いに建設する国境の壁の建設費として57億ドルの予算を支持するよう要請しました。
しかし、民主党は否決し、閉鎖が開始されました。
トランプ大統領は「国境警備のために政府を閉鎖することを誇りに思う」と述べるなど、当初は強気に対応しました。
今回の閉鎖についても大統領は「民主党の優先事項を削減する前例のない機会」と述べ、国民目線はなく民主党憎しとの態度で強気なままです。
ただ、公務員を人質にとることは、民主党だけではなく共和党支持者からも批判を浴び始めます。
世論調査では閉鎖の責任がトランプ大統領にあるとの回答が53%、民主党が34%、両党が10%になるなど、トランプ大統領の支持率も下がっていきました。
この閉鎖は、結局は壁の建設費は含まれない歳出法案を提出し、上下両院でこれを可決しました。
政府機関閉鎖の経済的影響
議会予算局(CBO)の報告書では、政府閉鎖によってアメリカ経済に少なくとも110億ドルの損失があったと推定されています。
数値化が難しい間接的なコストを除外する報告であることで、実際に損失は更に大きいともされています。
ホワイトハウス経済諮問委員会(CEA)は、政府閉鎖の1週間ごとにGDP成長率が0.1%低下させ、これは四半期ごとに1.2%に相当すると推定しています。
先週2日にはベッセント米財務長官も「GDP、経済成長、そしてアメリカの労働者階級への打撃となる可能性がある」とも発言しています。
2018年の閉鎖時のドル円の値動きは?
前回の閉鎖期間(2018年12月22日から2019年1月25日)のドル円相場を振り返ってみましょう。
今回同様に2018年も閉鎖前から、閉鎖の可能性が指摘されました。
約1週間前の2018年12月14日は113.60円台で取引されていたものが、徐々に上値が重くなる展開に。
直前の12月20日には110.80円台まで下落。
閉鎖が決定し、週明けには110.20円台までじり安になっています。
その後2019年1月3日には104.80円台まで一時急落しています(ただし、これはフラッシュクラッシュに近い動きでもありました)。
閉鎖が解除されたときにドルの買い戻しも限られ109円台で取引されました。
その後の為替市場は限られた動きになりましたが、閉鎖前の水準まで1年以上は戻すことができませんでした。
また、米国の国内総生産(GDP)は2018年7-9月期が3.4%だったものが、10-12月期は2.2%まで低下。
2019年は1-3月期は3.1%まで持ち直したものの、4-6月期は2.0%、7-9月期は2.1%、10-12月期も2.1%まで下がっています。
なお、その後はコロナの影響で大幅に下がっています。
いずれにしてもGDPを見ても、経済的に閉鎖が大きな影響を与えるのは一目瞭然です。
なお、不安材料が多い中で米連邦準備理事会(FRB)は景気後退リスクがあることで、一般的にはハト派になる傾向があります。
よって、為替市場と違い低金利で株式市場が堅調な動きになることもあります。
今後のドル円がどのような動きになるのかは、米国の景気がどうなるのかは、この閉鎖期間にもよるでしょう。
第1次トランプ政権よりも、第2次政権のほうが強気なトランプ大統領ですので、長期間になるリスクもありそうです。
ただ、TACO(Trump Always Chickens Out)=トランプ米大統領はいつもビビッて退く、となるのかもしれません。
いずれにしろ、このようなリスクを頭に入れずにFXをやってはいけないでしょう。