中国の圧力に勝てないトランプ政権
第2次トランプ政権が始まると、自己のことをTariff Man(関税男)と名乗っていたトランプ米大統領ですが、当初の思惑が完全にとん挫していると言えそうです。
政権発足当初からトランプ米大統領にとっての本丸は「中国」というのは明白でした。
しかし、その中国との貿易摩擦では圧倒的に中国が優位に動き、今後も中国が米国を上回る勢いとなると思われます。
中国が優位に運んでいるのは主に2点。
1点目は、トランプ米大統領が友好国だろうが何だろうが課税を強化しまくったことです。
日本や欧州各国をはじめ、これまで友好国としてお互い持ちつ持たれつの関係をすべて無視しました。
そして、その影響もあり、多くの国が中国との経済関係を深く結びつけることになりました。
特に、インドやロシア、南ア、中東、アフリカなどはこぞって中国と関係を深めています。
人口を考えても圧倒的に米国より多い中国ですので、これらの国も市場としての魅力は非常にあります。
また、中国はアフリカでは(台湾を承認している)1国を除きほぼすべて諸国に無税の取引を開始するなど将来への布石を敷いています。
胆略的なものの見方のトランプ米大統領とは違い、2000年と言われる歴史の中国らしく長い目で見ているわけです。
2点目は何といってもレアアースの埋蔵量です。
中国の埋蔵量は世界の約38%まで占めているとのデータになっています。
レアアースがない場合は、スマートフォン、EVやハイブリッド車のモーターなどをはじめ現代社会ではなくてはならないものです。
どんなにトランプ米大統領が強がっても、これだけのシェアを握っている中国がレアアースの輸出を規制した場合は米国は二進も三進も行かなくなります。
急展開したロシアとのウクライナ和平交渉
トランプ氏は中国のレアアース規制の話が出るまでは、プーチン露大統領のことを「戦争を終わらせたくない」「経済は崩壊するだろう」と厳しく批判していました。
しかし、レアアース問題が表面化すると一転、プーチン氏との電話会談を行いました。
トランプ氏は就任前にロシアとウクライナの戦争はすぐに解決すると述べていました。
それは、米露間でウクライナのレアアースを獲得することで、両国で和平関係を強引にウクライナに結ばせるつもりあったとされています。
よって、これまではウクライナのゼレンスキー大統領を非難していました。
しかし、プーチン氏の方が一枚ずる賢さでは上手で、ロシアがレアアースを米国に譲るつもりがなかったことで、この交渉は破断した次第です。

それが、再び交渉を始める(21日には首脳会談は見送りと発表)ということは、トランプ氏はウクライナの平和などを考えているわけではなく、中国からレアアースを獲得できないことで、矛先をウクライナに変えたとされています。
FXはどう動けばよいのか?
これらの状況を受けてFXはどのように動けばよいのでしょうか?
あくまで個人的な見解ですが、米露首脳会談が本格的に中止となった場合は会談が上手くいかなかったということです。
よって、米国ができることは、中国に頭を下げることです。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)では米中会談が催される見通しです。
そして、トランプ大統領は「素晴らしい合意だ」などと述べつつも、中国の何かしらの要求を裏で決定しレアアースの輸入にこぎつけたと思われます。
そしてFXは裏の部分が見えないことで、合意を素直に好感しリスク選好の動きになりやすいのではないかと思われます。
レアアース市場やウクライナとロシアの和平などが直接FX市場に結び付けるのが難しく感じますが、国際情勢は複雑に絡まっていることで、これらの動向も具にみないでFX取引をやってはいけないでしょう。



