6月22日に、国産AIモデル「Sakana Fugu(サカナ・フグ)」の提供が始まりました。生成AIで圧倒的なシェアを持つのはオープンAIの「ChatGPT」、ググールの「Gemini」、アンソロピックの「Claude」ですが、国産ということもあって各所で話題となっています。
Sakana Fuguとは?
サカナ(魚)、フグ(河豚)とあるようにユニークなAI名です。これを開発したのは2023年7月に設立された日本のスタートアップ企業であるSakana AI(サカナ・エーアイ)。代表取締役はグーグル出身のデイビット・ハ(David Ha)氏が務めます。
ちなみに企業価値は約4000億円と報じられています。国内未上場のスタートアップ企業としては過去最高であり、まだ設立数年の会社でありながら破竹の勢いで拡大しているのがSakana AIです。
Sakana FuguがほかのAIモデルと違う大きな点は、複数のAIモデルを機動的に使い、1つの基盤モデルとして提供することです。Sakana Fugu自体が高性能なAIではありますが、この作業はChatGPTに、あの作業はClaudeに任せた方がよいと自ら判断し、振り分けることができます。

これまではユーザー自身がどのAIモデルに作業させようか考える必要がありましたが、Sakana Fuguに任せるとそれが不要になります。ユーザーからすると1つのモデルのように見えますが、内部で複数のAIを束ねて動かすマルチエージェントシステムというのがSakana Fuguの正体です。資産運用に例えると、超好成績のファンドラップのようなものかもしれません。
Sakana Fuguの料金体系とモデル
確認してみたところ、無料では使うことができないようです。用意されているプランは、サブスクリプションと従量課金の2つ。サブスクリプションでは、Standard(月額20ドル)、Pro(同100ドル)、Max(同200ドル)の3つで、上位プランになるほど使用制限が増えていく仕組みです。
これはほかのAIモデルと同じで、個人使用に向いたプランですね。従量課金は法人向けで、API(Fuguを自社システムに組み込む)が利用できます。
先ほどSakana Fuguが複数のAIモデルを使うと言いましたが、ユーザーがChatGPTやClaudeの有料契約をする必要はありません。Sakana FuguがほかのAIを使用した場合の料金は発生せず、Sakana Fugu自体の有料契約内に含まれます。
Sakana Fuguには「Fugu(標準版)」と「Fugu-Ultra(高性能版)」の2つのモデルがあり、それぞれの性能が公式サイトに掲載されていました。そのまま見ると何が何だか分からないので、分かりやすくまとめてみると以下のようになります。

※Sakana AI公式サイト提供情報を基に弊社作成
主要なAIモデルとのベンチマーク比較であり、Fugu-Ultraは多くの項目で勝っていることが分かります。なお、アンソロピックの最上位モデル「Mythos」「Fable」は国内提供停止となっているためか比較対象に入っていません。
報道ベースではMythosがバグ修正などで突出しているようですが、それでも一般的に使えるAIモデルの中で見ればFugu-Ultraは非常に優れていると言えますね。ただ、比較表はSakana AIが提供しているものなので、客観性を踏まえると若干割り引いてみたほうがよいかもしれませんね。
Sakana Fuguの課題
複数のAIを束ねるSakana Fuguですが、最強というわけではありません。もちろん得手不得手もあります。タスクの難易度に応じて内部で動くAIの数が変わるため、応答時間が読みづらいとされます。即結果が欲しい場合などは他の軽量モデルが優位になりますね。
Sakana Fugu AIを組み合わせて弱点を補うことがコンセプトなので、専門分野に突出した強みを持つ他のAIと比べると劣るようです。また、複数のAIを使うと言っても、どの処理に何のAIが使われたか細かく追うことはできないとのこと。全体でどのAIがどれだけ使われたかの総量は分かっても、監査ログを追跡した際に「どの処理がどのモデルで行われたか」がブラックボックス化する懸念があるとされます。
他にもいろいろと課題はあるようですが、注目の国産AIが使えるようになったのは大きな一歩でしょう。今後も激しい開発競争が続くと思われますが、これらを使うユーザーとしては選択肢が増えたことに喜びたいところです。日々進化するAIをうまく活用して、仕事もプライベートもより充実させていきたいですね。





