食卓でおなじみの「スプーン印」のお砂糖。この製品を製造・販売しているのが、製糖業界で国内最大手のDM三井製糖ホールディングス(証券コード:2109)です。
食品メーカーの株主優待は自社製品がもらえることが多く、個人投資家からの人気も高いのが特徴です。
しかし、2023年の優待の変更について「一部廃止されたって本当?」と気になっている方もいるかもいるかもしれません。
この記事ではDM三井製糖ホールディングスの現在の株主優待の内容、そして過去の変更点について分かりやすく解説します。
さらに、会社の基本情報や業績、株価の動向も踏まえ投資を検討する上でのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
DM三井製糖ホールディングスの株主優待の内容
DM三井製糖ホールディングスの株主優待は、毎年3月末の株主を対象に年に1回実施されます。優待品は保有している株式数に応じて変わるので、以下の表を参考にしてみてください。
※日本IDDMネットワークは、1型糖尿病の根絶を目指す認定NPO法人です。
自社グループ商品を選ぶと、お砂糖や関連会社の製品などが送られてきます。日常生活で使えるものがもらえるのは嬉しいポイントです。
優待をもらうためには、権利確定日である3月末までに株主になる必要があります。優待品の案内や申し込みに関する書類は、株主総会後の6月下旬~7月頃に送られてくるようです。
2025年4月時点の株価3400円前後で考えると、100株を保有するための最低投資金額は34万円程度となります。
三井製糖の株主優待は一部が廃止になった?
三井製糖の株主優待は、2023年3月に株主優待制度の内容が一部変更されました。
【2023年3月実施の主な変更点】
①配布区分の見直し:以前は「100株以上」と「1,000株以上」の2段階でしたが「100株以上」と「200株以上」の2段階に変更されました。
②100株保有株主への優待内容変更:以前は3,000円相当の自社製品でしたが、1,000円相当へと変更されました。
③旧1,000株以上株主への優待内容の変更:変更前は、3,000円相当の自社製品等に加えて2,000円相当の金券等も選択肢に含まれていました。区分変更に伴い1,000株保有者は「200株以上」の区分となり、優待内容は3,000円相当の自社製品等のみとなったため、金券等の贈呈は廃止されました。
この変更は、100株以上の株主全体に優待の金銭価値が下がったので「改悪」と捉える声も上がりました。しかし、優待変更と同時に2023年3月期の配当金を大幅に増額しました(1株あたり60円予想→120円へ)。
これは、株主への利益還元方法として、優待よりも配当金を重視する方針への転換を示唆しているとも考えられます。企業がどのような形で利益を株主に還元しようとしているのか、配当政策なども含めて総合的に評価することが重要です。
DM三井製糖ホールディングスの基本情報
DM三井製糖ホールディングスは、旧「三井製糖」と旧「大日本明治製糖」が2021年に経営統合して誕生した持株会社です。「スプーン印」と「ばら印」が有名ですね。両ブランドが合併した結果、日本の製糖業界では国内シェア約40%を誇る最大手の企業が誕生しました。
大きく分けて以下の事業セグメントを展開しています。
①砂糖事業:家庭用・業務用の砂糖、氷砂糖、機能性甘味料(パラチノースなど)の製造販売。タイやシンガポール、中国など海外にも拠点を持ちグローバルに展開しています。
②ライフ・エナジー事業:栄養療法食品(ニュートリー社)や個人向け冷凍食品(YOUR MEAL社)、スポーツニュートリション関連、食品添加物、バイオ関連事業など健康や生活エネルギーに関わる分野へ注力しています。
③不動産事業:工場跡地などを活用した不動産賃貸事業なども行っています。
事業の中心はもちろん砂糖の製造・販売です。業界3位の日本甜菜製糖とは資本業務提携を結ぶなど、業界内での連携も進めています。
近年は、単なる砂糖メーカーにとどまらずシニア層の栄養療法食品やサービスを展開。他にも、アスリートやアクティブ層向けのパフォーマンス向上やリカバリーをサポートする食品・素材の開発や提供を行っています。
株価と業績推移
DM三井製糖ホールディングスの直近5年間における株価と業績の推移は、以下のとおりです。
参照:Traging View
三井製糖の株価は長らく2000円台前半で低迷していましたが、2023年に入ってから大きく上昇しました。ロイヤリティ収入の計上見込みや大幅な増配が株価を押し上げる大きな要因となったと考えられます。
一時は4000円に迫る勢いでしたが、その後はやや調整局面も見られました。会社の純資産に対して株価が割安かどうかを判断する指標の一つであるPBRは、株価上昇後も1倍を下回る水準で推移しています。
業績を見ると売上高は、経営統合効果もあり増加傾向です。営業利益は、原料価格の高騰やコスト増の影響で2023年3月期に大きく落ち込みましたが、その後は回復しています。
経常利益は2023年3月期に190億円と突出して高くなっています。これは、医薬品に関するロイヤリティ収入(約175億円)を一括で計上した特殊要因によるものです。この一時的な利益を除くと近年の経常利益は数十億円レベルで推移しています。
2025年3月期の会社予想では、売上高1,800億円、営業利益・経常利益ともに130億円と大幅な増益を見込んでいます。国内砂糖事業の価格改定効果やコスト削減、ライフ・エナジー事業や海外事業の成長などが寄与する見通しです。
配当金
直近5年間における一株あたりの配当金推移は、以下のとおりです。
・2020年:50円(配当利回り2.41%)
・2021年:50円(配当利回り2.55%)
・2022年:60円(配当利回り3.12%)
・2023年:120円(配当利回り5.90%)
・2024年:130円(配当利回り4.17%)
配当金は、2023年3月期に前年の60円から120円へと一気に倍増しました。その後の2024年3月期も130円へと増配し、2025年3月期も130円配当を維持する予想です。
近年の積極的な増配姿勢は、株主にとって嬉しい企業姿勢と言えるでしょう。現在の株価水準(例:3,440円)で130円の配当が出れば、配当利回りは約3.77%となり高配当銘柄としての魅力も出てきています。
まとめ
三井製糖は、国内トップシェアを誇る製糖会社です。株主優待は100株から自社製品または寄付が選べます。
2023年に優待内容が変更され、100株保有者の優待額が減少し1,000株以上の区分が廃止となった点は株主に「改悪」と受け止められました。ただし、同時に配当金を大幅に増額するなど、株主還元を強化する方針を示しています。
業績は安定的に推移しており、今後は「Nutrition & Health」をテーマとしたライフ・エナジー事業や海外事業の成長に期待ができます。
優待内容だけでなく配当金や企業の将来性を見越して投資するか判断してみてはいかがでしょうか。