高配当銘柄は、安定した配当を受け取りたい投資家にとって魅力的な選択肢です。中でも、トーシンと萩原工業は、高い配当利回りに加え、株主優待も提供しており、配当だけでなく株主優待を楽しみたい人にとっても注目されています。
今回は、トーシンと萩原工業の2銘柄について詳しくご紹介するとともに、投資先としての評価も解説します。
トーシンホールディングス(9444)
トーシンホールディングス(以下、トーシン)は、ソフトバンクやauをはじめとする携帯電話などの通信機器を代理店販売する企業です。また、ゴルフ場やゴルフクラブの運営などのリゾート事業、マンション開発・賃貸・管理などの不動産事業も行っています。
2024年度の売上高は約174億円、経常利益は約6億円でした。2025年度の業績予想は現時点で未定ですが、2021年以降、売上高・経常利益ともにほぼ横ばいとなっています。平均売上高は約184億円、平均経常利益は約5.1億円です。
トーシンの株価に不動産株の特徴はある?
2025年3月時点の株価は約640円です。2013年以降の株価は、中長期的に見ると約600円前後をゆるやかに推移しています。しかし、短期的に見ると、株価は年間を通じて約500円から約700円の間で頻繁に変動しています。
不動産株は景気によって株価が比較的大きく変動する傾向にあります。トーシンは不動産事業も行っており小さな株価変動も頻発していますが、年間を通じて変動しているため景気によるものではなく、変動幅もそれほど大きくないため、不動産株の特徴が見られるとは言えません。
トーシンの配当金
2025年度の配当金は、10月末の中間配当で10円、4月末の期末配当で10円の、年間1株当たり20円となる予想です。この金額は、2023年度の24円、2024年度の22円から2期連続で減配となっています。
トーシンの株主優待はゴルフ好き必見
トーシンの株主優待は、毎年4月末と10月末の権利確定日に、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、iPhoneの頭金無料券とゴルフリークス優待券、リバーデール優待券、ゴルフプレー特別料金、ゴルフ場無料招待券です。
それぞれ利用条件がありますので、ご利用の際は注意が必要です。株式の保有数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。
トーシンの配当利回り
1株640円で100株購入した場合、投資金額は6.4万円になります。配当金額は年間1株当たり20円のため2000円となり、配当利回りは約3.1%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約4.0%、2022年度は約3.5%、2023年度は約3.7%、2024年度は約3.3%です。
トーシンの投資先としての評価
メイン事業である携帯電話の代理店運営が、ウクライナ情勢の長期化、半導体不足、物価上昇などの影響を大きく受け、業績が伸び悩んでいます。不動産賃貸やゴルフ場運営など安定した事業はあるものの、配当金が減配していることから、今後の高配当はこれまでほど期待できないと考えられます。
iPhoneの買い替えや株主優待でゴルフを楽しみたい人にとっては、魅力的な株主優待を実施しているため、投資先としての評価は高いです。
萩原工業(7856)
萩原工業は、防水用のブルーシートや建築現場の防音・防災シート、梱包用の粘着テープなど、主にポリエチレンを原料とした「合成樹脂製品」を開発・製造・販売する企業です。また、製造したシート状の製品を切断したり再び巻き取ったりするスリッターなどの「エンジニアリング製品」も製造しています。
2024年度の売上高は約331億円、経常利益は約22億円でした。2025年度は売上高が約340億円、経常利益は約25億円とどちらもやや増収・増益となる予想です。2021年以降の売上高・経常利益は、ともにほぼ横ばいとなっています。
萩原工業の株価
2025年3月時点の株価は約1500円です。2014年までは1000円以下を推移していましたが、2015年頃から上昇し始め、2017年には約2000円の値が付きました。
2024年以降の株価は、トーシンと同様に中長期的には約1500円前後でほぼ横ばいですが、短期的には年間を通じて小さな変動が頻発しています。
萩原工業の配当金
2025年度の配当金は、4月末の中間配当で30円、10月末の期末配当で35円の、年間1株当たり65円となる予想です。この金額は、2022年度の36円、2023年度の50円、2024年度の60円から3期連続で増配となっています。
萩原工業の株主優待
萩原工業の株主優待は、毎年10月末の権利確定日に、株式の保有数と保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、萩原工業オリジナルカタログギフトです。カタログギフトの内容は、自社商品や会社所在地の岡山県特産品、クオカードなどが挙げられます。
株式の保有数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。なお、萩原工業の株主優待は、配当金による利益還元を充実させる理由から、2026年10月末の権利確定日分を最後に廃止が決定しています。
萩原工業の配当利回り
1株1500円で100株購入した場合、投資金額は15万円になります。配当金額は年間1株当たり65円のため6500円となり、配当利回りは約4.3%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約2.4%、2022年度は約3.1%、2023年度は約3.7%、2024年度は約3.9%です。
萩原工業の投資先としての評価
2021年以降の配当利回りの推移を見ると、毎年少しずつ配当利回りが高くなっています。株主優待を楽しみに投資する人にとっては残念ですが、2026年度以降は株主優待が廃止されるため、今後の配当利回りがさらに高くなることが期待されています。高い配当金を目的とした投資先としての評価は高いです。
まとめ
トーシンと萩原工業についてご紹介しました。
萩原工業の株主優待が2026年を最後に廃止されるのは残念ですが、今後さらに高配当銘柄として成長することが期待されます。
トーシンは業績が伸び悩んでおり高配当を目的とした投資先としては不安要素が残りますが、ゴルフ好きには非常に魅力的な株主優待を実施しています。ぜひ、ゴルフを嗜まれる方は、投資先として検討してみてはいかがでしょうか。