株主優待は多くの投資家に人気があり、「株主優待目当てで株を買った」という事例は少なくありません。
しかし「株主優待」を最優先に株式を取引する投資手法は、リスクが高い傾向にあります。
そのため、業績や財務の分析を十分に行い「投資対象として十分なリターンを得られるか」を優先することをおすすめします。
「それでも株主優待を楽しみたい!」という方は、優待銘柄が下がった時の対処法を決めておく、セクターを分散して投資するといった方法があります。
今回は、株主優待目当ての投資はやめた方がよい理由、個人投資家の株主優待の楽しみ方について解説していきます。
株主優待目当ての投資はやめたほうが良い
株主優待は、多くの個人投資家に人気がある企業からの「贈呈品」です。
しかし株式投資の本来の目的は売却益や配当金で利益を出すことですので、株主優待は「おまけ」として捉えることをおすすめします。
そもそも株式投資は投資信託などに比べ難易度が高く、ハイリスク・ハイリターンの傾向があります。
そこに改悪・廃止の恐れがある「株主優待」という不確定要素が加わると、さらにリスク(リターンの振れ幅)が高くなり難易度も高くなってしまうのです。
株主優待と言えば優待生活を送る桐谷広人さんが有名ですが、桐谷さんは2007年頃から投資を始めた投資上級者です。
インタビューでは「過去に2億円以上の損失を出したことがある」と語っており、さまざまな取引を経験した結果、株主優待に落ち着いたとのことです。
桐谷さんのように上級者で経験がある、かつ相場の動きを常に把握できる時間が無ければ株主優待目当ての投資はリスクが高いと言えるでしょう。
「株主優待目当て」はやめたほうがいい!3つの理由
そもそも株式投資の難易度が高い
株主優待はインカムゲインの一部に過ぎない
株主優待は改悪・廃止の恐れがある
1.そもそも株式投資の難易度が高い
株式投資は、企業の株式を購入し配当や売却益で利益を得る手法です。
投資対象が1社あるいは複数の企業ですので、プロが株式や債券を運用する投資信託よりも比較的難易度が高いと言われています。
また、国や地方自治体・企業などが発行する債券よりも商品の特性上リスクとリターンが高めの傾向にあります。
そもそも投資信託などと比べ、株式投資の難易度が高いと言われているのです。
株式投資をするにあたっては、企業のIR情報を参考に財務・業績の分析などのファンダメンタルズ分析、株価の動きを予測するチャート分析を勉強し分析を行ってから購入すると良いでしょう。
投資を始めたばかりの方は、個人向け国債や投資信託からスタートし投資の勉強をした後に株式投資にチャレンジすることをおすすめします。
2. 株主優待はインカムゲインの一部に過ぎない
株式投資の本来の目的は「利益を出すこと」です。
利益は2種類あり、配当金によるインカムゲイン(株式を保有することで得られる収入)と、株式を売却することで生じる利益「キャピタルゲイン」があります。
このうち優待をインカムゲインに含み、投資を検討することもあります。つまり株主優待はインカムゲインの一部に過ぎません。
株式を購入する際には、株主優待だけではなくキャピタルゲインと配当金で十分なリターンが得られるかを最優先に判断することをおすすめします。
株主優待目当てで株式を購入し、結果的に株価が値下がりするなどの理由で損をしてしまう事例は少なくありません。
「利益を出すこと」を優先し、株主優待はあくまで贈呈品であることをおさえておきましょう。
3.株主優待は改悪・廃止の恐れがある
株主優待は、企業の業績によっては毎年変更になる可能性があります。
例えば、日本ハム株式会社は2024年5月に株主優待の内容を一部変更することを発表しました。100 株以上 500 株未満保有の株主優待は以下の通りです。
出典:日本ハム株式会社「株主優待制度の変更に関するお知らせ」
2025年3月末日基準から改正の予定です。なお、同社は「今後は業績に応じ、配当による直接的な利益還元をより重視することが適切である」として増配を決定しました。
また、個人投資家から人気が高いオリックス株式会社の株主優待は2024年3月をもって廃止することになりました。
それでも株主優待を楽しみたい!
株主優待には廃止や改悪のようにデメリットもありますが、「優待品を毎年楽しみにしている」という個人投資家は多いでしょう。
株主優待を楽しみながら資産運用をするためには、以下の点をおさえておきましょう。
また、株主優待は企業に興味を持つきっかけにもなります。
「魅力的な優待があるから、企業や業界について調べてから株式を購入した」のであれば、自身で調査・分析を行っていますので投資として正攻法と言えるでしょう。
興味がある方は、いまから投資の「株主優待のすすめ」も参考にしてみましょう。