食料品から衣料品、家電、映画など私たちの生活に欠かせない存在となっているイオングループ。そのイオン株式会社(証券コード:8267)が提供する株主優待は、イオンをよく利用する方にとって非常に魅力的で個人投資家からの人気も絶大です。
とくにイオンシネマをお得に利用できる特典は、映画好きにはたまらないメリットでした。しかし、最近「イオンシネマの優待内容が変わった」「改悪されたのでは?」という声も聞かれます。
実際のところ、イオンシネマの優待はどう変わったのでしょうか。本記事ではイオンの株主優待制度を紹介しつつ、イオンシネマ特典の変更点について詳しく解説します。さらに、イオンの企業情報や株価動向なども踏まえ、投資対象としてのイオンの価値を総合的に分析するので、参考にしてみてください。
イオンの株主優待の内容・オーナーズカードの詳細
イオンの株式を100株以上保有している株主に対して発行される「オーナーズカード」は、主に4つの特典を受けられます。
・特典1:お買い物金額のキャッシュバック
イオン・マックスバリュ・イオンスーパーセンターなど対象店舗でのお買い物時にオーナーズカードを提示するとキャッシュバックが受けられるお得な制度です。
具体的には半期ごとのお買い物金額合計に対して、保有株数に応じた割合でキャッシュバックが設定されています。
キャッシュバックの対象になるお買い物金額は、半年間で最大100万円です。実際の計算例を見てみると、100株保有していて半年に50万円お買い物をした場合、50万円 × 3% = 15,000円が返金されます。
・特典2:お客さま感謝デー(毎月20日・30日)の割引と併用可能
毎月20日・30日に開催されるイオンの「お客さま感謝デー」では対象商品の5%割引が受けられます。さらに、オーナーズカードを持っていれば、5%割引に加えて上記のキャッシュバック特典も受けられるのです。
・特典3:グループ施設での割引・優待料金
イオンシネマ、イオンイーハート、スポーツオーソリティ、イオンペットなどのグループ施設でオーナーズカードを提示すると、会計時に割引や優待料金が適用されます。ただし、上記のグループ施設ではキャッシュバックは受け取れません。
・特典4:長期保有株主優待制度
3年以上継続して1,000株以上の株式を保有している株主には、保有株数に応じてイオンギフトカードが贈呈されます。
1~4の特典を総合すると、イオンを日常的に利用する方にとっては非常にメリットの大きい株主優待制度といえます。
イオンシネマの株主優待は改悪された?
オーナーズカードをイオンシネマで利用すると、従来は以下2つの特典が受けられました。
①映画鑑賞料金の割引:大人・大学生等は1,000円、高校生以下は800円で鑑賞可能。
②ポップコーンorドリンク(Sサイズ)の無料引換券
しかし、2024年2月に「②ポップコーンまたはドリンクの無料引換券」の特典が廃止されました。映画鑑賞のお供としてポップコーンやドリンクを楽しみにしていた方にとっては、この変更は確かに「改悪」と感じられるでしょう。
ただし、冷静に見ると映画鑑賞料金の割引(大人1,000円、高校生以下800円)は引き続き利用可能です。イオンシネマの通常の大人鑑賞料金が1,800円であることを考えると、1,000円で鑑賞できるメリットは依然として大きいと考えられます。
イオンシネマの特典は一部縮小されましたが、イオングループの買い物で使えるキャッシュバックの恩恵は大きく、他の優待特典も含めて総合的に評価するのが大切です。
イオンの基本情報
イオン株式会社は、言わずと知れた日本最大の流通企業グループです。スーパーマーケットやディスカウントストアを中核事業としながら、ドラッグストア、クレジットカードや銀行などの総合金融、ショッピングモール開発、施設管理やアミューズメントなどのサービス、海外事業と、多岐にわたる事業を展開しています。
グループ傘下には多数の上場企業を抱えており、以下が主な会社です。
・イオンリテール
・マックスバリュ各社
・U.S.M.H(マルエツ、カスミ)
・ダイエー
・ミニストップ
・ウエルシアホールディングス
・イオンフィナンシャルサービス
・イオンモール
・イオンディライト
・キャンドゥなど
近年はM&Aや提携に積極的で、2022年にはキャンドゥ、2024年にはいなげやを子会社化。さらに2024年にはドラッグストア業界首位のウエルシアHDと業界大手のツルハHDの経営統合を発表し、京成電鉄との資本業務提携などグループの拡大と連携強化を進めています。
株価と業績推移
イオンの直近5年間における株価と業績の推移は、以下のとおりです。
参照:Traging View
イオンの株価はコロナ禍で一時落ち込んだ後、回復基調を強め、2023年後半から2024年にかけては上場来高値を更新しています。
2025年は日経平均株価が不安定な時期でも、イオン株は比較的底堅く推移しました。大きな要因として、国内需要が中心で為替変動の影響を受けにくい「内需株」としての側面から、個人投資家の買い支えが起きたのが要因と考えられます。
ここ数年の業績は非常に好調です。売上高は右肩上がりで成長を続け、2022年から4期連続での過去最高収益を記録し、2025年2月期には初めて10兆円の大台を突破しました。
今後の成長要因としては、ウエルシアHDとツルハHDの経営統合によるヘルス&ウエルネス事業の規模拡大やPB「トップバリュ」の強化、デジタル・物流への投資効果などが期待されます。
配当金
直近5年間における一株あたりの配当金推移は、以下のとおりです。
・2021年2月期:36円(配当利回り1.12%)
・2022年2月期:36円(配当利回り1.39%)
・2023年2月期:36円(配当利回り1.42%)
・2024年2月期:36円(配当利回り1.01%)
・2025年2月期:40円(配当利回り1.09%)
配当金は年間36円で安定していましたが、2025年2月期には年間配当40円へと増配されました。株価水準に対して配当利回りは1%前後と高くはありませんが、安定配当に加えて増配されたことは株主還元への意識の表れとしてプラス材料です。
まとめ
イオンの株主優待について、シネマ特典はポップコーン・ドリンク無料サービスが廃止となり、一部「改悪」と捉えられる変更がありました。しかし、映画鑑賞料金の割引は継続しており、映画好きにとってのメリットは依然として大きいです。
さらにイオンの株主優待は、キャッシュバックやお客さま感謝デー割引との併用など、総合的に見れば非常に充実した内容です。
企業業績も好調で売上高は10兆円を超える見込みであり、利益水準も中長期的な成長が期待されています。株価は高値圏で推移していますが「優待を楽しみながら企業の成長にも期待したい」と考える投資家にとっては、引き続き魅力的な銘柄の一つとなり得るでしょう。