鉄道最大手であるJR東日本は2024年3月31日を基準日として、株式分割を実施しています。今までの株式は1/3の価値になるため、取得金額も減り購入しやすくなりました。
そこで本記事ではJR東日本の株式分割による変更点、株主優待と配当金への影響について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
JR東日本(9020)の基本情報
JR東日本は正式名称を「東日本旅客鉄道」といい、関東・東北地方全域と、新潟・山形・長野・静岡県の一部を営業区画とするJRグループ最大規模の企業です。
おなじみの輸送事業では、鉄道・モノレール・バス運営を通して、Suicaによるキャッシュレス決済を導入。快適な駅造りを目指して設備投資しています。また、近年では商業施設や駅ビルの開発、さらにコンビニエンスストア「NewDays」など幅広く事業を展開しています。
鉄道事業だけに依存せず、私たち一般消費者の生活を支えるサービスを提供しています。
JR東日本の株式分割
2024年3月末日を基準にしてJR東日本は、株式を分割しました。そこで基本知識となる株式分割による影響やJR東日本の内容について解説します。
株式分割とは?意味と影響を解説
株式分割とは、企業が発行した株式をいくつか分割して増やすことを言います。分割割合は「1:2」「1:3」「1:4」「1:10」など、企業や分割のタイミングによっても異なります。
たとえば、株価1万円の企業が「1:2」で分割すると1株5,000円になりますが、持ち数は2株に増えるため、保有資産は変わりません。
株式分割するメリットは、以下のとおりです。
・株価が下落して新規買付しやすくなる
・市場へ出回る株数が増え流動性が高まる
・市場から注目を集め買い注文につなげられる可能性がある
しかし、株式を分割すると管理コストが増えたり、株価の値下がりに対する企業イメージを損なう可能性があったりするため、分割前後の株価は注視する必要があります。
JR東日本の株式分割の内容
JR東日本は、全体の株式割合を「1:3」で分割しました。この株式分割の目的は、価格を下げて個人投資家の方々が購入しやすくすることです。
東京証券取引所は以前から、投資単位を50万円未満に引き下げるよう企業へ要請しています。JR東日本は株価が高く、2024年2月付けで9,000円を上回っていたので、1単元(100株)購入するのに約90万円必要でした。
そこで株式分割が実施されれば、1単元の取得金額が30万円まで下がる計算です。また、2024年に新しいNISAがスタートするため、分割後の株式を多く購入させたい狙いがあります。
JR東日本における株式分割後の株主優待
JR東日本の株主優待は、持株数に応じて以下の割引券を受け取れます。
・運賃・料金の割引券(40%割引)
・サービス券
・JR東京総合病院 人間ドック料金割引券
株主優待の権利確定日は3月末日であり、6月下旬ごろに「配当関係書類」とあわせて郵送されます。
運賃・料金の割引券
JR東日本の運賃・料金40%割引券は、取得株数にあわせて以下の枚数が受け取れます。
画像引用元:株式分割および株式分割に伴う定款の一部変更ならびに株主優待制度の変更に関するお知らせ|JR東日本
たとえば、東京駅から仙台駅の指定席は約1万3,000円ですので、割引券を使うと5,200円ほどお得に利用できます。しかし、株式分割後も300株保有しなければ鉄道割引券は受け取れない点に注意が必要です。
しかしながら、JR東日本には株式の長期保有者を対象とした優遇制度があります。具体的には、100株以上を保有した状態で2年経過した人(毎年3月31日・9月30日を基準日として連続5回以上保有を続けている人)に、優待券を1枚プラスして配布します。
サービス券
JR東日本株を300以上所持していると、以下のとおり各種サービス券を受け取れます。
・株式会社西武ホールディングスとのコラボ株主優待券:各1枚
・JRE MALLクーポン:1枚
・鉄道博物館入館割引券:2枚
・東京ステーションギャラリー入館割引券:2枚
・株主さま優待価格宿泊券:6枚
・レストラン・バー割引券:3枚
・GALA湯沢スキー場 株主さま優待リフト券引換券:6枚
・駅レンタカー割引券:3枚
・STATION BOOTH利用券:1枚
・ベックスコーヒーショップ ドリンク割引券:3枚
・いろり庵きらく・そばいち 選べるトッピング無料券:3枚
・リラクゼ 料金割引券:3枚
JR東日本グループ系列の割引券の他に、今なら西武ホールディングスとのコラボ株主優待券がもらえます。サービス内容や使用できる場所は、公式サイトを参照してみてください。
JR東京総合病院 人間ドック料金割引券
1,000株以上所有している人を対象に、基本料金の10%オフで利用できる人間ドック割引が配布されます。対象の医療機関は、JR東京総合病院だけです。
JR東日本における株式分割後の配当金への影響
JR東日本の直近5年間における配当金の推移は、以下のとおりです。
・2019年:150円
・2020年:165円
・2021年:100円
・2022年:100円
・2023年:100円
・2024年:140円
2021年にコロナ禍の影響による業績の低下から配当金は減額されましたが、2024年には年間140円を支給しています。配当利回りは1%台で推移しており、株式分割がされたあとも減額は決まっていますが、1%台後半になると予想されます。
まとめ
JR東日本の株式分割について本記事でまとめました。株式分割によって100株の購入価格は減りましたが、株主優待のサービス券を受け取るなら300株以上の取得が必要です。
また、優待狙いであっても業績や株価の動向を調べたうえで、最適なタイミングで購入するようにしましょう。最後に直近1年間における株価の推移は、以下の画像を参考にしてみてください。
参照:Traging View