連邦政府2025会計年度の予算が成立せず、10月1日から「米政府機関閉鎖」に突入しました。ドル円は147円半ばへ下落、日経平均株価も売りで反応。マーケット関係者は閉鎖が長期化しなければ影響は限定的とみていますが、短期的な円高圧力や株価調整リスクに警戒感を示しています。
「米政府機関閉鎖」経済指標の入手が困難に
「米政府機関閉鎖」により、約75万人の連邦職員が一時帰休に入り、国立公園や博物館など、国民生活への影響が比較的小さい公共サービスから順次停止される見込み。一方、米軍や国境警備、税関などの緊急業務は継続されています。
また、米労働省の経済統計発表も延期されるため、連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断する上で重要な雇用統計や経済指標のタイムリーな入手が難しくなる可能性があります。議会が妥協しなければ、米国内の消費や雇用への下押し圧力が高まるリスクもあるでしょう。
金融マーケットの反応
金融マーケットでは、ドル円が現地1日午前0時(日本時間同日午前1時)からの「米政府機関閉鎖」の影響を織り込み147円半ばへ下押し。朝方に一時148円台まで上昇したものの、閉鎖開始を受けてじりじり下落しました(図表1)。
マーケット参加者は、閉鎖が長期化しなければ影響は限定的との見方を示す一方、重要指標の発表遅延による不確実性から、短期的な円高圧力が続くとみています。
日経平均株価も「米政府機関閉鎖」を受けて軟調(図表2)。前日比マイナスで推移し、特に輸出関連株がドル安・円高を意識して売られる展開が目立ちました。
米国経済指標の公表遅延に伴う情報不足が不透明感を高めそうなことも投資家心理の重しとなっているようです。
今後の経済・マーケットへの影響
長期的には、「米政府機関閉鎖」が経済やマーケットに与える影響は閉鎖期間の長さに左右されます。過去のケースでは、閉鎖期間中の生産減少や連邦職員の一時帰休による消費減が発生しましたが、閉鎖終了後には回復傾向が見られました。ただし、トランプ政権が閉鎖を利用して連邦職員の大規模な解雇を実施した場合、経済への余波は閉鎖期間を超えて長期化する可能性が高まります。
マーケット関係者は、「米政府機関閉鎖」が短期的なドル円下落・円高圧力と日経平均の調整をもたらすとしているほか、閉鎖が長引いた場合に米経済の成長鈍化や世界マーケットへより広く波及するリスクを懸念しています。今後の米議会の対応や両党間の妥協の有無が、マーケット動向の鍵となるでしょう。