「ハセット次期FRB議長候補」の議長就任が有力との見方から、ドル売りの動きが強まっています。利下げに前向きな同氏の就任を見据え、金融緩和への期待が高まる一方、物価上昇が続くなかでの利下げを警戒する声も聞かれます。政権の意向とFRB独立性のバランスが問われる局面となり、投資家の視線は正式発表やその後のマーケットの反応に集まっています。
「ハセット次期FRB議長候補」報道後のドル売り継続
先月25日、「ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が次期米連邦準備理事会(FRB)議長人事の最有力候補」との報道が伝わって以降、ドル相場は重い動きが続いています(図表参照)。12月3日にはトランプ米大統領が「次期FRB議長は来年早々に発表」と発言して決定が間近に迫っていることを示唆。ハト派(金融緩和派)とされる「ハセット次期FRB議長候補」の議長就任を見据えたドル売りの思惑が高まっています。
ハセット氏は先日のインタビューで、金利はより低い水準にあるべきと述べ、利下げに前向きな見解を示しています。この発言は欧米メディアを中心に市場へ伝わり、FRBが政権の意向に沿う形で政策を転換する可能性が意識されました。「もし自分が議長であれば直ちに利下げに動く」との発言も聞かれ、金融マーケット参加者の米早期利下げの思惑を強めました。
一方、米銀大手や機関投資家などから、物価が依然として上昇傾向にあるなか、利下げの加速がいき過ぎるのではとの懸念も聞かれます。トランプ政権の意向に沿っただけの金融政策運営は、FRBの独立性への疑念につながり、その面でドル安圧力を高めた一因とも考えられているようです。
政権内の体制再編も焦点
FRB人事の行方を巡り、トランプ政権内部での体制再編案も検討されています。関係者筋の話として、「ハセット次期FRB議長候補」の議長就任が決定した場合、ベッセント米財務長官がNEC委員長を兼務する案も協議されているようです。実現すれば、ホワイトハウスと財務省の連携がより強化され、経済政策の一元化が進む可能性があります。
ベッセント長官は、人選が最終局面に入っていることを認めつつ、発表時期について「クリスマス前の可能性もある」と述べていました。トランプ大統領自身も「候補者は一人に絞った」と発言し、正式決定が迫っていることを示しており、マーケットの動きを加速させそうです。
最終候補にはFRB現職理事や元理事、金融機関幹部とされる人々の名前も挙がっていますが、マーケットはすでにハセット氏の優位を折り込み始めています。正式発表は2026年初頭へややずれ込みそうですが、マーケットは既に政策の方向性を先取りする形で動いています。
FRBトップ交代で、利下げペースや政策運営の優先順位が変わる可能性があり、投資判断にも大きく影響します。FRB独立性と政権の政策意図のバランスをどう取るのか、注視が必要な局面です。



