「衆院解散」報道を受け、円安が急速に進みました。短期間でドル円は159円台に達し、日経平均株価も上昇。「衆院解散」報道が金融マーケットに与える影響を整理してみましょう。
「衆院解散」報道で円安・株高へ傾斜
1月9日、「高市首相が『衆院解散』検討に入った」との報道を受け、円売りが一気に強まりました。その後もドル円は上昇が続き、2024年7月以来の159円台に達しています(図表参照)。高市政権が高支持率を維持するなかで衆院選に勝利すれば、積極財政が進むとの思惑が背景にあります。

また、マーケット参加者は「景気刺激で企業業績が伸びるかもしれない」との見方を強めたようです。その結果、株式市場にもリスク選好的な思惑買いが入りやすくなりました。
一方、短期的な円安圧力に対する財務相の発言にも一応留意しておくべきでしょう。14日、片山財務相が円安をけん制。ドル円は157円台へ下げました。ただ、現時点での下押し圧力は限定的です。
足もとの円安の流れ
「衆院解散」報道
→政権基盤安定への期待高まる
→積極財政や景気刺激策の思惑浮上
→投資家がリスク選好的や、財政状況を鑑みて円売り
→ドル円が上昇(円安)
※短期的留意事項
→財務相の円安けん制
→ドル円157円台へ一時下落(下押し圧力、現時点では限定的)
解散総選挙と今後の見通し
解散総選挙が実際に実施された場合、円安・株高の動きはどうなるでしょうか。まず、衆院で与党が過半数を維持・拡大すれば、政権の政策自由度が高まり、大型予算案の成立が容易になります。これにより、財政出動が加速するとの思惑が円安・株高を後押しする可能性があります。
ただ、参院では過半数を割る状況が続くため、政策遂行能力の実質的な改善は限定的です。また、野党の公約や物価対策への圧力も、財政・金融政策の大胆な変更を抑制する要因となります。
為替面では、ドル円が160円に接近する場面では口先介入がより強まり、実弾介入の可能性も高まります。短期的に値動きが荒くなることを念頭に置いておく必要があります。
日銀が為替動向を眺めて利上げを前倒しすることも考えられます。政治と金融政策の動きが連動して円安を抑える可能性も想定しておくべきでしょう。
さらに、米国のインフレや米連邦準備理事会(FRB)利下げ観測もドル円の動向に影響を与えます。円売りの持続性を見極めるには慎重な判断が必要です。
総じて、解散報道は短期的に円安・株高を加速させますが、政策姿勢や国会での議席状況次第では、持続的な円安圧力にはつながらない可能性があります。マーケット参加者は、思惑と実際の政策変化を見極めながら動くことが重要です。



