今回解説していく通貨はメキシコペソ円(mxn/jpy)です。一時期のレンジ相場を上方向にブレイクして、2020年来の上昇トレンドに回帰した可能性が高まっており、目先は押し目買い方針が安定するでしょう。ファンダメンタルズでは日本・メキシコ両国の金融政策に加えて、10月4日の自民党総裁選や対米関税交渉などにも注目が集まりそうです。
今後のメキシコペソ円の相場焦点:日・メキシコの金融政策、米関税問題にも注目
今後のメキシコペソ円相場を占う材料ですが、注目は日本およびメキシコの金融政策がポイントになりそうです。
日銀は次回(10月29-30日)の金融政策決定会合で追加利上げに動くとの見方が根強い状況。前回(9月18-19日)の会合では2人の委員が利上げを主張していますが、次回も2人が意見を変えないと仮定すれば日銀の正副議長3人が利上げへと傾くと利上げ主張が過半数を超える計算です。また、今週末(4日)の自民党総裁選で選出される新総裁の日銀に対する姿勢も気になるところ。週明けの為替相場の反応などを確認しながら、日銀の金融政策に与える影響を確認しておきましょう。
一方、メキシコ銀行(中央銀行)は9月25日に開催された直近の金融政策決定会合で6会合連続となる利下げを決定。声明文では「さらなる調整を検討する」と追加利下げを示唆する姿勢を維持していますが、足もとのインフレ懸念が金融政策の先行きを不透明なものにしています。現在の政策金利は2022年6月以来の低水準となる7.50%。さらに金利先安観が強まり、日・メキシコ間の金利差縮小が進むとメキシコペソ円の重しとなる可能性もあり、今後も中銀の動向に注目です。
さらにメキシコに関しては対米関税交渉にも再び注目が集まる可能性がありそうです。トランプ米大統領はメキシコに対して8月1日から課すとしていた30%の追加関税の発動を90日間延期すると発表しましたが、その期日が1カ月後に迫っています。米関税問題は為替市場のメインテーマから外れていましたが、期日が迫るにつれて再び材料視される可能性もあるため注意が必要となります。
メキシコペソ円の週足分析:上値目標クリアで調整局面は終了
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。
前回の分析時に指摘していた上値目標である昨年12月26日高値の7.84円(チャート上の青色点線)や昨年8月15・16日高値の8.01円(チャート上の青色実線)をしっかりと上抜け。昨年5月からの調整局面を終了して、再び2020年4月安値を起点とする長期の上昇トレンド(チャート上の黄色実線)に回帰したとみてよいでしょう。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても、7月ごろに+DI>-DI(上昇トレンド)へと転換。トレンドの強さを示すADXはここまで低下基調にありましたが、足もとでは一服感もうかがえ、再びトレンドの強さを取り戻す可能性もありそうです。
メキシコペソ円の日足分析:上昇トレンドはしっかり、押し目買い方針で
今度は短期的な目線からメキシコペソ円の状況を確認します。下図は日足のチャートです。チャート上の黄色実線は週足分析で紹介した2020年4月安値を起点とする上昇トレンドラインになります。
チャート下部に追加した「DMI」を確認するとこちらもしっかりとした上昇トレンドを示唆。トレンドの強さを示すADXも上昇基調にあり、目先は押し目買い方針でよさそうです。
今後の上値目標ですが、昨年6月安値の8.21円(チャート上の青色実線)がポイントになるでしょう。押し目の目処としては8月4日につけた直近安値の7.75円(チャート上の丸で囲った部分)などを意識しておきたいところです。
今後の取引材料・変動要因をチェック
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策。メキシコ銀行(中央銀行)の金融政策決定会合は10月中ではなく、次回は11月6日に予定されています。
その他では自民党の総裁選に注目。前年に石破首相が逆転で勝利した際にはドル円が4円以上の急変動となったこともあり、今回も市場の注目を集めるでしょう。今回は10月4日の土曜日に実施されるため、週明け6日は早朝から荒い値動きに警戒が必要となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月4日 日本 自民党総裁選
10月9日 メキシコ 9月消費者物価指数(CPI)
10月24日 日本 9月全国CPI
10月29-30日 日本 日銀金融政策決定会合