今回解説していく通貨は南アフリカランド円(zar/jpy)です。短期的にはしっかりとした上昇トレンドを維持していますが、今回の上昇局面で直近高値超えに失敗すると調整リスクも高まるでしょう。ファンダメンタルズでは日本・南アフリカ両国の金融政策に加えて、10月初旬の自民党総裁選にも注目が集まりそうです。
今後のランド円の相場焦点:日銀は追加利上げ観測が高まる、南アは利下げ期待が後退
今後のランド円相場を占う材料ですが、日本と南アフリカの金融政策に注目が集まりそうです。
日本に関しては先週(9月18-19日)に開催された金融政策決定会合で、2人の審議委員が政策金利0.75%への利上げが必要として反対票を投じたことが明らかになりました。市場では次回(10月29-30日)で追加利上げが行われるとの思惑が広がっており、当面の円相場を下支えする材料として意識されそうです。
一方、南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は前週(9月18日)に開催された金融政策決定委員会(MPC)で政策金利の据え置きを決定(決定は4対2、2名が0.25%の利下げを主張)。SARBは今後数カ月でインフレ率が約4%まで上昇すると予測しており、今年の平均は3.4%、2026年は3.6%になると見込んでいます。SARBが実質的なインフレ目標と設定した3%を当面は上回る見込みとなっており、南アの金利先安観は後退。市場では「SARBは今後の利下げに慎重な姿勢を取る可能性が高い」との見方が広がっているようです。
ランド円の週足分析:上昇トレンドは健在も、直近高値超えに失敗すると本格調整へ
下図のチャートはランド円の週足チャートになります。
現在は2020年4月安値を始点とする穏やかな上昇トレンド(チャート上の黄色実線)で推移。チャート下部に追加した「DMI」で見ても、現在は+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆。ただ、依然としてトレンドの強さを示すADXが低位にある点は気になるところです。
ここからのポイントは昨年11月高値の8.87円(チャート上の丸で囲った部分)を上抜けられるかどうか。昨年7月以降は上値・下値ともに切り下げる流れとなっているため、今回の上昇局面で昨年11月高値の上抜けに失敗すると、いよいよ本格調整を迎える可能性も高まって来るでしょう。
ランド円の日足分析:三役好転が点灯中、しっかりとした上昇トレンドが継続
では、今度はより短期的な視点でランド円の相場状態を確認していきます。下図のチャートはランド円の日足チャートになります。
チャートに追加した「一目均衡表」によると、現在は転換線>基準線、遅行スパン>価格線、価格線>雲が成立しており、強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯。さらに過去の推移を確認すると、一目均衡表の雲上限がサポートとして機能している様子も見られており、今後も下支えのポイントとして意識しておきましょう。その他では8月4日につけた直近安値の8.09円(チャート上の丸で囲った部分)もサポートとして意識されそうです。
今後の取引材料・変動要因をチェック
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。日本と南アフリカは金融政策決定会合を先週に終えたばかりであり、今後1カ月以内には予定されていません(日銀は10月29-30日、南ア中銀は11月20日に次回開催予定)。そのため、目先は両国の物価指標などを確認しておくべきでしょう。
その他では自民党の総裁選に注目。前年に石破首相が逆転で勝利した際にはドル円が4円以上の急変動となったこともあり、今回も市場の注目を集めるでしょう。今回は10月4日の土曜日に実施されるため、週明け6日は早朝から荒い値動きに警戒が必要となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
10月4日 日本 自民党総裁選
10月22日 南ア 9月消費者物価指数(CPI)
10月24日 日本 9月全国CPI