今回解説していく通貨は豪ドル円(aud/jpy)です。今年4月上旬の下落以降はしっかりとした買い戻し基調にあり、短期的には押し目買い方針を維持したいところです。ただ、中長期的にはやや不安材料もある点は気にかけておきましょう。ファンダメンタルズでは日豪の金融政策に注目。日豪金利差は縮小傾向にありますが、縮小ペースは穏やかなものになる見込みです。
今後の豪ドル円の相場焦点:日豪金融政策、自民党総裁選にも注目
今後の豪ドル相場を占う材料については、日本と豪州両国の金融政策が注目されそうです。
豪州では豪準備銀行(RBA)が2025年2月に2020年11月以来となる利下げを実施。その後も漸進的な利下げが続き、現在の政策金利は3.60%となっています。年内にあと3回のRBA理事会が予定されていますが、金利先物市場では年内にあと1回(0.25%)の利下げを織り込んだ状態です。
ただ、直近では良好な経済指標を受けて、ブロックRBA総裁が「この状況が続けば今後の利下げは限られるかもしれない」との見解を示しており、豪金利先安観はさらに後退していくことになるかもしれません。
日銀については今週18-19日に金融政策決定会合が開催されますが、今会合では金利が据え置かれる見込み。ただ、関係者筋から「日銀は政治混迷でも年内の利上げを排除しない」などの話も伝わっており、年内の追加利上げ観測は根強く残っています。現時点で本命視されているのが10月会合(29-30日)の年内1回程度。
ただ、市場では10月4日に投開票が実施される自民党の総裁選にも注目が集まっているようです。現在、世論調査では日銀の利上げに否定的とされている高市・前経済安全保障相が優位に立っており、市場では少なからず円売り要因として意識されているといった声も聞かれています。今後、次期総裁に誰が選出されるのか、日銀の利上げ観測や円相場への影響はあるのかなどを継続的に確認していく必要があるでしょう。
豪ドル円の週足分析:4月以降は買い戻しだが、上昇トレンドとしては不安要素も
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。
4月9日に86.05円まで下落した後は買い戻しが進み、足もとでは98円台まで上昇。2020年3月安値を起点とする以前の上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)を回復する勢いを見せています。
今後の目標は昨年11月高値の102.41円(チャート上の丸で囲った部分)となるでしょう。
もっとも、すでに明確に下抜けてしまった上昇トレンドラインですから、仮に同線を回復したとしても以前のようにサポートとして機能するわけではありません。
また、チャート下部に追加した「DMI」によると+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆しているものの、トレンドの強さを示すADXが明確な低下基調にある点が気になるところです。
豪ドル円の日足分析:しっかりとした上昇トレンドを形成
では今後の短期的な視点からも豪ドル円の動きを確認していきましょう。
日足チャートでは今年4月に安値をつけてから短期の上昇トレンドが形成されているようです。チャート下部の「DMI」で確認しても+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆しているほか、こちらではトレンドの強さを示すADXも上昇傾向にあります。短期の上昇トレンドとしては信頼に足るものと言えそうです。
中長期では不安要素ありも、短期では信頼できるトレンドということであれば、今後も押し目買い方針で臨みながら短期の上昇トレンドが崩れた時にシナリオを再考、という流れが無難なトレード。
基本的には4月後半からの上昇トレンドライン(チャート上の青色実線)が下値の目処に。また、過去には一目均衡表の雲がサポートとして機能した経緯(チャート上の丸で囲った部分)もあるため、この辺りを押し目買いのサポート水準として意識しておきましょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。豪州では9月24日に8月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されていますが、豪準備銀行(RBA)は四半期ベースのインフレ動向に注目しているため、期間外ではありますが、10月29日に発表される7-9月期CPIついても注目しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
9月19日 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
9月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
9月24日 豪州 8月CPI
9月29-30日 豪州 豪準備銀行(RBA)金融政策理事会
10月4日 日本 自民党総裁選挙