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第189回 ドル円は160円台回復、今後は?

ドル円、24年7月以来の160円台

ドル円は日本当局の円買い介入警戒感を背景に159円後半で足踏み状態が続いたが、週末に2024年7月以来の160円台を回復しました。停戦をめぐる米・イランの協議に対し悲観的な見方が強く、戦争の長期化懸念が根強いことで「有事のドル買い」が続きました。

 

そもそも高市政権が発足後、同政権の財政拡張による財政懸念と、高市氏が日銀の利上げに賛成しない方針であるとの見方から円安が進み、戦争によるドル買いがドル円の上昇を加速させています。原油高で日本の貿易赤字が膨らむとの見方も円売りにつながっています。

 

円買い介入警戒感

最近も片山財務相を含めた、政府の要人らはドル円の上昇を眺めながら口先介入を強めていたが、節目の160円を突破したことで実弾の介入警戒感が強まっています。

 

ただ、為替水準は中東情勢の動向に翻弄されており、介入実施には難しい判断を迫られるとの見方も出ています。最近のドル円の上昇は円安というよりドル高によるものであることや、中東情勢に翻弄されている相場なので状況次第で値動きが大きく変わることもあり、日本当局が介入に踏み切るかどうか、介入するならどの水準でするかなど注目です。少なくとも2024年7月に記録した1986年12月以来の高値161.95円が大きなポイントになるのは間違いないでしょう。

 

イラン戦争、長期化懸念

トランプ米大統領は日本時間22日にイランのエネルギー施設への攻撃期限を48時間に設定し、その後この期限は5日間延期するとしました。26日は攻撃中止を10日間延期すると表明しました。米・イラン両国の停戦条件に隔たりが大きく、協議の進展は楽観視されていません。

 

イラン戦争が始まって1カ月が過ぎています。短期戦を見込んだトランプ米大統領にとっては予想外であり、金融相場の混乱や中間選挙を控え支持率の低下で焦っています。ただ、国際法違反との声も多いこの戦争を自ら仕掛けた以上、簡単に引き込むこともできず、イランが降伏してくれれば同氏にとって一番良いことだが、イランは徹底抗戦の姿勢を変えていません。

 

米国防総省は、対イラン作戦を支援するために少なくとも1万人の地上部隊を中東に派遣する準備を進めると報じています。地上戦は長期化になることが多いとの見方が強いです。

 

日銀、早期利上げ観測高まっても円高効果限定か

イラン戦争で原油価格が大きく上昇し、物価高懸念が高まっています。イラン戦争の長期化懸念が加速すれば、日銀は4月会合でも利上げに踏み切る可能性はあるが、この戦争による物価高懸念は各国同じ状況であり、利上げを実施したとして円高効果は限られると見込まれます。

 

ドル円、キーパーソンは米財務長官

ドル円を語るにあたって、ベッセント米財務省官はキーパーソンになり得る人物ですが、最近のドル高について「ドルは再び安全資産としての地位を確立した。ドル高が進み資本が流入している」と述べています。

 

1月の円安局面で日米は「レートチェック」を行ったが、複数の米政府高官は日本側の要請ではなくベッセント財務長官が主導したことを明らかにしました。ベッセント米財務長官は「米国は常に強いドル政策を堅持している」とも述べているが、ドル高・円安が加速すると、日本当局に円安是正を求めるか、日本と協調介入に踏み切る可能性はあるでしょう。

この連載の一覧
第189回 ドル円は160円台回復、今後は?
第188回 イラン戦争、中国への影響
第187回 スイスフラン、なぜ強い
第186回 中東情勢に主要通貨の反応
第185回 経常収支の黒字は過去最大も、円安続く
第184回 中国・全人代、3月5日に開幕
第183回 ドル円、ドルの信認低下も重し
第182回 トランプ関税圧力と加ドル
第181回 円相場のカギは日本国債
第180回 2026年世界10大リスク-米調査会社
第179回 25年の中国貿易黒字、初の1兆ドル超え
第178回 金の台頭、ドルの支配に影響
第177回 人民元は堅調
第176回 FRB、来年の政策運営はなお不透明
第175回 円安、結局は再び介入との勝負か
第174回 円安、メリットとデメリット
第173回 実質為替レート 1ドル=270円
第172回 インフレと円安
第171回 予算案控え、慌ただしい英政府
第170回 トランプ氏、米中をG2と表現
第169回 ヘッジファンド資産、過去最高
第168回 通貨スワップ協定
第167回 カナダ経済は厳しい
第166回 自動売買のメリット・デメリット
第165回 FX活用の為替ヘッジ
第164回 利下げ再開、米経済は?
第163回 市場とFRB、来年以降の見通しにかい離
第162回 自民党総裁選と金融市場
第161回 英国の財政懸念
第160回 FRB理事の解任騒動
第159回 11人の次期FRB議長候補
第158回 「基調的な物価上昇率」
第157回 中国の政策金利
第156回 今年後半の米経済
第155回 日米合意、今後のドル円は?
第154回 トランプ氏、人民元の影響拡大の引き立て役になるか
第153回 香港ドル、キャリー取引が活発化
第152回 英国でもトリプル安
第151回 中東リスクに円買いではなくドル買い
第150回 悪いドル安
第149回 FX、マイルールを徹底
第148回 FX詐欺の手口
第147回 信認低下のドル、売り圧力が継続
第146回 半導体を制するものが世界を制する
第145回 米中会談、過度な期待は禁物
第144回 加ドル、米加首脳会談に注目
第143回 日米協議、円安是正に一安心も警戒残る
第142回 関税方針、トランプ氏の正念場
第141回 トランプ氏の脅かし、中国には通用しない
第140回 トランプ関税、ポンド相場への影響
第139回 RBA、追加利下げは5月か
第138回 英中銀、慎重な利下げペース維持
第137回 ドイツの大規模な財政拡大策
第136回 中国、今年GDP成長目標を5%前後に
第135回 米消費者信頼感指数、消費鈍化を示唆
第134回 リーダー不在のEU
第133回 各国中銀の利下げも、トランプ関税効果を薄めるか
第132回 円と加ドル、IMMポジションの変化
第131回 FX取引、投資詐欺に注意
第130回 FX、リスクも把握した上で取引を
第129回 トランプ氏VS中国
第128回 トランプトレードはいつまで続くか
第127回 ポジションの手仕舞い
第126回 今年最後の日米金融政策会合
第125回 中国景気、改善傾向もトランプリスク高まる
第124回 尹韓国大統領の戒厳令騒動
第123回 ポジションの管理
第122回 ドル円、160円台復帰はあるか
第121回 AI・FX取引
第120回 FX取引はギャンブルなのか
第119回 FXの確定申告
第118回 元キャリートレードの復活に注意
第117回 ドル円 8/1以来の150円台
第116回 ポンド、雇用・物価データの見極め
第115回 中国、景気支援策を強化
第114回 自民党総裁選、サプライズの結果に
第113回 景気回復が鈍いままの中国経済
第112回 最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
第111回 最近主要国の金融政策(4)
第110回 最近主要国の金融政策(3)
第109回 最近主要国の金融政策(2)
第108回 最近主要国の金融政策(1)
第107回 投機筋、2週間以内での勝負多い
第106回 トランプVSハリス
第105回 来週の日銀会合、利上げは?
第104回 イベント・材料の認識から消化まで
第103回 経済指標の基本知識
第102回 勝つために情報本質の見極めは大事
第101回 押し目買いの罠
第100回 円安・円高の影響
第99回 円キャリートレードは正念場
第98回 ドル・ブル=ドル買いではない
第97回 ドル円 200円になったら
第96回 デイトレードの基本は順張り
第95回 ドル円、どこに向かうのか
第94回 FX、初心者に多い失敗例
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
【FX、やるならお得に】第26回 年末年始の取引に注意
【FX、やるならお得に】第25回 急落で魅力低下の高金利通貨(トルコリラ)
【FX、やるならお得に】第24回 多難も地位が上がりつつある通貨(人民元)
【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き
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【FX、やるならお得に】第18回 取引量が第2位の通貨(ユーロ)
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【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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