トランプ政権・・・崩れ始めた支持基盤
第2次トランプ政権の過激化については、これまでも各種メディアで繰り返し指摘されてきました。
しかし足元では、その流れは減速するどころか、むしろ加速しているように映ります。
従来から問題視されてきた発言の信頼性についても、ここ数カ月で一段と劣化。
政治的レトリックの範疇を超え、信用そのものを毀損する局面に入りつつあります。
その帰結として、支持率は明確なトレンド転換を示し始めました。
ドナルド・トランプの中核支持層である「非大卒の白人有権者」においても、支持の剥落が鮮明です。
YouGov/CBSの調査によれば、2025年2月時点で+36(支持率68%、不支持率32%)だった純支持は、同年9月に+26(支持率58%、不支持率32%)、2026年2月には+10(支持率55%、不支持率45%)へと縮小。
そして直近(4月8-10日)ではついにマイナス圏(支持48%/不支持52%)へ沈みました。
いわば「牙城の崩壊」です。
イラン対応が引き金となった支持離れ
支持率低下の主因の一つが対イラン政策です。
世論調査では、米国民の64%が政権の対応を支持していません。
さらに重要なのは、有権者の関心とのミスマッチです。
政権に最も期待する政策として、民主・共和双方の支持者が挙げたのは「インフレ対策(各28%)」であり、
国家安全保障は民主党2%、共和党でも11%に過ぎません。
つまり市場の視点で言えば、需要のない政策にリソースを投下し、結果としてインフレ圧力を強めている構図です。
支持率低下はむしろ合理的な帰結といえるでしょう。
宗教領域への踏み込み・・・支持層の分断
さらに見逃せないのが宗教面での軋轢です。
トランプ大統領はローマ教皇レオ14世を公然と批判し、自身をキリストになぞらえる投稿を行いました。
これは従来の支持基盤の一角を直撃します。

米国のカトリック教徒は人口の約2割(19-22%)を占め、2024年選挙ではトランプ支持が55%と優勢でした。
一方で民主党候補だったハリス氏は43%しかありませんでした。
しかし直近調査では「強い不支持」が40%に達しています。
しかもこの数字は教皇批判前のものです。
足元では、さらなる悪化が織り込まれるべき局面にあります。
同盟の亀裂・・・対外関係の変質
内政だけでなく、対外関係も明確に変質している。
イラン攻撃に際し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は一国も参戦せず、スペインは自国基地の使用を拒否。
これに対しトランプ大統領はスペインとの通商停止を示唆するなど、同盟関係は緊張を強めました。
サンチェス首相は、先週には中国訪問を通じて独自外交を加速。
また、メローニも教皇批判に強い不快感を示し、従来の蜜月は揺らぎ始めています。
トランプ大統領が「 NATOはアメリカなしではゼロだ!」との発言に対しても
「素晴らしい! それならあなたの基地を閉鎖し、貿易を断つか、マクドナルドを襲撃するべきかしら?」と非難しています。
そして、この傾向はトランプ政権が押していた、先週のハンガリー総選挙でオルバン氏の大敗北にも結び付いています。
欧州主要国も同様に距離を取りつつあり、トランプ政権を軸とした国際秩序は明らかに軋んでいます。
市場インプリケーション・・・“米国離れ”の兆し
こうした一連の動きは、単なる支持率低下にとどまらないでしょう。
・中核支持層の崩壊
・宗教票の離反
・同盟関係の希薄化
これらが同時進行している点に、市場は注目すべきです。
トランプ政権が抱える複数の疑惑(インサイダー取引やエプスタイン疑惑)も含め、信頼回復のシナリオは描きにくいです。
むしろ対外強硬策が「内政リスクのカバー」として用いられているとの見方も根強い。
その延長線上にあるのは、米国を軸としない経済・政治ブロックの再編です。
もしこの流れが加速すれば、
・米企業の国際競争力低下
・対米貿易の停滞
・ドルの信認低下
といったテーマは、いずれ現実のマーケットドライバーとなる可能性があります。
為替市場においても、「ドルは絶対的安全資産」という前提は、もはや不変ではないでしょう。
今はその「前提が揺らぎ始めた初期局面」と捉えないで、やってはいけないでしょう





