BTC、FRB議長のおかげで…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2025年8月27日22時頃、対円では1650万円近辺と前週(7日前)比で1%超低い水準での取引です。BTCドルが11万1200ドル前後と、前週比マイナス圏で推移しています。
先週は弱い動きが続いていたBTC相場ですが、週末22日に買い戻しが一気に強まりました。対円では1723万円台、対ドルで11万7400ドル台と、それぞれ直近安値から数時間で4-5%上昇しています。
BTC上昇のきっかけは、米ワイオミング州ジャクソンホールにおけるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演でした。世界各国から中銀総裁や経済学者、政治家なども参加する経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、FRB議長は「利下げ再開を示唆」と受けとめられる発言をしました。
米金利先安観の強まりを好感し、NY株式市場が急騰。リスク志向ムードが一気に広がると、リスク資産に分類されるBTCにも買いが集まりました。もっとも、米国の中長期金利が低下幅を広げたため、為替ではドル高円安が進行し、その分BTC円の伸び率はBTCドルに追いつきませんでした。
※Trading Viewより
週明けは一転、大量な売りが
しかしながら、週明けのBTC相場は一転し売り戻しが強まります。BTCドルの戻り高値は11万7400ドル台と、最高値を記録した14日から22日までの下落幅の半値11万8000ドル付近の手前でした。
BTC円が1723万円台までの持ち直しと、こちらは14日から20日までのレンジの下値から38.2%戻しとなる1721万円台を僅かに超えた水準でした。38.2%はフィボナッチリトレースメントで使われる水準です。他には、50%や61.8%などが主に使われます。
テクニカル的には説明しやすい水準で、BTC相場は頭を押さえられました。この時の売り手が、クジラと言われる大口保有者だったようです。
「Bitcoin whale dumps 24,000 BTC, triggers flash crash,」The Economic Times
(ビットコインのクジラが24000BTCを売却、フラッシュクラッシュが発生)
※フラッシュクラッシュとは、金融市場において数分から数秒という極めて短い時間で大規模な暴落が発生すること。通常の価格下落と異なり、特定のニュースや出来事によって一気に売り注文が殺到し、売りが売りを呼ぶ現象。
今回のクジラは、5年間もアカウントからBTCを移動させませんでした。それが週末、BTCを暗号資産取引プラットフォームの口座に送金したというのです。そして、週明けから合計で2万4000BTCを売却したと報じられています。1BTC=1600万円換算で、3840億円分です。
大口の売りがロングの投げを呼び、相場は一時パニック的な下げとなりました。結局BTCドルは10万9000ドル割れ、BTC円も1600万円手前と7月前半以来の水準まで下げ幅を広げました。
※Trading Viewより
ETHはどうなった?
時価総額2位のイーサリアム(ETH)もパウエルFRB議長の講演後に大きく値を上げました。過去最高値に届く雰囲気もなかったBTCと違い、ETHは対円で72万7000円前後、対ドルで一部取引所では5000ドル手前まで最高値を更新しました。
もっとも、週明けはBTC同様に売り戻しが強まります。25日には、BTCの2倍以上の下げ幅となる8%超まで下落率を広げました。ただし22日安値に届かず、一巡後は下げ渋りました。
「ビットコインクジラ、BTCをETHに乗り換え…」コインテレグラフ
LookonchainというXアカウント投稿を紹介している記事によれば、一部のクジラアカウントがBTCを売却し、ETH購入しているようです。ETH/BTCの底堅さをみると、納得できる話です。
BTCやETHを取引するうえで、日本では対円が主流ではありますが、BTC/ETHの動きも常に監視しながら取引すべきでしょう。
※Trading Viewより
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「マネックスグループ、国内での円建てステーブルコイン発行を検討…」コインデスク
国内のステーブルコイン発行についても、今後取り上げていきたいと思います。