BTC、堅調 米投資銀行が?!
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2025年10月9日8時頃、対円では1878万円前後と前週(7日前)比で約8.4%高い水準で取引されています。BTCドルが12万3100ドル台と、こちらは前週比4.6%高。外国為替市場で円安が急速に進行したため、上昇率に差が出ています。
6日の週明けから日本株が急騰し、為替は円売り一色となりました。きっかけは、与党自民党の総裁選で高市早苗氏が勝利したことです。初の女性首相誕生の公算大に胸を躍らせたというよりも、同氏が依然から訴えていた「経済成長の重視」への期待感が相場を大きく後押ししたようです。
総裁選前から底堅かったBTC円は、結果が出た翌日曜日から買いの勢いが強まりました。8月に記録した1825万円を上抜けて史上最高値を更新し、7日未明(NY時間6日午後)には1895万円まで上げ幅を広げました。
その後、クジラといわれる大口投資家のBTCドル売りにBTC円も引きずられ、1830万円割れまで下落します。しかしながら、下げたところでの買い意欲は強いままでした。一巡後に切り返すと、8日NY午後(日本時間9日未明)は1898万円近くまで過去最高値を更新しました。
株高を背景としたリスクオンのBTC買いや、対円では為替の円安進行、また米投資銀行が暗号資産のポートフォリオ組み入れを推奨などのニュースに支えられました。
「MS、ポートフォリオの最大4%を暗号資産に…」コインデスク
※Trading Viewより
新自民党総裁、暗号資産に対しては
高市自民党総裁の誕生をBTCの上昇にも絡めましたが、じつは高市氏が暗号資産について具体的に言及したことはほとんどありません。新自民党総裁は、積極財政や緩和的な金融政策については選挙で訴えていました。
複数の暗号資産メディアで取り上げられたのは、新総裁が総務相を務めていた6年前の発言です。
「暗号資産の政治家への寄付、現行法では規制対象外 総務相」日経新聞 2019年10月8日
当時の高市総務相が、「暗号資産は金銭や有価証券に該当せず、寄付の制限とならない」と述べたことが報じられています。これを市場では、総務相が暗号資産の法的位置づけに一定の理解を示したと受けとめました。そのため高市氏は、暗号資産に対して好意的な姿勢と(勝手に)見られています。
高市氏、基盤技術や産業応用に…
前述した高市自民党総裁の暗号資産に関する発言は、6年も前です。その後、暗号資産を取り巻く状況も圧倒的に変わりました。日本でも、円建てステーブルコインの発行も認可されました。暗号資産は換金性も高くなり、政治家への寄付についても考えが変わった可能性はあります。
ただし高市氏は、自民党デジタル社会推進本部の Web3プロジェクトチーム最高顧問 を務めてきました。そのため同氏は、DAO(分散型自律組織)の法整備やブロックチェーン技術の社会実装には積極的とされています。
自民党の新総裁は、 暗号資産そのものよりも基盤技術や産業応用に力点を置いている印象です。
Web3とは?
Web3とは「次世代のインターネット」のことです。今のネット(Web2)は、SNSや動画サイトのように大企業が情報やサービスを管理しています。これに対してWeb3では、ブロックチェーンという改ざんできない仕組みを使い、利用者自身がデータや価値を直接やり取りできます。
例えば、音楽やイラストをNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」として売ったり、DAO(Decentralized Autonomous Organization)という仕組みで仲間と投票して運営方針を決めたりできます。
つまりWeb3は「みんなで所有し、みんなで運営するインターネット」であり、個人が主役になれる新しい時代の基盤と言われています。暗号資産はその中で、価値をやり取りするための“通貨”や“権利証”の役割を果たしている、という関係です。
いずれにせよ、新政権の暗号資産への向き合い方に今後も注目する必要は大いにあるでしょう。