最高値更新後、夏バテ?
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2025年9月3日13時頃、対円では1657万円前後と前週(7日前)比で約0.2%高い水準で取引されています。BTCドルが11万100ドル台での値動きです。
8月のBTCは対円で1595万円台/対ドルでは10万8200ドル台で終え、どちらも5カ月ぶりに反落。月間の下落率はそれぞれ8.7%と6.5%でした。為替でドル円が150円台後半から146円台まで円高に振れたため、BTC円のほうが下げ幅が大きくなりました。
※暗号資産分析サイトcoinglassより
8月としても、BTC相場は4年連続の月間下落を記録しました。
月初は「弱い7月米雇用統計」を受けてリスク回避の売りが先行するも、一巡後は買い戻しが強まりました。月半ばには対円で1825万円付近、対ドルで12万4500ドル前後まで史上最高値を更新しています。
しかしそこからは、クジラと言われる大口投資家の利益確定売りが頭を押さえる展開に。相場の伸び悩みが、短期の投機筋によるロングの投げを誘いました。BTC円が1582万円近辺、BTCドルは10万7400ドル前後まで売り込まれます。最高値から13%超の下落率です。
この酷暑の中、BTC相場も夏バテしたような動きでした。
もっとも、どちらも7月の安値1511万円台と10万5100ドル台まで届いていません。次に売られた場合、下値は区切りのいいところ、1500万円と10万5000ドルが意識すべき水準となりそうです。
※Trading Viewより
ETHの夏は?
時価総額が暗号資産のなかで第2位のイーサリアム(ETH)は3日午後、対円で64万5000円台と前週比5.8%安の水準で推移しています。先月24日に72万7000円台まで史上最高値を更新後は、こちらも夏バテしました。
もっとも8月の終値水準は64万6000円台と、月間騰落率は16%弱の上昇でした。
イーサリアム・ネットワークの取引量が拡大し、過去最高を更新。
「イーサリアムの取引量が過去最高を記録…」コインデスク
また、先週もお伝えしたビットコインからイーサリアムへの乗り換えもETHの支えとなりました。
「ビットコイン大口保有者、イーサリアムへの巨額資金流入を加速」クリプトタイムズ
※Trading Viewより
ちなみにETH/BTCの8月騰落率は27%高でした。7月の37%超高には届かなかったものの、BTCからETHへの資金移動が続いていたは明らかです。ETH/BTCは今年の高値を超えたものの、2024年の高値圏までは8月終値から50%上昇した水準と、上値余地はありという見方もできます。
暗号資産、口座数は延べ1200万超!
ところで、暗号資産の規制を統括する金融庁は2日、「第2回 暗号資産制度に関するワーキング・グループ」という審議会を開きました。そこで配布された「暗号資産に係る規制の見直し」という資料では、暗号資産の投資家保護を目指す内容だと話題になっています。
以下が、資料の一部をまとめた内容です。
最近は日本でも暗号資産の利用が広がり、口座数は延べ1200万以上、預け資産の合計は5兆円を超えています。ただし多くの人は少額で取引し、特に中間的な所得層の人たちが「将来値上がりするかもしれない」という期待で持ち続けています。
しかしながら、問題も増えています。たとえば、「発行した人が十分な情報を公開していない」、「無登録の海外業者や詐欺まがいの勧誘がある」、「ハッキングで資産が盗まれる事件が続いている」などです。
こうした問題は、株式や投資信託などを規制している「金融商品取引法(金商法)」の仕組みとよく似た対応が必要と考えられています。
現在の法律の仕組みと課題
暗号資産は現在、「資金決済法」という法律で交換業者(取引所)を規制しつつ、一部は金商法でも規制しています。
しかしながら、この二つの法律が同じような内容をカバーしている部分があり、事業者にとっては「二重規制」と捉えられています。これは手続きやコストの面で負担が大きく、制度も複雑です。
そこで、暗号資産は金商法だけで規制し、資金決済法の規定は廃止(または対象外にする)方向が適当ではないか、と提案されました。つまり、暗号資産に関するルールを金商法に一本化し、情報開示や業務ルール、市場の監視、不正取引の取り締まりなどを一つの法律でまとめて行うという考え方です。
具体的な規制のイメージ
暗号資産を2つのタイプに分ける
1、資金調達・事業活動型(プロジェクトのために発行されるもの)
→ 発行者に正確な情報提供を義務づける
2、その他のタイプ(特定の発行者がいないもの)
→取引所に機能やリスクの説明を義務づける
業務規制は、株や債券を扱う第一種金融商品取引業と同じレベルにする
→広告のルール、顧客に合った商品提供、損失補填の禁止、顧客資産の分別管理、サイバー攻撃対策などを法律で定める
-市場開設規制(取引所の免許)は、現物暗号資産の取引所は現時点では対象外。ただし、取引の公正さやシステムの安全性は確保する
今回のワーキンググループによる提案は、暗号資産を「投資商品」としてしっかり管理し、投資家を守るためにルールを一本化しようというものです。二重規制をなくすことで制度を分かりやすくし、同時に不正やトラブルから利用者を守る仕組みを強化することが狙いです。