買い材料でも…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年8月13日8時頃、対円では前週(7日前)比0.9%安の1010万円前後で取引されています。BTCドルが6万3300ドル台と年初来では約27.5%安と戻りが鈍いままです。

※Trading Viewより
8月7日から9日にかけて、米国現物ビットコインETFへの資金流入を支えにBTCドルは6万5400ドル台まで買い戻されました。しかし同水準では売りが厚く、上抜けに失敗。買いの勢いが弱まったところに、先週もお伝えしたストラテジー社によるBTC売却を受けた「企業による継続的な買い需要への懸念」が重なりました。
さらに、米国で期待されていた暗号資産規制法案(CLARITY法案)の審議が秋以降に持ち越される可能性が報じられ、政策期待も後退。BTCドルは6万3200ドル前後まで売り押され、BTC円も1035万円台を上値に1008万円付近まで下落しています。明確な悪材料というより、「買い材料があるのに上がらない」状況が売り材料になった形です。

※Trading Viewより
マイニング、環境への影響は
ところで、ビットコインで重要な「採掘(マイニング)」とは、ビットコインの取引記録をブロックチェーンと呼ばれる台帳に書き込む作業のことです。世界中のコンピューターが複雑な計算を競い合い、最初に正解を出したコンピューターが新たなビットコインを報酬として受け取る仕組みです。金の採掘に例えられることが多く、英語で「マイニング(Mining)」と呼ばれています。
この膨大な計算処理には大量の電力が必要なため、長らく「環境に悪い」との批判を受けてきました。しかし最新の調査では、その印象が大きく変わりつつあります。ケンブリッジ大学の研究機関などによると、2026年時点でビットコインのマイニングに使われる電力の52.4%がゼロ・エミッション電源(再生可能エネルギーや原子力)で賄われており、2022年の37.6%から大幅に改善しています。

さらに注目されているのが、マイニング業者が電力網の安定化に貢献しているという新たな側面です。マイナーは需要に応じて瞬時に稼働を止められる「デマンドレスポンス(需要調整)」契約を活用しており、電力会社にとっては余剰電力を有効活用できる「柔軟な資産」として評価され始めています。「環境の敵」から「電力網の調整役」へ、マイニングの立ち位置が変わりつつあります。
https://www.spark.money/research/bitcoin-mining-energy-mix-2026
(2026年のビットコインマイニングのエネルギー構成)
ステーブルコインが原油取引に?!
ステーブルコインとは、特定の法定通貨(多くは米ドル)と1対1で価値が連動するよう設計されたデジタル通貨です。ビットコインのように価格が大きく変動しないため、決済や送金の手段として実用的に使いやすい点が特徴です。代表的なものにはテザー(Tether)社が発行する「USDT」があり、日常的な暗号資産取引で広く使われています。
そのテザー社が今回、新たな一歩を踏み出しました。同社の投資部門が、中東産原油67万バレル(約4500万ドル相当)の取引への資金提供を完了したと発表しました。石油や穀物といったコモディティ(商品)取引は従来、大手銀行が仲介する複雑な国際決済網を使う必要がありました。今回の取り組みは、ステーブルコインがその銀行網を介さずに実体経済の大口取引に直接関与した象徴的な事例です。
個人の送金やWeb3サービスでの利用にとどまっていたステーブルコインが、エネルギー市場という国際的な実物経済の舞台にまで活用の場を広げています。今後、貿易金融や企業間決済への浸透が進めば、既存の国際銀行システムとの競合が現実のものとなってくるかもしれません。
(テザー・トレード・ファイナンス、中東産原油取引の資金調達を完了)
カード会社、暗号資産企業を買収
金融大手マスターカード(Mastercard)が、ステーブルコイン決済インフラを手がける英国企業BVNK社を約18億ドルで買収しました。BVNKは企業向けにステーブルコインでの入出金や送金を可能にするシステムを提供しており、すでに多くの企業の資金管理に組み込まれています。
マスターカードのような既存の決済大手がこうした企業を取り込む動きは、「ステーブルコインを自社の決済インフラに統合する」という明確な意思表示です。自社で1から開発するより、すでに実績のある企業を買収する方が早いという判断です。これにより、世界中のMastercard加盟店でステーブルコイン決済が使えるようになる日が、思いのほか近いかもしれません。
https://www.bvnk.com/blog/bvnk-joins-mastercard
(BVNKがマスターカードに加盟)



