今回解説していく通貨はニュージーランド(NZ)ドル米ドル(nzd/usd)です。テクニカル面では「三角保ち合い」の下値ブレイクをいったん回避した格好となりましたが、長期目線でのリスクは依然として下方向。「三角保ち合い」局面が終了したと判断するにも時期尚早と言えます。
ファンダメンタルズではNZ中銀が早期の利上げについて言及。現時点で金融引き締めへと政策を転換したわけではありませんが、インフレ圧力の高まりなどから時間の問題と言えそうです。
今後のNZドル米ドルの相場焦点:NZ中銀は利上げのタイミングを探る
まずはNZの現在の金融政策状況を確認していきます。
NZ準備銀行(RBNZ、中央銀行)は2021年10月に金融引き締めを開始。2023年5月に政策金利を5.50%まで引き上げて、2024年8月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は2.25%です。
●RBNZが金利の据え置きを決めた4月直近会合での声明文では
・短期的にはインフレ率は上昇し、経済回復は鈍化すると予想される
・委員会はあらゆる広範なインフレ圧力に警戒しており、インフレ率を中期目標に戻すための措置を講じる用意がある
・据え置きの決定は、中期的なインフレ率上昇のリスクに先手を打って対応することによる潜在的な利益と、経済回復を不必要に阻害することによるコストとのバランスを取った結果
・コアインフレ率と賃金上昇率が抑制され、中長期的なインフレ期待が2%前後で推移する必要があり、これらの条件が満たされない場合、政策金利の迅速かつ断固とした引き上げが必要となる
などの見解が示されました。
また、ブレマン総裁はその後の記者会見で「今日の会合を含め、比較的早い段階での利上げについて議論した」と言及。「第2四半期のCPIを4.2%と予測、ただし見通しは不透明」「5月の会合で、完全な経済予測を提示する予定」とも述べており、今後はインフレ動向をにらみながら次回会合(5月27日)も含めて金利引き上げのタイミングを探る必要がありそうです。
NZドル米ドルの週足分析:「三角保ち合い」終了の判断は早い
下図のチャートはNZドル米ドルの週足チャートになります。

前回に指摘した2021年2月高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の黄色実線)は今年に入って上抜ける場面がありました。
ただ、足もとで再び下降トレンドライン以下の水準に押し戻されていること、2021年2月高値を始点とする下降トレンドラインがやや上方向に移動しただけ(チャート上の黄色点線)と考えることも可能なため、2020年3月安値の0.5470米ドル(チャート上の青色実線)も含めた「三角保ち合い」をブレイクしたとの判断は時期尚早でしょう。
一方で、現状は「三角保ち合い」の下限を試すことなく下値をやや切り上げており、上方向への期待感が高まっていることも事実です。当面は下降トレンドラインを再びチャレンジする場面があるか確認しておきたいところです。
NZドル米ドルの月足分析:長期目線での流れは下方向
今度はより長期的なチャートから相場の流れを改めて確認していきましょう。下図はNZドル米ドルの月足チャートです。チャート上の黄色および青色実線は週足分析で紹介したものと同じです。

現在は2014年7月高値を始点とする下降トレンド(チャート上の黄色点線)内での推移。週足分析で指摘した「三角保ち合い」を一時的に上方向に抜けたとしても、大きな流れとしては下値リスクをより意識すべき局面にありそうです。
チャート下部の「DMI」でも-DI>+DI(下落トレンド)を示唆。ただ、保ち合い相場が煮詰まりつつある現状が反映され、トレンドの強さを示すADXは低位で推移しています。
今後の取引材料・変動要因をチェック:NZ中銀の次回会合は5月後半
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。NZでは1-3月期消費者物価指数(CPI)が控えていますが、中東紛争によるエネルギー高騰の影響がどの程度反映されているか判断の難しいところです。なお、次回のNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策決定会合は5月27日に予定されています。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
4月21日 NZ 1-3月期消費者物価指数(CPI)
4月28-29日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
4月30日 米国 3月PCEコア・デフレーター
5月8日 米国 4月米雇用統計
5月12日 米国 4月消費者物価指数(CPI)





